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Archive for the ‘橋爪レポート’ Category

10月24日に代々木第1体育館にて行われた日本代表とブラジル代表との国際親善マッチ、ダイジェスト放送で見た試合後のミゲル監督のインタヴューでミゲル監督本人からあんなに多くの日本語のフレーズが聞かれた事に驚きと嬉しさを感じた。

 

もちろん、肝心な部分についてはスペイン語による言葉を小森コーチが通訳してくれてはいたが、途中、ミゲル監督が発した日本語のコメントの通訳(?)で噛んでしまうという「オチ」まで披露してくれ、我が家では小さくだが盛り上がったテレビ観戦の締めだった。

 

実はこの試合について、試合後の記者会見での両チーム監督のコメントをまとめた橋爪レポートが手元に届いていた。
レポート到着から掲載まで少し間が空いてしまい、橋爪氏ならびにテレビ放送では知ること聞く事の出来ない「その手の記事」の掲載を期待してくださっていた読者の方にはお詫びをしなくてはいけない。

 

やっと掲載作業に手を付けられたので、一緒に届いた写真と共に掲載させていただいた。
是非ともご一読願いたい。

 

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■国際親善試合・・・フットサル日本代表 vs フットサルブラジル代表

開催日:2012年10月24日(水曜日)
会場:東京・国立代々木競技場 第一体育館
キックオフ:19:00
試合結果:日本代表 3 (2前半1) 3 ブラジル代表
文、写真:橋爪充

 

◎ブラジル代表マルコス・アウレリオ・ソラト監督コメント 

▼今日の戦いぶりをどう評価するか

「前半はいつものブラジル代表らしくない内容だった。後半はペースをつかみ、支配できた。セットプレーで失点したが、ブラジル代表らしい試合だった。日本代表の成長ぶりも確認しながら試合を運んでいった」

 

▼ブラジルの選手は足が重そうに見えた。コンディションはどんな状態か。ピークをW杯本大会に合わせているのか

「月曜日にかなりハードな試合をやった。12時間の時差があるにもかかわらず、来日後ずっとハードな練習をしている。ブラジルでのシーズンが終わってすぐに移動したこともある。すべて加算するとかなりの負担になっていると思います」

 

▼ファルカンの状態は

「ドクターストップがかかっているわけではないが、ここまで戦術練習には加わらずフィジカルトレーニングのみだった。明日からチーム練習に合流させたい」

 

▼ジェは後半出ていなかったが、コンディションの問題か

「筋肉がつったというので(出さなかった)。今日は結果にこだわる試合ではない。選手のコンディションが一番大事。だからウィルジ、シソ、ジェは後半出さなかった」

 

▼日本と三浦選手の印象は

「昨日もそういう話をしたが、2008年と今の日本代表はぜんぜん違う。かなり成長している。フィジカルが強くなり、戦術の面ではミゲル・ロドリゴ監督が良い仕事をしている。われわれはカズのファンだ。戦術的になれていない部分はあるが、これからフットサル界にとって大きな存在になると思う」

 

▼日本のGKに多くのシュートを防がれた点については

「われわれは枠の中に24本のシュートを打っている。ブラジルがうまくいかなかった部分もあるが、日本のGKはよく止めていた。ブラジルはシュート数が多いが、セットプレーでやられることもある。油断しないことが大事だと思う」

 

▼今回の遠征の成果は

「疲れているという問題は大きい。日本の中でも移動が多かった。だが全体的には良い遠征だったと思う。日本のサッカー協会はフットサルをバックアップしている。フットサルはスペクタクルで、11人制のサッカーの育成という意味でも大事なスポーツ。日本のフットサルの盛り上がりに貢献できたことをうれしく思う」

 

 

◎日本代表ミゲル・ロドリゴ監督コメント 

▼試合を振り返っての感想は

「良い試合ができてうれしい。お客さんがたくさん来ることが分かっていたので、楽しんでもらうことも重要な目標だった。試合では当然ながら、ブラジル代表の方が決定的なシーンを多く作り出した。ただ今日は私たちのGKが素晴らしいパフォーマンスを見せてくれた。勇気を持ってチーム全体でポゼッションを高め、攻撃的な姿勢を保つことができた。守備という私たちの武器を生かせことが、引き分けという結果を生んだ。W杯を迎える上でいい勢いをつける壮行試合になったと思う」

 

▼これまではアラ・フィクソを2枚入れるのが定番だったと思うが、フィクソを1枚にしたりと攻撃的だった。どういう意図があったか。

「(ロドリゴ監督就任後の)2年間は守備とセットプレーにフォーカスした練習をやってきた。ここ1年は攻撃に力を入れるようになってきた。攻撃には、個々の選手の攻撃的なメンタリティーが必要。ブラジルのようなレベルの高い相手に受けて立とう、守ろうとすれば結果は見えている。今日は攻撃に重心を置いた、勇気ある試合ができた」

 

▼逸見選手の先制点のプレー、ゴールにつながったセットプレーに対しての評価は

「私はどういう結果になろうと選手の決断を支持する。逸見選手の決断も、私が評価するものではない。ずっと準備を重ねてきたセットプレーが、ブラジル相手に決まったのは非常にうれしい。現代フットサルにおいてはセットプレーは必須の武器。それが機能することを確認できた」

 

▼逸見選手がチームの中心に見えた。監督はどう認識しているか

「彼は生粋のフットサル選手。子どものころからずっとフットサルをプレーしている。何かを習得する上では、6~12歳が重要な時期。フットサルはボールをたくさん触れる、シュートもたくさん打てる、ドリブルのチャンスもたくさんある。彼はいろいろな魅力を知り尽くして育ってきた選手。そういう選手が日本にいることはラッキーなことだ。ただ、まだ若いので、あまりもてはやすと悪影響になる。そのことは注意しなくてはと思う」

 

▼本日の三浦選手のプレーを採点すると。注文はあるか

「自分がカズ選手から学び取らなければならないこと、彼が私から学び取らなければならないこと。お互いにお互いから学ぶことがある。今日の試合は、子どもがデビュー戦のピッチに立ったかのようだった。攻撃は良いプレーができたが、守備ではブラジル代表のスピードに戸惑っている感じがした。ただ、試合を重ねるごとにプレーが良くなると思う」

 

▼森岡選手も代表デビューだった。印象は

「試合を通じて『まだまだやれるぞ』『まだまだ力を出せるぞ』と声を掛けた。彼なら今日の3倍ぐらいはできる。試合終了後は『おめでとう』と声を掛けた。今日はやろうとするプレーがうまくいかなかったが、他の選手と同じように全力で走って、守備にも時間を割いていた。ただ、彼はこんな物じゃない。今後を期待している」

 

▼試合前のチームの様子は。この試合は何割ぐらいの力を出せたか

「よく集中できていた。私はいつも試合前に『ピッチに立つ以上、試合を楽しもう』と言う。今日もそれを変わらずに実行した。われわれは、先週まで非常に負荷の高いトレーニングを積んできた。後半はその影響が出たかもしれない。フィジカル的には60~65%程度だろう。戦術、技術的には十分高いレベルにまで達している。今日の試合に満足して有頂天になってはいけない。ブラジル相手に拮抗した試合ができたこと。希望、期待自身が生まれたことはポジティブな要素。『これだけやれたんだ』という考えが生まれるのは怖い。われわれはもっと攻撃的にできると思う」

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以下、レポートと共に届いた写真を掲載させていただいた。フットデ静岡用ということで県勢への配慮をしていただいたチョイスだろう。
なお、各写真へのキャプションは筆者がダイジェスト放送などを見た中での感想ほかを付け加えさせていただいたものであることをご了承いただきたい。

▲試合直前の集合写真。バックスタンドに展開された日の丸が「ホーム代々木」をテレビ観戦の筆者にも充分に感じさせてくれた。なお、この試合のメンバーには本大会への遠征メンバーから外れた滝田(18)もユニフォーム姿で加わっていた。良くお話をさせていただくカメラマンの方によると、メンバー発表後もモチベーション、パフォーマンスをまったく落とさずトレーニングに加わる彼の姿があったそうだ。ミゲルジャパンの一員である事にまったく変化はないと言うことだろう。

▲カズのフットサル日本代表としてのファーストプレーの場面。日本のゴールクリアランスの場面でピッチに入り川原→北原を経て数秒後には左アラのカズへボールがわたる。ブラジル代表アリ(4)、シソ(5)にサンドイッチされかかりながらも左足で軽くボールを浮かしたパスで2人のプレスを回避。森岡とのワンツーで左サイドを駆け上がりシュートまで行った場面だ。一般のニュースでも数多く取り上げられたシーンなのでご覧になった方も多いだろう。シュート自体は本人も「腰が回らなかった。」とインタヴューで話していたが、ベンチからピッチへ入った瞬間から静から動へ高いレベルでフィジカルの発揮を要求されるフットサル独特の交代システムを経験した場面でもあっただろう。

▲2-3と一旦は勝ち越されたロドリゴ(14)のフリーキック以外、強蹴されたシュートへはほぼ完璧な反応を見せていた川原(1)。最終的に3-3のドローで試合を終えた立役者である事に疑いはないだろう。逆に筆者にとってはカットインからシュートまで行くブラジル各選手の能力の高さに感心した。本大会での対戦でもこのカットインへの対応はカギになるのでは?

▲静岡出身の藤原(14)と富金原(12)の控えゴレイロの二人。終始ベンチから試合を見ていた2人だが、この日の川原のパフォーマンスをも肥やしにし、次の世代の正ゴレイロへ激しく凌ぎを削って欲しいと思う。

▲フットサル日本代表への招集がついに実現した森岡(7)。ミゲル監督のコメントにもあるように「まだまだこんなものではない。」ことは本人もチームもサポーターも同じ思いだろう。本大会での爆発のためには「すべてを見せずに終わった事」をプラスに考えるとしよう。一方のブラジルだが「本当は見せたくなかったんじゃないか?」とも思えるセットプレーのいくつかを使ってまで点を取りにきた。その形に持ち込む各選手の動きの質は素晴らしかったが、日本にとっては本大会への準備として貴重な経験だったとも言えるだろう。

▲今回の代表メンバーの中では20歳のラファエル(15)の次に若いのが26歳の星翔太(9)だ。攻守の場面で1列目での運動量の発揮、質の高い動きが期待される。余談にはなるが・・・もしも日本代表が勝ち進めば、星は決勝戦前日の11月17日に27歳の誕生日を迎える。

 

 

※橋爪さん、いつもありがとうございます。また、少々掲載が遅れ申し訳ありませんでした。今後ともよろしくお願い致します。

 10月2日午前にエコパアリーナで行われたフットサル日本代表のトレーニングを見てきた。代表候補メンバー入りした三浦知良選手がもたらす「カズ効果」については、すでにさまざまなメディアで報じられている。今回の取材目的の一つは、筆者個人としてそれを体感することだった。

 

今回のトレーニングキャンプに参加した全選手。

 

 いつものトレーニングならフラッと入ることのできるエコパアリーナだが、今回は取材受付が設けられ、ワッペンの貼付を義務付けられた。取材陣は地元テレビ局や地元紙、スポーツ紙など約50人といったところか。筆者と県連盟I氏、フットサルナビのカメラマンH氏といった組み合わせが通例の静岡合宿とは、完全に様変わりだ。
 取材陣の中にはNHK「ニュースウォッチ9」の大越健介キャスターの顔もあった。公共放送の「夜9時の顔」がフットサル日本代表の練習を見に来ている。今回のプロジェクトが世間に与えたインパクトの大きさを、あらためて実感した。

 

入閣したばかりの田中真紀子文部科学相いわく「日本で一番有名な方」の大越キャスター。

 

 アリーナ入口付近からピッチまで、選手の導線が設けられている。午前9時過ぎに到着したバスから選手、スタッフが次々おりてくる。想像以上にリラックスした表情だ。大勢のオーディエンスや報道陣に戸惑いがあるかと思いきや、そうした「変化」には先週の名古屋合宿を経てすっかり対応済みなのか。生き生きとした表情が印象的だった。

 

バスから最初に降り立ったのはミゲル・ロドリゴ代表監督だった。

最後に姿を見せた三浦知良選手。約束どおり?会場入りした北澤豪FリーグCOO補佐とがっちり握手。

 

 練習開始前に集合写真撮影の時間が設けられる。4~5列に並ぶカメラの放列。15mか20mか。かなり距離をあけて列を作る日本代表選手たち。日本サッカー協会広報担当から姿勢や表情について細かな注文が付く。注目の三浦は後列左端に立った。前列の木暮賢一郎や小森隆弘コーチと談笑する場面も見られた。

 

集合写真の撮影を別アングルから。

 

 トレーニングのメニューは「いつもどおり」である。ストレッチ後、遊びの要素を取り入れたアップ。今日は手つなぎで2人1組を作り、ハーフピッチで鬼ごっこをした。三浦とコンビを組んだのは星翔太。大声を上げながら追いつ追われつする選手たち。このリラックスしたムード、普段サッカーを取材しているメディアにはどう映っただろう。そんな思いを巡らせながらピッチを見つめた。

 

アップメニューの2人組み鬼ごっこから。キングKAZUのパートナーは星翔太選手だった。

 
 5対3のボール回しを経て、ゲーム形式の練習。午前のセッションではカウンターを禁じ、ボール奪取後はいったん自チームのゴレイロにボールを戻すルールだった。DFはハーフから押し上げるよう、指示が出た。前からのプレスと速攻は、午後のセッションで行うようだ。

 

 セット分けは以下の通り。左足にサポーターを巻いた稲葉は別メニューだった。
A)三浦、小宮山、逸見、星、冨金原
B)村上、小曽戸、北原、森岡、川原
C)滝田、高橋、木暮、仁部屋、藤原

 

 注目の三浦に対してはミゲル・ロドリゴ監督から「アラからプレーしよう」という声が飛んだ。メンバー全員に「DFの間にポジションを取ること」が伝えられる。「最初からピヴォに入れるとプレッシャーをかけられて終わってしまう」。ブラジル戦を想定した指示が送られる。

 

試合形式での練習メニューから。注目の二人がマッチアップ。

 

 実戦形式の練習を見ていて印象に残ったのは、三浦を「フットサル選手」に「改造」することへのスタッフの「本気度」の高さだ。ピッチ内ではミゲル監督が(どの選手に対してもそうだが)細かくポジションを指定する。CKでニアを切る壁になるシーンでは、膝立ちのフォームを手の位置まで修正していた。三浦はそのいちいちに対して、真摯に耳を傾ける。ゴレイロ冨金原に自らのフォームへの意見を求める場面も見られた。

 

セットプレー(コーナーキック)でのディフェンスシーン。

 

 ピッチ外では、在原正明コーチがほぼマンツーマンでレクチャー。「主にディフェンスのステップワークについて。状況が不利にならないためにはどういう準備をしていけばいいのか、というのをお互いにすり合わせた」(在原コーチ)という。
 

 

ベンチ脇で在原コーチの通訳に耳を傾ける。

 
 トラップや、パスを受ける予備動作などは明らかにサッカー選手のそれ。ダイアゴナルに走っても、なかなか思い通りのタイミングでパスが出てこない。アラでスタートしたはずが、ゲームが進むにつれ前線で孤立する場面も目立った。スクリーンに来た選手をそのままフリーにしてしまうなど、DFの面でも未整備の部分は多い。

 

 だが、名古屋合宿を見た数人のジャーナリストによれば、「1週間前とはスピードが全然違う」という。この日の練習でも、フットサル特有のタッチ数の少ないボール回しに慣れようとする気持ちが感じられた。サッカーとは使う筋肉も違うだろう。きつそうなメニューに謙虚な姿勢で取り組む「キングカズ」の姿勢には非常に感銘を受けた。

 

 選手間のコミュニケーションについても「1回目の合宿に比べたら(コミュニケーションの質が)ぜんぜん違う」(村上哲哉)という。星翔太は、代表チームを取り巻く環境の変化について「カズさんの効果を実感している。今後もこれが続くようにするのが僕らの役目」と話した。

 

 ミゲル監督就任後、初の合宿となった2009年6月以後、フットサル日本代表はエコパアリーナで数多くのトレーニングを行った。特に発足から1年間は、ほぼ毎月といってもいいほどのハイペースだった。日本サッカー協会の発表によれば、今回のW杯前に静岡でトレーニングするのは今回が最後となる。手前味噌で非常に恐縮だが、筆者のこれまでの日本代表レポートをいくつかご紹介したい。

 

 静岡県で産声を上げた「ミゲル・ジャパン」のW杯での大活躍を祈る!

 

ロドリゴ・ジャパン始動!(2009年6月6日 フットサルタイムズ)
http://www.futsal-times.com/news_body.php?id=17514

「U-24日本代表」初召集!(2009年6月13日 フットサルタイムズ)
http://www.futsal-times.com/news_body.php?id=17595

中国遠征帰国後の初合宿(2009年7月6日 フットサルタイムズ)
http://www.futsal-times.com/news_body.php?id=17887

フレッシュな顔ぶれがはつらつプレー(2009年10月9日 フットサルタイムズ) 
http://www.futsal-times.com/news_body.php?id=19259

若手とベテラン「融合」への第一歩(2009年12月17日 フットサルタイムズ)
http://www.futsal-times.com/news_body.php?id=20169

フットサル日本代表小森隆弘コーチ兼通訳インタビュー(2009年2月10日 フットサルネット)
http://www.futsalnet.com/fn2009/2010/02/topics-017291.php

ミゲル監督不在の緊急事態(2010年4月23日 フットサルタイムズ)
http://www.futsal-times.com/news_body.php?id=22037

2年目のミゲル・ジャパンは「攻撃」に着手(2010年10月7日 フットサルタイムズ)
http://www.futsal-times.com/news_body.php?id=24607

 

 

※テキスト:橋爪 充
※写真:橋爪 充、フットデ静岡
※なお写真へのキャプションはフットデ静岡にて入れさせて頂きました。

 Fリーグ第14節アグレミーナ浜松対デウソン神戸が9月21日、掛川市のさんりーな掛川で行われた。13節を終えて1分け12敗のアグレミーナだが、さんりーなは第5節町田戦で勝ち点1をもぎ取った「ゲンのいい」会場。オマー・ニージャーリも5試合ぶりにメンバーに名を連ねた。神戸は前節、試合終了間際にゴールを許してドロー。だが名古屋、大阪に続く3位という好位置につけている。

 

▲アグレミーナ浜松

▲デウソン神戸

 前回の対戦は7月22日の第5節。アグレミーナのマンマークがある程度の効力を発揮したものの、走力の差があらわになった一戦だった。スコアは1対4。退場者が出て数的不利になったのも痛かった。

 

 試合開始。お互いにトラップやパスのミスが多い。試合後の選手、監督のコメントによれば、アグレミーナは「前プレスで主導権を握る」という方針だったようだが、実効性には疑問が残る内容だった。

 

 デウソンには原田浩平という日本屈指のピヴォがいる。細かくフェイクを入れてDFから遠ざかり、ボールを受けるのが上手い。デウソンは原田やセカンドセットの岡崎チアゴを使い、アグレミーナの守備ラインを下げさせた。

 

 アグレミーナはいくつか可能性を感じる攻撃を見せた。パラレラで右サイド奥に進出しようとした場面が2回。相手につぶされたが、ここで折り返しを打てればチャンスが広がっただろう。9分にはハーフウエーライン付近でヒールパス2本をつなぎ、向島佑介が逆サイドの蓮池紳吾に絶妙の浮き玉パス。ダイレクトで放ったグラウンダーのシュートは惜しくもゴール左に外れた。

 

 14分、デウソンが先制。岡崎が放ったシュートのこぼれを、鈴村拓也が逃さずたたいた。百戦錬磨の元日本代表。勝負どころでのシュートの正確性を発揮した。

 

 18分、デウソンが追加点。左サイドでパスミスを拾った山元優典が中央に持ち込んでミドルシュートを放つ。ゴレイロ山本浩正は虚をつかれたかのように動けず、ボールはゴール左上に吸い込まれた。

 

 暗雲立ちこめる展開だったが、アグレミーナは勢いのある攻撃を続ける。19分、剣持貴充が強烈なロングシュート。ゴレイロのパンチングに中島涼太が猛然と突っ込んだ。

 

 前半残り40秒、右サイドでボールキープした石野潤が輝きを見せる。DF2人を切り返しとまた抜きで交わして前に出ると、正確なシュートでゴール左上隅を射抜く。1対2。アグレミーナはその後も左サイドのキックインから立て続けにシュートを放ち、良いイメージで前半を終える。

 

 後半も田中充彦、石野、蓮池、松本行令のセットで攻め立てるアグレミーナ。田中→石野でデウソンゴール左に進出、FKのチャンスも得る。

 

 だが好事魔多し。21分、デウソンはシュートキャッチしたゴレイロ冨金原徹が、切り替えの早さを発揮して浜松ゴールにダッシュした原田に絶妙のスロー。右に江藤正博が並走する「練習でいつもやっているパターン」(冨金原)だ。教科書通りのカウンターが発動され、あっという間に3点目を奪った。良い時間帯に得点できず、返り討ちに遭ったアグレミーナ。このゴールは痛かった。

 

 時間が進むにつれてパス回しが単調になるアグレミーナ。相手陣に攻め込みながら、内から外へ渡すパスがタッチを割るシーンも見られる。ここでミスしていては、ゴールはおぼつかない。

 

 デウソンはパス回しの精度が高まる。30分、右サイドから江藤が体を振って中央へ進出。細かいボールタッチでDFとゴレイロを翻弄し、左足でゴールに流し込んだ。

 32分には森洸が鈴村とのワンツーを決めて5点目。このあたりからアグレミーナは裏のスペースがぽっかり空くようになる。攻撃ではパス回しでミスが頻出し、個人の仕掛けに頼らざるをない。無理な突破が相手の守備網に引っかかり、一発で裏を取られる悪循環。デウソンはその後4点を重ねた。

 

 試合は9対1でデウソン勝利。アグレミーナはホーム最多失点を喫した。試合後の選手たちにサポーターから「気持ちを見せろ」の大コールが降り注いだ。なすすべもなく失点を重ねた後半は、ホーム戦としてはあまりにお粗末だった。悔しさのあまり涙にくれる選手もいた。

 

 これで14試合勝利なし。Fリーグの記録をひも解くと、2008年のステラミーゴいわて花巻は開幕から18試合未勝利だった。19節町田戦で挙げた初勝利が、このシーズン唯一の勝ち星だった。14節まで1分13敗。現在のアグレミーナとそっくりだ。そんなステラミーゴも14節終了時点での失点は71。アグレミーナの失点80は、それをはるかに超えている。

 

「守備の立て直しが急務」。言うは易し行うは難しだが、現在のアグレミーナの課題はここに尽きる。残り1分でFリーグ初出場を果たしたゴレイロ石原健太の鋭いまなざしとあふれる活力には、光明が見えた。

 

 アグレミーナ・前田健一監督のコメントによれば、「ブラジル人監督」との交渉は進んでおり、10月中の合流を目指しているとのこと。勝利に飢えた選手たちの気持ちがピッチ上で良い循環を生む。そんなゲームを期待したい。

 

●アグレミーナ浜松 1-9 デウソン神戸

14分 鈴村拓也(デウソン) 0-1
18分 山元優典(デウソン) 0-2
20分 石野潤(アグレミーナ) 1-2
21分 江藤正博(デウソン) 1-3
30分 江藤正博(デウソン) 1-4
32分 森洸(デウソン) 1-5
33分 鈴村拓也(デウソン) 1-6
34分 山蔦一弘(デウソン) 1-7
36分 稲田瑞穂(デウソン) 1-8
39分 瀬川昂暁(デウソン) 1-9

写真・レポート:橋爪充

 

 Fリーグ第13節アグレミーナ浜松対湘南ベルマーレが9月15日、浜松アリーナで行われた。12節を終えて勝ち点1のアグレミーナ、勝ち点7で3連敗中のベルマーレ。アグレミーナは順位が近いチームの対戦でFリーグ初勝利を目指したが、0対5で完敗を喫した。

アグレミーナ浜松・・・2番向島が怪我から復帰、4番石野はホームアリーナ初登場となる。

湘南ベルマーレ・・・怪我のため長期戦線離脱を余儀なくされていた曽根田(静岡県出身、後列左端)が復帰、短い時間ながらもキャプテンマークを腕に巻きプレー。その前、前列左端の刈込(22番、静岡学園出身)はFリーグ初ゴールを記録。前列右から二人目、14番の中村も静岡学園出身。

 

 11分、CKから小野大輔にミドルシュートを決められ、1分後には右サイドが決壊し久光重貴にゴールを割られた。前半終了間際には刈込真人、ボラに続けてゴールを献上。この時点でほぼ試合の趨勢が決まってしまった。

 

 アグレミーナの攻撃の見せ場は少なかったと言わざるを得ない。前半は、3分の蓮池紳吾、田中充彦、中島涼太でワンタッチパスをつないで右サイド奥まで持ちこんだ場面、10分の石野潤がDF2人の間を突破して中央に切れ込んでシュートを放った場面など。後半は開始早々にカウンターから蓮池、中島、田中、松本行令が絡んで2度ゴレイロとの1対1の場面を作りだしたのが目につく程度だった。

 

 松本、石野、蓮池らがライン沿いを縦突破しても、藤井健太らベルマーレのフィクソのカバー意識が高く、なかなかゴール前にボールが入らない。残り5分からは、山本浩正がハーフウエーラインを超えたエリアに進出し、パワープレーを試みたが、左からの中島のシュートは相手ゴレイロに止められた。 

 

 同じカードは8月19日、小田原で行われている。剣持、田中のゴールが決まって2対0で前半を折り返しており、3対4で敗れたとはいえかなり競った内容だった。それからわずか1カ月後の完敗。いったいチームに何が起こっているのか。

 

 前田健一監督は「ベルマーレ戦に向けて練習した動きが全く見られなかった。自分勝手なプレーをする選手がいた」と話す。「Fリーグの舞台に立っていることだけで満足している」「お客さんにお金を払ってもらっているという自覚がない」「チーム(ゲーム)のマネジメント力が低い」。いらだちばかりが口を突く。

 

 プレス控室で、オフィシャルのカメラマンたちと話をした。浜松のチーム状態が好ましくないことについて、率直な意見を聞かされた。正直、耳の痛い話ばかりだった。「アマチュアの選手やスタッフにどこまでを要求できるか、という問題」。そんな話をされた。

 

 負け続けて雰囲気の良いチームなどあるわけがない。Fリーグ発足当時の回顧話になった。

 

 思い出すのは初年度のシュライカー、2年目のベルマーレ。勝てない。首脳陣と選手の関係が悪い。サポーターからはブーイング。どうにもならない状況に見えた両チームだったが、その後一定の向上が見られた。ベルマーレは全日本選手権準優勝の経験があるし、シュライカーの現在の充実ぶりは周知の通りだ。

 

 チーム状況を劇的に変える薬はない。できることと言えば「投げ出さないこと」しかない。我慢が要求されるが、結局のところそれに尽きるのではないだろうか。カメラマンたちも同意見だった。

 

●アグレミーナ浜松  0-5  湘南ベルマーレ

11分 小野大輔(ベルマーレ) 0-1
12分 久光重貴(ベルマーレ) 0-2
20分 刈込真人(ベルマーレ) 0-3
20分 ボラ(ベルマーレ) 0-4
29分 ボラ(ベルマーレ) 0-5

写真・レポート:橋爪充

 

 「勝てた試合だった」

 この試合からキャプテンを任された中島涼太は試合後、そう言って唇をかんだ。
 3対4、アグレミーナ3連敗。前半は2対0で折り返した。勝利への道筋は見えかけていた。だが、残念ながら終着点へたどり着くことはできなかった。

第1クール最終戦【第9節】に臨むアグレミーナ浜松の選手たち

 

 「現実路線に戻り、まずは守備から」(前田監督)というチームコンセプトのもと、特にゴール前に人数をかけて守った前半だった。サイドでの寄せの素早さ、シュートに対しての体の張り方には見るべきものがあった。ベルマーレのボラが「ファルカンフェイント」で鋭く左右にボールを動かしても、萩原洪拓、蓮池紳吾らが粘り強く食いついていた。

 

 10分、左キックインから剣持貴充が左足でゴール。16分には自陣からカウンターで持ち込んだ田中充彦が、相手ゴレイロとの1対1を見事に制して2点目を奪った。剣持のシュートの強さ。田中の「自分の距離」の作り方の上手さ。持ち味がよく出た2ゴールだった。

 

 アグレミーナの前半のシュートは3本。このうち2本がネットを揺らしたのだから、効率が良い。ハーフタイムのプレスルームでは、「3対0になったらいよいよアグレミーナ勝利が現実味を帯びる」という声が聞かれた。ペスカドーラ戦で4対2から追いつかれたことを皆、承知している。

 

 後半、先に得点を奪ったのはベルマーレだった。21分、前半剣持がシュートを放ったあたりから、ボラが左足でシュート。これがシュートコースに入った田中の体に当たってふわりと浮きあがり、ゴレイロ山本浩正の上を抜いてゴールイン。献身的にディフェンスに行っていただけに、アンラッキーな1点だった。だが、フットサルという競技はえてして、こういう「理不尽なゴール」が流れを変えるのだ。

 

 ベルマーレは前半よりプレスラインを下げており、アグレミーナがボールを回す時間が増える。足元、足元でつなぐアグレミーナ。ベルマーレがボールカットからカウンター、アグレミーナのカウンター返し。

 

 29分、ベルマーレの小野大輔が自陣左サイドでボールを持つ。アグレミーナの選手は誰もチェックに行かない。ほんのちょっとした時間。だが、この元日本代表ピヴォはこういう空白の時間を決して無駄にしない。右サイドを脱兎のごとく駆け上がった鍛代元気に向けて、糸を引くようなシュートパス。ドンピシャのスライディングシュート。試合は振り出しに戻った。

 

 逆転ゴールはその50秒後。今度は左キックインから、同じように右ファーに突っ込んだ鍛代がプッシュした。2枚の壁の間が空く。1点目のゴールスコアラーに付ききれない。アグレミーナのディフェンスにほころびが見えたベルマーレの3点目だった。

 

 アグレミーナは、ニージャーリが前線でボール保持する。コンディションは悪そうで、運動量は多くない。振り向いてのシュートも見せない。だが、ゴールを背にする形でとにもかくにもキープはしてくれる。必然的にボールが集まる。

 

 アグレミーナは残り7分あたりから、ハーフラインを越えてプレッシャーをかけるようになった。これはベルマーレを慌てさせる効果を生んだ。37分、ベルマーレ鍛代にこの日3点目を決められ、2対4。だがリスクを負って前がかりの陣形を敷いている以上、仕方がない。直後にニージャーリがこの日初めて見せた反転シュートを突き刺し、チームを鼓舞した。

 

 シュートシーンが続くアグレーミーナ。「パワープレーを使わなくてもひっくり返せる確証があった」(前田監督)という戦況が続く。残り17秒で第2PK奪取。だが関係者、ファンの期待を背負った剣持の一撃はゴレイロにストップされてしまった。ほどなく試合終了のホイッスルが鳴った。

 

 「試合を重ねるごとに少しずつ強くなっていると思う」。前田監督はいつものように、前向きなコメントに終始した。続いて外国人監督招へいについて、初めて記者会見で口にした。「良い形で次の監督にチームを手渡したい」

 

 リーグ戦は1週お休み。代わりにオーシャンアリーナ杯が開催される。23日に組まれた1回戦の相手はFリーグ準会員のフウガすみだだ。クラブ発足後、初の公式戦勝利を飾るか。それとも「格下」(あえてこの言葉を使う)相手に1敗地にまみれるのか。ある意味、リーグ戦以上に重要な意味を持つ1戦である。 

 

●湘南ベルマーレ 4-3 アグレミーナ浜松

10分 剣持貴充(アグレミーナ) 0-1
16分 田中充彦(アグレミーナ) 0-2
22分 ボラ(ベルマーレ) 1-2
29分 鍛代元気(ベルマーレ) 2-2
29分 鍛代元気(ベルマーレ) 3-2
37分 鍛代元気(ベルマーレ) 4-2
37分 ニージャーリ(アグレミーナ) 4-3

写真・レポート:橋爪充

 

前半10分、先制ゴールをたたき出した剣持

この日から新キャプテンの中島が、ボラを引き連れてカウンター

多くのアグレミーナサポーターが小田原に駆けつけた

カウンターから田中が抜け出して2点目

右サイドを攻め上がる蓮池。この日は守備での奮闘が際立った

カウンター攻撃の起点になることが多かった松本行令

残り3分でさく裂したニージャーリのゴール。1点差に詰め寄る

試合後、スタンドに挨拶するアグレミーナの選手たち