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■聖隷ウイングス 1 vs 1 Infinito/PROVA清水フットサルコート
どちらもベンチ入りの戦力が少数のチーム同士の対戦だったが、しっかりした守備の意識から攻撃へ展開する基本通りの戦術が持ち味の両チームだけに、最後まで勝負の行方が分からない攻守を繰り広げた。
もうひと押しが足りず引き分けに終わったインフィニートだったが依然無敗をキープ。消化試合数に差はあるものの勝ち点9で3位の好位置につける。
一方、5分の星に戻せなかった聖隷は残り試合での上位グループ入りを目指すこととなった。
※当日の試合から15枚の写真をフォトギャラリーにて掲載いたします。
やはり強かったギャング・・・全日本女子の東海大会を終え、多くの方がそう感じたのではないだろうか。
スキル、フィジカル、経験、その全てにおいて東海女子のリーダーであることを証明したのが今大会の初戦、ゴリラとの戦いだった。
三重県は伊賀上野を拠点に活動するギャングには大阪からのメンバーも含まれているが、この日の第1試合(10:00キックオフ)で戦う彼女達の中には夜中の3時過ぎにはエコパに向けて自宅を出た選手もいたと聞く。
今年、ギャングが初戦で対戦するのは静岡を2年連続で勝ち上がって来たゴリラだ。
ゴリラは県内での最大のライバル、フロンティアを倒し初めて進んだ昨年の東海大会で一つの勝点も奪うことなく予選敗退した。
それだけに地元開催となった今年の東海大会への意気込みは、この日対戦する全てのチームが脅威に感じていたに違いない。
そのゴリラの勢いに押されたのか、あるいは深夜・早朝移動のためのコンディション不良なのか、大切な初戦に臨んだギャングにしては彼女達らしからぬ試合運びから失点を重ねたのだったが・・・。
それでは試合開始からこの試合を簡単に振り返えろう。
ゴリラのスタートは横山をゴレイラに松島、稲葉、青山、斎藤といつもどおりの5人がピッチに入る。
対するギャングは森本、小山、村上、中尾の4人に、フィールドプレーヤーとしても高い能力を持つ上杉をゴレイラに配しスタート。
この試合、ギャングはゴリラの左利きの青山を最も警戒しゲームに入る。「左利きの男子にも練習に入ってもらい、その対策をした。」と言うほどの気の使いようだった事を試合後、監督兼任でもある小山が話してくれた。
その青山の左足はほぼプランどおり押さえる事が出来ていたが、やはり要注意だったはずの松島、稲葉に対しては2人のシュートレンジの広さ全てを抑えることが出来ず、再三ミドルシュートを許してしまう。
そして見応えある攻守を互いに繰り返した前半も残り1分を切り、両チームスコアレスでの折り返しかと思われた時間にこの試合最初のゴールが生まれた。
ゴリラはギャング陣内で松野から右サイド稲葉にボールをつなぐ。
稲葉は自分への寄せが遅れた一瞬を逃さずシュートを放つと、ボールは右45度の角度からギャングゴールに吸い込まれた。
「私のプレスの遅れが原因だった。」と試合後に振り返る小山は、自らが前半序盤で逸した決定機も含め悔しさを滲ませた。
さらに後半開始から1分たたない時間帯にギャングはまたしても稲葉へのプレスが不十分で失点してしまう。
ゴリラのコーナーキックから、第2PKマーク付近で待つ稲葉が鮮やかに叩き込んだのだ。
0-2。東海地域の公式戦ではなかなか起こりえないギャングの2点のビハインドに会場内にもざわめきが起こる。
しかしこのスコアがギャングの攻撃のスイッチを入れた。
2失点目からの5分間で落ち着きを取り戻したギャングの反撃が始まる。
まずは後半6分、森本がロングフィードをゴリラボール前で鮮やかに裁きシュート。一旦はじかれたボールを自身で再度蹴りこみ1点を返す。
続く後半7分にはコーナーキックからの展開をゴリラゴール正面で待つ中尾が延ばした足先にかろうじてボールを当て、しぶとくゴリラゴールへボールを押し込んだ。
これで2-2。あっという間の同点劇に会場は再びざわめく。
落ち着きを取り戻せないゴリラに対しさらに攻撃を仕掛けるギャング。
試合終了まで2分少々となった後半10分、ゴリラゴール正面、ペナルティエリアやや外側でゴリラがファール。
このセットプレーからキッカーの森本が左45度で待つ田中真由美にフィード。田中はダイレクトでしっかりとミート、グラウンダーのシュートはそのままゴールへ吸い込まれた。
結局このゴールが決勝点となり、ギャングが苦しみながらも勝点3を奪った。
試合後、小山は「2点目取られたときは、さすがにしまった!と思いましたよ。ただ、変なあせりはなかったですね。自分の中では0-2からの逆転劇が浮かんできたりで・・・(笑)。」と話してくれた。
キャプテンの森本も「この予選の前の変な入れ込みはまったくなかったですね。さらっと予選通過しようね!って感じですかね。甘く見てるとか、自信過剰とかじゃないですよ。落ち着きがあったというか・・・。」と精神面の安定感を口にした。
続けて「初戦に勝つことよりも、予選大会を2位以上で終えることが頭にありました。自分達のフットサルが出来れば行けるって。でも、この試合での逆転劇はみんな自信になるんじゃないでしょうか。」と加えた。
さらに話が昨年の全国大会に及ぶと「準決勝の浦安戦では戦力差やそれまでの疲労など考えて、ディフェンシブな戦いをテーマに試合に臨みました。規定の試合時間を0-0で終えることが出来たのは、自分達のプランどうりのゲームが出来たと言う事。PK戦で負けて決勝に進めなかった事はもちろん悔しかったですが、決して後悔するようなゲームじゃなかったですね。」と振り返った。
「でも自分達のスタイルは攻めのフットサル。全員が攻め好きですから!自分も今年はより高い位置からの攻撃をテーマに試合に臨んでいるし点も取れている。今年は攻めのフットサルを楽しみたい!」
ギャングにとって過去何度も跳ね返されている全国大会・準決勝の壁。
今年こそ、その壁をギャング流で突破し「悲願の全国制覇を!」との強い想いを彼女の最後の言葉に感じた。
第8回全日本女子フットサル選手権全国大会は、11月4~6日に兵庫県神戸市のグリーンアリーナ神戸にて開催される。
サムライフットサルレディースとして活動していた昨季、悲願の全日本女子全国大会出場を果たしはしたが、初戦のオウンゴール(富山県代表)との対戦で1-1と引き分け勝点1を得たものの、続く2試合では広島県代表のピヴォックス・アスパラーゴに3-0、優勝した埼玉県代表の武蔵丘短期大学シエンシアには6-0と連続完封負けを喫した。
経験豊富なベテラン勢と、身体能力が高い若手戦力が程よく混在するチームだが、全国の舞台ではその程よい配分がピッチ上でのバランスの良さとは結びつかなかった。
だが今年の東海大会を前に、アタドゥーラの名で活動してきた彼女達に頼れる監督が現われた。
東海1部を戦うロボガトの近藤友治選手がその人だ。
彼が監督としてこのチームを見るようになってからわずか1ヶ月との事だが、筆者が目にした今季の東海女子開幕戦での彼女達の戦い方と比べ、パスワークや相手ボール際への寄せの鋭さは際立って良くなっていると感じた。
もちろん、初戦のファルコとの試合で2-0から追いつかれた事への反省は多々あるだろう。ギャングとの0-2の敗戦もまたしかり。まだまだ成長しなければ全国の強豪と互角に渡り合えないと言う自覚は彼女達こそが強く感じたに違いない。
それでも東海地域に与えられた全国への2枠の一つを手に入れたことは紛れもない事実。
東海のトッププレーヤーを指導者に迎え、自分達ひとり一人の潜在能力をさらに引き出してもらう事が出来さえすれば、難しい戦術に頼らずともより高いレベルでの戦いが出来る気がしてならない。
2年連続で臨む今年の全国の舞台では、ひとり一人が持っている能力を存分に発揮し、自己主張を大いにして欲しい。
選手全員の自己主張がチームの和となった時こそ全国で戦える戦力を発揮できるのではないか。
その全国大会まではわずか1ヶ月。短期間ではあるが彼女達のさらなる成長に期待したい。
「なんとしても全国へ!」・・・ファルコにとっての初戦、アタドゥーラとの対戦で見せた彼女達のプレーこそ、その想いをピッチに出し切った気持ちの入ったゲームだった。
開始直後に続き序盤でさらに失点を重ね0-2のビハインドで前半を終了。しかしながら「負けられない戦い!」を全員が確認しあって臨んだ後半、粘り強いディフェンスとゴールへの執念で追いすがり、試合時間が1分を切ってから同点ゴールを奪った。
参加4チームで最もベンチ入りの戦力が少ないチームではあるが彼女達のテーマである「全員で!全力で!」の見事な戦いだった。
続く2試合目でギャングに前半0-0と善戦するものの敗れたファルコだったが、初戦での勝点1で可能性を残した東海2枠入りに向け、ゴリラとの対戦を迎えた。
その試合に課せられたノルマは勝利。さらに1点でも多くゴールする事が悲願の全国への条件だった。
開始早々に加藤愛のゴールで先制点を奪うと、しっかり守ってカウンターを忠実に実行、何本のシュートがゴリラのゴールポストを叩いただろうか?そんな際どいシーンを数多く作り出すものの追加点が奪えない。
すると2年連続での勝点0だけは阻止したいゴリラの意地の攻撃に同点弾を浴び1-1の引き分けで終戦となってしまった。
試合後、彼女達が流した涙に掛ける言葉もなかったが、ファルコの戦いぶりにあらためて惹き付けられたこの日の3試合だった事は言うまでもない。
今年度の全日本女子フットサル選手権 東海大会を終えたgolrira shizuokaの戦いをフォトギャラリーにてご紹介いたします。