Archive for the ‘東海リーグ’ Category
真新しい守山スポーツセンターでの開幕戦も残り1試合。実はこの試合、本日最も気になっていた対戦カードなのです。ピッチからの速報を行っている携帯のバッテリー、そしてカメラのバッテリーも少々心配ではありますが・・・。
最後まで見届けなくてはいけません!
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■NASPA四日市 4 vs 2 Praia Grande
昨季の東海2部で2位となり1部に昇格してきたNASPA四日市(以下、ナスパ)。昨シーズンは全日本選手権での全国大会出場も果たしておりチーム全体の勢いは高まるばかりだ。加えて全国行きを決めた三重県選抜にも選手、スタッフを送り込み、あらゆる経験を積み重ねてきた。
昨シーズンのPraia Grande(以下、プライア)は東海1部での4位の成績を含め、静岡県内でのタイトルにも無縁だった。東海リーグに昇格した最初の年(2005年)以降ではチームワーストの成績だったとも言える。今季は数名のメンバーの離脱でさらに苦しい戦力状況が予想されるが、まずは新規昇格チームとの初戦でしっかりと結果を出したい。
1部への昇格を決めてから今季へのインターバルで、これまでになくフィジカルを仕上げてきたナスパにとって、かつて前プレの代名詞とも例えられたプライアとの初戦は自分達の現在地を知るうえで格好の対戦相手だったといえるかもしれない。
もちろん対戦するのはあの時のプライアではないが、その知名度の大きさは彼等の意欲を燃え上がらせるに値した事は間違いないだろう。
キックオフはプライア。
チームの代表でもあり、今年もチームの牽引役を担うであろう渡邉純(9)はベンチスタート。ベテラン草場が中澤、野島、杉原と組んでピッチに立った。ゴレイロにはニ渡(フタワタリ)が12番のユニフォームで初めての東海リーグのピッチに立つ。
ナスパは森恵輔(1)をゴレイロに、まずは西口(3)、水谷(4)、石川(12)、森下(20)でスタート。石井佑一(30)、石井誠(25)、三上(9)、太田(10)、松山(18)らが時にはセットで、あるいは状況に応じて2枚ずつのローテーションを繰り返えしピッチ上の4人のエネルギーを維持する。
前半立ち上がりから、そのナスパの出足がやや優れ、攻守でプライアより一瞬先を行くプレーが出来ていた。
さらにスピードだけに偏らず、大型選手の松山のキープ力を生かすパターンも効果的だった。
プライアは新しい若い戦力、藤井なども積極的に起用、さらにスピードでは負けない中澤、栗原らが攻守に運動量を発揮、あるいは野島が対人の強さでナスパのセットに対抗する。
10分過ぎ、初めて試合が動く。
ナスパの勢いに押され気味だったプライアだが、強烈なシュートが武器の野島が彼の持ち味を発揮する。
やや右サイドの位置からピッチを斜めに横切りナスパゴールに向かった野島の強烈なミドルシュートが、ゴール前まで詰めていた大石に合わせた(当たった?)形でコースが変わりナスパゴールへ飛び込んだ。
公式記録上は大石の得点となったこのゴールでプライアが先制点を奪った。
リードを許したナスパだが、このゴールにあせることなく、ナスパ流で試合を継続。
そして誰もがハーフターンを意識し始めた頃、試合の流れは一気にナスパに向かう事になる。
プライア陣内、左サイドで得たコーナーキックからの流れで石井佑一(30)が同点ゴールを決めた。この時点で前半の残り時間はわずか1分。
リードして前半を終えたかったプライアは同点に追いつかれたばかりか、残り1分を示すタイマーが再び動き始めたのち、最悪の終わり方を強いられる事になる。
同点ゴールで勢いを増したナスパは気落ちするプライアに襲いかかり、残り数秒で西口(3)が逆転ゴールを奪ったのだ。
1-2と逆転されハーフタイムを迎えたプライア。当然、気持ちの切り替えを全員で話し合ったに違いない。
ところが、後半開始直後、致命的なゴールをナスパの森下に奪われることになる。
後半のタイマーが動き出してわずか数十秒、ハーフライン付近からドリブルで突き進む森下を誰も止められず、シュートレンジに入った森下はそのままフィニッシュ、これが決まってナスパのリードが2点に広がった。
ナスパはハーフタイムを挟んではいるものの、わずか2分足らずのプレー時間で3ゴールを奪ったわけだ。
対するプライアは、前半はどちらかと言えば引いた位置でのプレーが多く全体のバランスに気を使っていた渡邉純が本来の彼のプレースタイルを見せ始める。
ライン際での強引な突破とシュートを狙う渡邉にナスパは人手を掛けざるを得ない。その影響で自由度が増した中澤がドリブルで仕掛け、あるいは野島がこれまでより大きくなったナスパ陣形の隙間を狙いシュートを放つ。
プライアの反撃をゴレイロ森の好セーブで凌ぐとナスパに待望の追加点が生まれた。
前半から身長を生かしキープ力を見せていた松山がゴール正面から決め4-1。
プライアも、第2PKのポイント付近、やや左寄りからのフリーキックを渡邉が直接決めて1点を返す。さらに攻めるしかないプライアは引き続き、渡邉、野島のシュートと中澤の仕掛けに頼るがナスパの集中力は途切れない。
その後も攻め続けたプライアだったが結局、これ以上のゴールを奪うことは出来なかった。
4-2で試合終了。初めて東海1部を戦ったナスパがプライアを撃破した瞬間だった。
ナスパは身に付けてきたフィジカルを最後までピッチで出し続け、見事な逆転勝ちを収めた。
敗れたプライアだが、前半終了間際、石井佑一に奪われた同点ゴールはまだしも、続く2失点はプライアらしからぬものだった。
だからと言って、プライアは決して絶望的な試合をしたわけではない。
事実、先取点を奪い、あと1分を我慢できればシーズン最初のハーフタイムを1-0とリードして向かえることが出来たのだから。
中心選手としてどの試合にも出場していた五味や望月亮太、あるいはFリーグへ巣立っていった藤原のあとを受け継いできた守護神、赤窄などの戦力がチームを離れ、さらに最年長ながら圧倒的な存在の奥山もこの日は不在。
残された若い選手にも、また一つ年を重ねたベテラン勢にも、そして新たに加わった若い戦力にも、もし試合前から、あるいはこの敗戦で、「自分(達だけ)で大丈夫だろうか?」と言うような弱気な迷いがあるのだったら一刻も早い自信回復を願いたい。
対戦相手との個人レベルでの技術的な差はチーム戦術である程度補う事が出来るかもしれないが、どんな名監督でも個人の迷いを戦術で補う事は不可能だろう。
強かった頃のプライアはすべてにおいて洗練されていた。その歴史を持つチームのメンバーとして戦う事に大いに誇りは持ち続けて欲しいが、チーム体制が大きく変わりつつあるこの時期に攻守のスタイルが洗練されていなくても構わないではないか。まずはひとり一人が自信を持ったプレーを繰り返し、がむしゃらに足を動かす事が大切だと思う。
■得点経過(※公式記録による)
▼前半
10分→Praia Grande:大石英徳(18)
20分→NASPA四日市:石井佑一(30)
20分→NASPA四日市:西口敦志(3)
▼後半
21分→NASPA四日市:森下直紀(20)
25分→NASPA四日市:松山竜二(18)
28分→Praia Grande:渡邉純(9)
※公式記録の詳細はこちらのページから≫≫
予想してはいましたが、次々と消化されていくスケジュールはかなりタイト。加えて2会場全試合の速報作業。
終了した試合の両チームへの直接取材は涙を飲む事にしてピッチに戻る筆者なのでした・・・。
どうでも良い事を付け加えさせていただくと、今季の東海1部前期リーグのスケジュールで静岡県勢が登場しない対戦カードは全28試合中わずか3試合。ある意味、貴重な対戦かもしれません!?
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■ROBOGATO 0 vs 1 MEMBER OF THE GANG
1部昇格最初のシーズンとなった昨季、下位リーグに回りながらも何とか残留を果たしたROBOGATO(以下、ロボガト)。多くのサポータに支えられる地元開催の今季初戦で好結果を残しシーズンへ弾みをつけたい。
ここ数年、全日本選手権での全国出場を連続して果たしているMEMBER OF THE GANG(以下、ギャング)。東海1部リーグでも昨年、一昨年と2位でシーズンを終えている。悲願の東海制覇に向け総力戦を全員が心して臨むシーズンが始まる。
ロボガトはこの日、運営担当と言う事もあり朝早くからチーム全員が会場入り。今季から移籍加入のゴレイロ遠藤選手も先週の愛知選抜での試合で痛めたという膝を気にしながらもピッチの設営に精を出していた。
一方、先週の東海選抜を制した三重県選抜の主力を占めるギャング。誰もが認める東海の雄であることは間違いないが、気が付けば中心選手の多くがベテランと呼ばれる域に達している。練習やトレーニングマッチに相当の時間を注ぐチームでもあり、長いシーズンを戦うためには疲労の蓄積にもこれまで以上に気を使わねばならない。この初戦でも主力の一人、日下を怪我で欠く布陣を余儀なくされた。
そして試合開始。ギャングのキックオフで始まった試合だったが、立ち上がりからロボガトの積極さが目に付く。
日下を怪我で欠き、木村、峯山がベンチスタートのギャングは、なかなかボールが足につかず自分達のリズムがつかめない。
最初のローテーションで木村や峯山がピッチに入ってからも、ロボガトの厳しいプレスに潰される場面が目立った。
このあと試合は一進一退に。どちらのチームにも完全に相手ディフェンスを崩しきる場面はなく、結局一つのゴールも生まれないまま前半は終了。
後半の立ち上がりも、キャプテンの東を中心に前半にも増してロボガトの厚みある攻撃がギャングゴールを次々と襲う。特に東(7)、青木(9)、山本(11)、田中充彦(22)のセットは好守にバランスの良さ発揮しつつ、ギャングゴールに迫っていた。
この苦しい時間をこの日ギャングゴールを守る松本が好セーブを連発し凌ぎきるとギャングも落ち着きとリズムを取り戻す。
後半が5分ほど経過した頃、ロボガト陣内の右サイドから峯山が思い切りの良いミドルシュートを放つと、これがロボガトゴールを良く守っていた市川の手をかすめネットを揺らした。
峯山はその後、ロボガトの6個目のファールで得た第2PKもチームから託されたが、こちらは市川に止められ、緊迫した試合からの脱却はならなかった。
どちらのチームにも疲労が大きく見られる試合終盤となったが、結局、1-0のスコアのまま試合終了。
惜しくも敗れたロボガト。もちろん昨季の得点源だった芝田の移籍を少なからず不安視する声もあるだろう。
しかしながら大きく悲観する材料は皆無の試合だったと思う。と言うより「今年はやるかも!?」との想いを筆者が感じたのも事実。
もちろん悔しさが込み上げる心情も容易に想像できるが、気持ちを切り替え次節のデリッツィア磐田(事実上のディフェンディングチャンピオン)との戦いに向け準備をして欲しい。
一方のギャングだが、初戦での勝点3に浮かれることなく次へ進まねばならないことは全員が理解しているはず。この試合で決勝ゴールを奪った峯山以降の若手世代の成長、あるいは新戦力の出現がシーズンを通して期待される。
次節ではギャングとは対照的に、今季の新戦力として経験値の高い松本が加入(←復帰でもあるが。)、石野、萩原ら若手の成長著しい田原FCとの対戦を控える。
楽しみな対戦カードだ!!(※残念ながら筆者は当日鈴鹿に出掛けることが出来ません。ガッカリ・・・。)
■得点経過(※公式記録による)
▼前半
※両チーム得点なし
▼後半
35分→GANG:峯山宗丈(4)
※公式記録の詳細はこちらのページから≫≫
これまでも記事の中で何度か触れさせていただいた、今季から新たに導入された「Futsal Data System」(以下、FDS)。
昨年までの「Sim Seed」に代わり、各種リーグ戦や大会の公式記録の管理を行う新たなシステムです。
このたび、そのFDSで管理されている試合結果などの情報の閲覧が可能となりましたので、以下にそのリンク先をお知らせすると共に、当ブログのページメニュー(トップの画像のすぐ下)に【TFL情報】のページを新設させて頂きました。
この記事に戻らなくても、各種情報へリンクできますので、よりいっそう東海リーグを楽しむために今後は、是非、ご覧ください。
また、東海フットサル連盟のサイトからも同様の情報へのリンクが設けられています。
リーグ戦以外の東海地域の大会情報も掲載されるサイトですので、こちらのサイトも訪れてみてください。
東海地域フットサル公式ページへGo!! ≫≫
+++ FDSによる東海フットサルリーグ各種情報 ++++++++++++++++++++++++++++//
■東海1部
▼日程/結果
▼順位表
▼星取表
▼処分履歴
▼得点ランキング
▼フェアプレーポイントランキング
■東海2部
▼日程/結果
▼順位表
▼星取表
▼処分履歴
▼得点ランキング
▼フェアプレーポイントランキング
■東海女子
▼日程/結果
▼順位表
▼星取表
▼処分履歴
▼得点ランキング
▼フェアプレーポイントランキング
これでこれまでのページメニュー、東海【1部】、東海【2部】、東海【女子】は必要なくなりますね!
今後、ページメニューの有効な利用法を考えてみたいと思います。
もちろん、しばらくは掲載したままにしておきますが・・・。
この日の守山スポーツセンターでのスケジュールは、第1試合に続きこの第2試合も静岡県勢同士のダービーマッチが組まれていました。
そう言えば、この試合時間には2部の会場でも「XEBRA vs スリーク浜松」の静岡ダービーが・・・。
そちらの結果も気にしながらの第2試合の観戦でした。
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■大和撫子/VIORA藤枝 0 vs 2 EMERSON FC
昨シーズンの東海2部を制し今季の1部リーグへステップアップしてきた大和撫子/VIORA藤枝(以下、大和撫子)。その2部での戦いは成績の割には注目度が今ひとつと言えなくもなかった。言い換えれば「このチームはこれだ!」というスペシャルなパーツを個人にも戦術にも持たず、チームの総合力で一歩ずつ進んで来たと言う事だろう。今季は剣持(XEBRAからの移籍)、阿野(XEBRAからの復帰)というチームの顔にもなれる選手が合流し、昇格初年度ながらも上位を狙う準備は万全だ。
対するEMERSON FC(以下、エマーソン)の昨季の成績は東海1部第3位。フットサル経験値が高くない若者達ががむしゃらに戦った結果ではあるが、そのシーズン中での成長も目を見張るものがあった。ゴレイロ鈴木、フィクソの小嶋の両ベテランを底辺に、選抜での貴重な経験を積んだ大石や身体能力に優れた太田など昨季を経験した若者達がさらに躍動すれば、今季も周囲をあっと言わせる成績を残せるのではないか。しかしこの日のベンチに太田の姿はない。
キックオフは大和撫子。
試合開始からほんの10数秒が経過した時、この試合の行方を決めたかもしれないプレーが起きた。と、書いたらご批判を受けるだろうか?
もちろん筆者はその瞬間からそう思ったわけではない。が、試合が進むにつれ「やっぱり、あのプレーが・・・」との思いが次第に強くなり、試合が終わった瞬間にはそれが確信へと変った。
「そのプレーとは・・・」などと書くと大げさな超大作へ発展しそうな気配もあるが、なんてことはないプレーなのだ。
キックオフからボールを廻した大和撫子は、左サイドを野木が突破しゴール前へ早いボールを蹴り込む。そこに合わせて走りこんだのはXEBRAからの復帰を果たした阿野だった。
ドンピシャのタイミングかとも見えたが、ボールスピードが思いのほか速かったのか、若干振り遅れ気味となった阿野はこのチャンスを決めることが出来なかった。
エマーソンの立場で言えば、わずか十数秒でこの日のゲームプランがもろくも崩れるところだった。
そのゲームプランとは、「しっかり守ってカウンター」と、まぁ、よくあるものとも言えるだろう。
自陣に引きコンパクトな陣形で構えるエマーソンは徹底的に縦を切り、出し所、進み所が無くなった相手には二人目が加勢しボールを奪う。あるいは無理な横パスを出させてはインターセプトからの速攻を狙う。
経験豊富な小嶋が底を受け持つだけに、他にも幾つかのプランを描いていたとは思うが、この日の大和撫子に相対するにはこの決め事だけで充分だった。
大和撫子は単純なパス交換にも安定感が無く、高い位置でのポジションを要求する出し手と、セイフティーな位置まで降りて待ちたい受け手との呼吸が合わず、あっけなくボールを失う事が多かった。
やっと繋がった高い位置へのパスも受け手が時間を掛ければ、エマーソンの若手の寄せに苦労する羽目になり、やっと見つけたスペースにボールを出せばそこは小嶋が仕掛けた罠のエリアだ。当然パスを読みきった小嶋は常に相手より一歩先にボールを蹴りだす。ドリブルでの仕掛けも集中したエマーソンの寄せを突破できず潰される。
攻撃の形が出来ない大和撫子は剣持、鈴木修平、望月が遠目からシュートを放つが体を張ったエマーソンの守りの前に跳ね返されると、ルーズボールにいち早く追いつくエマーソンが人手を掛けずドリブルからシュートまで行き着く。
まったくプランどおりの展開で前半を終えたエマーソン。攻め手が見出せない大和撫子。0-0のスコアの割にはハーフタイムのベンチの顔色に差があった。
もしも最初のプレーで大和撫子が先制していたら、もっと試合が大きく動く展開になっていたことだろう。
後半に入っても、特に策を見出したとは思えない大和撫子の攻撃を前半同様、自分達の取り所でものにすると、この日の開幕4試合で最も印象に残るゴールが生まれる事になる。
後半が3分ほど過ぎただろうか。ハーフライン付近でボールをインターセプトしたエマーソンは2対1の数的優位な状況で速攻を仕掛ける。
左サイドを斎藤が、右サイドを山口が大和撫子陣内をダイレクトで強いパス交換を行いながらスピードも落とさず前進、最初の一往復でディフェンスをかわすともう一往復で飛び出した大和撫子のゴレイロ鈴木陽太をもかわし、最後は左サイドの斉藤が無人のゴールへきれいに蹴り込んだ。
後半早い時間でのこのゴールは、リードしたエマーソンでさえ「ちょっと早いかな?」と感じたかもしれない。当然取り返しに来る大和撫子の攻撃に厚みが出ることを想定したことだろう。しかしこの日のゲームの流れはすでにエマーソンに向かって強く流れていた。
「攻撃に厚み」ではなく「攻撃へのあせり」からファールの数も増やしてしまった大和撫子は後半10分が過ぎた頃、ファールカウントが5に達してしまう。
程なく犯してしまった6個目のファールをエマーソンの大石に決められ追いつくどころかリードを広げられてしまう。
試合時間が刻々と少なくなる中、大和撫子は鈴木周平をゴレイロにパワープレーを行うが、やりたいことが形にならないまま時間だけを使ってしまった。
試合はこのまま2-0でエマーソンが勝利。
面白い試合だったかと問われれば、決して「はい」とは言えない試合だったが、ふたつの点でこの日の4試合の中でのベストがあったゲームだったと感じている。
一つは先制点の場面、二人のパス交換に会わせ会場が次第に大きな歓声に変わりゴールが決まってどよめきが起きた。多くの観衆もこの日のベストゴールと認めてくれるのではないだろうか。
もう一つ、エマーソンが見せたゲームプラン通りの試合展開をピッチで実現したその再現率も最も高かった。
新戦力を迎え入れ、戦前の予想では圧勝では?などと思われていたこの試合での敗戦は長いシーズンを戦う大和撫子にとっては良い薬になっただろう。昨年のゲームの流れを思い出し次節以降チーム力が上向きになる事を期待したい。
良く守ったエマーソンだが、ディフェンス面ではやはり小嶋頼みである事は隠し様がない。
今日のように外からしか攻めて来ない相手には中で待ち落ち着いた対応が出来たが、東海1部には様々な攻めを持ち味とする強豪がひしめく。どのようなゲームプランでも今日ほどの再現率を見せられれば良いのだが・・・。
さて、この試合を振り返り、エマーソンの会心の勝利と捉えるか、大和撫子の不甲斐ない試合だったと見るかは人それぞれだろう。
いずれにしても、開始直後のあのワンプレーが両チームの明暗を分けた試合だったと強く感じた筆者だ。
■得点経過(※公式記録による)
▼前半
※両チーム得点なし
▼後半
23分→EMERSON FC:斎藤佳彦(6)
32分→EMERSON FC:大石綾(8)第2PK
「高速料金、休日¥1,000-ポッキリ!」の最終日となった、19日の日曜日。
今季の東海リーグは1部、2部同日開催、しかし別会場という状況の中、「やっぱり観たい1部リーグの開幕戦!」を求め、名古屋市は守山スポーツセンターまでハンドルを握ることにしました。
写真撮りに速報、そして新システムによる公式記録の管理作業も横目で見ながら過ごした4試合でした。さらに2部の速報ではチーム関係者、連盟関係者のご協力もあり、なんとか大きな遅延なくご報告出来たかな?と。
ご協力いただいたみなさん、本当にありがとうございました。
いずれにしても今季の東海リーグが開幕(女子は7月3日)したわけですが、休日¥1,000-の高速料金制度の廃止や、主に製造業で行われると言う、土・日出勤のシフト変更は、種目を問わず真剣にアマチュアスポーツに取り組む方にとっては厳しい状況と言わざるを得ないかもしれませんね。
それでも頑張るフットサラーをフットデ静岡は応援します!(と、言いつつ、県外への取材は今後は厳しいかも・・・。)
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■田原FC 2 vs 2 DELIZIA磐田
昨年の東海1部開幕戦でも対戦した両チーム(DELIZIA磐田は前身のジュビロ磐田として)、1部昇格を決め意気揚々と試合に臨んだ田原FCは0-7という思いもよらないスコアでの敗戦を喫し、その後のリーグでの戦いで精彩を欠くこととなった。
田原FCはその後の公式戦(PUMAカップ県大会決勝)でジュビロ磐田に競り勝ち、気持ちの上では一区切り付いてはいるものの、やはり「リーグ戦での借りはリーグ戦で返したい。」の思いも強いだろう。今季はFリーグの舞台を経験した松本が加入し、昨年以上の目標に向かいスタートを切る。
対するDELIZIA磐田(ジュビロ磐田)は田原FCとは対照的に7-0でスタートを切った昨季を、そのままの勢いで独走し念願の東海王者の称号を手にした。諸事情によりチーム名の変更となり迎える今季、ディフェンディングチャンピオンとしての誇りとチャレンジャーとしての謙虚さを肝に銘じたスタートとなる。
どんな因果かは定かではないが、今季も事実上、昨年と全く同じ「磐田ダービー」で両チームにとってのシーズン開幕となった。
デリッツィア磐田(以下、磐田)のキックオフで始まったゲームは、その磐田が千葉から門田へのシンプルなパラレラでファーストシュートを放つ。その後も短い時間でのローテーションで選手が出入りし運動量を落とさず攻守を継続するものの、連携ミスも多く精度の高いフィニッシュには結びつかない。
対する田原FC(以下、田原)は今年もキャプテンマークを付ける蓮池にFリーグを経験し戻ってきた松本、若手の成長株、石野と萩原のセットでスタート。磐田の高い位置からのプレスに苦しみながらも、蓮池や石野がやや遠目からでも強引に打ち磐田ゴールをこじ開けようとする。が、磐田のゴレイロ皆川がこれを許さない。
その後、磐田のポゼッションがやや高いながらも一進一退でゲームは進む。どちらのチームも中盤で人手をかけた潰しが目立つが、ジャッジの流れから磐田のファールが前半を7分ほど残し5個に達してしまう。
それでも、それまでの積極さを失わずに攻める磐田は高い位置で田原のミスから奪ったボールを千葉が右サイドから左足で田原ゴール左上に強烈に叩き込んだ。
新たなチームとしての記念すべきファーストゴールで先制した磐田だったが、この喜びは長くは続かなかった。
1分後、田原の萩原が自チームのベンチ付近でハードヒットを受け倒れると、レフリーは一瞬、田原のファールを示す。が、これが訂正され磐田の6個目のファールとなりボールは磐田陣内の中央に移された。
この第2PKを田原のキャプテン蓮池が丁寧に決め試合は振り出しに戻った。
前半はこのまま1-1で終了、後半へ折り返すこととなった。
この前半で気になったのが、ピッチコンディションだ。昨年12月から運用が始まったと聞く真新しいアリーナ床面は、まだワックス処理の効果が最大に表れているためか全く滑る気配がなく、ボールが足に絡まるシーンが多かった。特に、足裏でなめるドリブルを好む選手には少なからずプレーのし辛さがあったと思う。
そして後半開始。
前半とは全く違うセットで試合に入った田原に対し、前半同様の布陣で臨む磐田が攻勢を仕掛ける。いくつかのファールも込みで何とか最初のローテーションまで耐えた田原だったが、後半が5分過ぎたころ磐田のキックインからの攻めで思わぬ失点をしてしまう。
磐田にとっての右サイドでのキックインを河合→横山でシンプルにフィニッシュすると、低く強いシュートがゴール正面でディフェンスしていた石野の足に当たりボールはそのままゴールへ飛び込んでしまった。
再び1点を追いかける展開になった田原は、この自殺点とも言えるゴール(公式記録は横山のゴールとなっていたが・・・)を与えてしまった石野が、磐田陣形の隙間を狙いドリブルで盛んに仕掛ける。 潰されたり孤立したりする場面も多々あったが、それでも磐田のアタックラインを少しずつ引き下げる役目は成していたと思う。
試合はこのままのスコアで進み、残り5分を切った頃にこんな場面が発生した。
田原が自陣ベンチ付近でのキックインからリスタートしたボールが後半ゴールを守る杉本につながれた瞬間、レフリーの笛が吹かれバックパスの判定に。猛抗議の田原ベンチだったが対戦相手の磐田もこの流れを認め、キッカーの河合がゴールラインへボールを蹴りだし、ゴールクリアランスとして田原にボールを返した。
ところがこのゴールクリアランスからの展開で磐田ゴール前までボールを運んだ田原が、最後は右サイドの好位置で待つ和泉のシュートまでつなぎ、これが決まって2-2の同点に追いつくこととなった。
このジャッジからの一連の流れは、いろいろな捕らえられ方をする場面ではあったと思うが、抜け目のないポジショニングと確実なシュートを披露した和泉の老獪なプレーを褒めるべきだと思う。
この後の試合は、前半とは対照的に田原のファールカウントが5を数えた状態で時間が経過して行く。6個目のファールを十分にケアしながら磐田の攻めに対応してきた田原に残り数秒でビッグチャンスが訪れる。
残り時間を考慮した最後のプレーで磐田ゴール前に入れられたボールが、ゴール正面でチャンスをうかがっていた松本の前にこぼれる。シュート練習ならばほぼ確実に枠内へ蹴りこむであろうシチュエーションではあったが、残り1秒で松本が思い切り放ったボールはわずかに磐田ゴールを外れ、劇的な決勝ゴールは生まれなかった。試合後、松本はこの場面を振り返り「残りの秒数を把握していただけに焦ってしまった。」と話す。
結局、どちらのチームにとっても「勝ち切れなかった」という思いと「負けなくてよかった」という思いが同居した結果だったのではないだろうか。
面白い試合ではあったが、両チームとも今季からの新戦力を生かしきれない、課題を抱えたスタートだったとも言える。第2節まで3週間のインターバルがあるが、どこまでパフォーマンスを向上させて来るのか!?
観る立場から言えば「今季がさらに面白くなる!」というわけだ。早くも次節が待ち遠しい。
▼前半
15分→DELIZIA磐田:千葉武(11)
16分→田原FC:蓮池紳吾(9)第2PK
▼後半
24分→DELIZIA磐田:横山正浩(12)
36分→田原FC:和泉秀実(7)