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ウイダーFリーグ第25節アグレミーナ浜松対府中アスレティックFCが12月8日に浜松アリーナで行われた。
アグレミーナ浜松は後期に入ってから6連敗、前期から数えると16連敗と苦しいシーズンを送っている。
しかし保田監督就任後は連敗が続く中でも勝利する可能性があったゲームが増えてきているのは明確だ。
不足しているのは「勝ち点3」と「ホーム初勝利」という事になるのだが、この日は松本、蓮池、中島(千)、内野を欠くメンバー構成で府中アスレティックFC戦を迎える事になった。
対する府中アスレティックFCは前期を3位とプレーオフ圏内の好順位で終え、後期に入ってからも初戦で名古屋オーシャンズを破るなど好調を維持し現在4位につけている。
しかし主将である宮田と山田ラファエル・ユウゴと三井が戦列を離れている状況。
前節ではホームゲームでペスカドーラ町田に敗戦。
プレーオフ進出を狙う府中アスレティックFCは連敗を避け、総力戦で勝ち点3を獲得するべく浜松アリーナに乗り込んだ。
浜松のスタメンは山本(GK)、向島、笠井、曽根田、三輪(C)。
府中のスタメンは田中(GK)、小檜山、田村、皆本、ダンタス。
開始早々からエンジン全開で浜松ゴールに迫る府中。
山本の好セーブ、笠井らの体を張ったシュートブロックで序盤での先制点を与えない。
浜松のセカンドセットは松浦、萩原、剣持、田中。
府中も次々に選手を入れ替えへ速い展開でシュートシーンを増やしていくがここまではなんとか浜松が耐えている印象。
ソロカーバのミドルシュート、江口のPIVO当てからのシュートも枠を外れるが府中ペースでゲームが進んでいく。
松浦、曽根田らのアタッカー陣も守備に労を費やす時間が続き、府中ゴールまで迫ることがなかなか出来ない。
結局このペースのまま前半のシュート数は府中26、浜松5と数字でも一方的な展開を表われていた。
ここ数試合浜松は前線からアグレッシブなプレスをかけていたがこの日はハーフで構えて府中の厚みのある攻撃を受けて立つ守備体制だった。
また5分には和久田がセカンドセットの萩原に変わってピッチインしリーグ戦初出場を果たす。
しかし苦しい戦況もあってかピッチインした数分は持ち味を出せずに交代することになった。
ここまで耐え凌いでいた浜松だったが9分府中の攻撃がついにゴールを破る。
江口がDFを振り切って中央から左サイドに鋭いドリブルを仕掛けファーサイドへ強いシュート性のパスを送る。
これが帰陣していた向島に当たりオウンゴールとなって府中が先制点を奪った。
厚みのある攻撃を繰り返してきた府中がようやくこじ開けたといった得点だった。
その後も府中はフィジカルの強い選手達がボール回しでも速い展開力を見せ、選手それぞれの特徴を生かしながら様々なバリエーションでシュートチャンスを作る。
Fリーグの屈指の強豪である事を前半の最初で浜松を含む会場の全ての人達に示していた。
ピッチインする全選手が攻撃でも守備でもアグレッシブさを緩ませずに早々の追加点を狙う姿勢を継続する。
府中は江口や小山が積極的に1対1を仕掛けてゴールを狙っていくが、早々の追加点を浜松は必死の守備で与えない。
ワイドにボールを動かす府中に対して時折パスカットからカウンターを仕掛ける浜松だが最後のところで自由にプレーさせてもらうことが前半はで出来なかった。
15分にはゴール近くでのFKのチャンスに府中は谷本監督がすかさずタイムアウトを取って作戦を確認するもこのFKは浜松がブロックする。
前半終盤には田中、松浦らが何度か府中の守備陣を突破し、シュートを放つも惜しくも枠を捉える事が出来ない。
府中も速いカウンターから田村が前半終了間際にサイド突破からシュート放つも枠を外れ、そのまま前半が終了。
0-1であるが浜松は防戦一方と認めざるを得ない前半となった。
後半、浜松は山本(GK)、向島、笠井、曽根田、三輪でスタートする。
立ち上がりの戦況も定まっていなかった21分に浜松は笠井の積極的な突破からCKを得る。
そのCKを向島が逆サイドの曽根田へ浮き玉のパスを通し、強烈なボレーシュートが府中ゴールへ向かう。
そのボールをゴール前の笠井が体に当て方向を変え、府中ゴールに流し込み早々の同点ゴールを奪う。
しかし同点弾から3分後の24分、府中がゴールを奪う。
剣持が空中戦で競り勝つもセカンドボールを府中に拾われ、最後はゴール前中央から江口にバーを叩きながらゴールインするボレーシュートを決められ2-1と府中が再びリードする。
剣持の空中戦の前にカウンターを仕掛けようとしたところを奪われてしまったのが痛かった失点だった。
ここから前半の防戦一方という展開とは大きく変わって一進一退の攻防が繰り広げられる。
府中はダンタスのFKがポストに直撃。
小檜山がループパスから抜け出しシュートを放つも枠を捉えきれない。
浜松は初出場の和久田が硬さも取れてきたのかチャンスを作る場面も見せた。
攻守共にパフォーマンスを上げていった浜松は硬直しかけたゲームを31分に動かす。
田中が左サイドをスピードに乗った突破で相手のカバーに入った選手を吊り出しファーサイドでフリーになった松浦にパス。
この位置まで良く走っていた松浦はこれをゴールに流し込み2戦連続の得点で2度目の同点弾を奪った。
しかし再び同点にされた府中から焦りは感じられず、むしろ更に攻守共にアグレッシブさを増していった。
逆転ムードの浜松に対して33分、府中は個の力で逆転弾を決める。
皆本がプレッシャーを受けながら中央から左サイドにドリブル。
勢いで体が流れながらも逆サイドネットに腰の入ったグラウンダーの強いシュートを叩き込み3-2。
2度も同点にされ、流れを持って行かれそうなところを個の力で吹き払った1発だった。
そしてその30秒後、浜松は自陣でボールを奪われ府中岡山にゴール中央からフリーで決められ早過ぎる追加点を与えてしまう。
これでスコアは4-2。
2-2だった時間が幻だったかのように浜松は2点のビハインドを食らってしまった。
保田監督はタイムアウトを取り曽根田をGKにしてパワープレーを開始する。
しかし狙いどころを探る前の段階で府中は速いプレッシャーを掛けて先手を取ってくる。
36分、田村が奪ったボールを無人のゴールへ流し込み5-2。
続く38分には小山粘り強い寄せでボールを奪い、自陣からのシュートで2点を奪い7-2と大差が開いてしまった。
7-2府中リードのまま試合終了。
5点の大差はついたが4-2の時点で勝負ありだったと思わざるを得ない試合展開だった。
この結果で府中は後期3位に浮上。
浜松は後期7連敗、そしてトータル17連敗とし今節もホーム初勝利を逃してしまった。
▼試合後の記者会見でのコメント
アグレミーナ浜松/保田監督
「結果的に大差がついてしまったが3点はパワープレー返しでした。パワープレーの完成度を考えたら決して状態は良くありませんでしたが2点差という事とホームゲームだったという事で選択しました。なので最後の3失点は仕方がない部分がありました。しかしその他の4失点の内2失点はミスによるものでした。今までもそうですがオフェンスもディフェンスも良くなってきていますが大事な場面での個人個人の対応のレベルアップを図っていかなければいけません。しかし全体的にはとしては良い方向にいっていると感じています。」
「今日のゲームのオフェンスに関しては前後半共にスタンスは変えていません。しかしディフェンスに関しては前半で苦しい場面が何度もあったので後半はやり方を変更しました。今後の改善策ですがまずはインプレー中の質を上げていく事とセットプレーを多く取り入れていきたいと思ってます。」
「AFCを見てもわかるように体格的な部分で相手チームより劣っていても動きの質でカバー出来ると考えています。」
「この7試合で収穫もあります。選手の意識も高まってきているので追いついて引き離されるところを我慢を持続を出来るかがポイントだと思ってます。今日はいつも前からアグレッシブにいっていたディフェンスを前節を終えた時点で負傷している選手が多い中、今節出場出来る選手の顔ぶれを見て判断しここ1週間で準備をしてきました。」
アグレミーナ浜松/三輪選手(C)
「前半はハーフでしっかり守備をしていくという中で修正する部分もありますが我慢してやれた部分もありました。後半は強くディフェンスをしてCKのチャンスまで持っていって得点が取れたのはよかったです。しかし前への意識が上がったところで失点をしてしまったので修正する部分を選手同士でしっかり共有していきたいと思います。」
惜しくも浜松はまたもや保田監督の初勝利&ホーム初勝利を逃してしまった。
しかし2度のビハインドを追いつくたチームの成長は確かなものだった。
負傷による主力選手の欠場が多かった事を考えると選ばれるべき12人が揃った時、その真価は問われることになるだろう。
その答えは未来のゲームだけが知っている。
だからこそ誰も予想出来ない未来に向かってチームやサポーター、関係者も目の前の課題に向き合っていくしか道はない。
2013年、残されたホームゲームは残り1試合だ。
●アグレミーナ浜松 2-7 府中アスレティックFC
9分 OG(府中) 0-1
21分 笠井(浜松) 1-1
24分 江口(府中) 1-2
31分 松浦(浜松) 2-2
34分 皆本(府中) 2-3
34分 岡山(府中) 2-4
36分 田村(府中) 2-5
38分 小山(府中) 2-6
38分 小山(府中) 2-7
写真・レポート:奥山泰博
それではフォトギャラリーをどうぞ!
ウイダーFリーグ第21節アグレミーナ浜松対シュライカー大阪が11月15日に浜松アリーナで行われた。
前期わずか1勝で最下位、後期を迎え2敗で2試合未勝利のアグレミーナ浜松だが保田監督が就任してから徐々に「変化」が現れてきている。
ホーム初采配でのホーム初勝利という最高の結果を得るべくリーグ屈指の強豪シュライカー大阪に挑んだ。
対するシュライカー大阪は前期を好成績の2位で終えたが、後期に入ってからは1分1敗で2試合未勝利。
ここ数試合は怪我人の影響もあり経験の少ない若手選手の出場機会が増えざるを得ない状態だったが、徐々にチームコンディションは上がってきていた。
松宮は約2ヶ月ぶり、永井は約3ヶ月ぶりの公式戦出場となった。
プレーオフ進出に向け波に乗るべく、後期初勝利を奪いに浜松に乗り込んだ。
残念ながらDELIZIA磐田出身の本田は怪我でこの試合に帯同していなかった。
浜松のスタメンは赤窄(GK)、剣持、曽根田、中島(千)、田中。
大阪のスタメンは宮竹(GK)、永井、ヴィニシウス、一木、瀬戸。
キックオフから早々に浜松の守備に変化が見えた。
大阪がサイドへボールを運ぶと浜松のアラは積極的にプレッシングをかけて自陣の危険なエリアで仕事をさせない。
試合後、浜松保田監督は「守備の時に両サイドのアラの位置が低く、アプローチが遅れてやられてしまっていた課題を修正した。」と説明してくれたようにまずはポジティブな守備の変化が見られた。
剣持の配給力や曽根田のキープ力でボールを保持し、ゴール前まで進入するシーンも何度かあった。
そして浜松は3分が経過したところでセカンドセットの向島、萩原、松本、蓮池がピッチイン。
ここである事に気づいたのだが、この4選手は東海地区で長年活動しチームの母体となった田原FC出身である。
筆者が「田原FCセット」と勝手にネーミングしたこのセットは長年一緒のチームでやってきた4選手のコンビネーションの良さを保田監督が評価したものと感じた。
ファーストセット同様にアグレッシブな守備をみせ、ボール回しにも徐々にリズムが生まれ始める。
対する大阪はヴィニシウスを中心にシュートまでいく機会を増やしていくが最後のところで浜松が体を張って失点を許さない。
ヘドンドなどのオーソドックスなパス回しもこの4選手はコンビネーションが良く素早いタッチでボールが周り松本→萩原がシュート放つなど惜しいシーンが続く。
また大阪のプレスが激しい場面でもアドリブが効いたパスワークでボールを失わずに打開する場面も見られた。
そして前半5分、萩原から展開されたパスを受けた松本が左サイドからシュート。
大阪GK宮竹が弾いたボールをゴール前に詰めていた蓮池がダイレクトで流し込み価千金の先制点を奪う。
試合後、大阪ドゥダ監督は「先制点を奪われて改めてこのゲームは簡単じゃないと思った。なので全員で戦う事が大事だった。」と話した。
中島(千)から笠井を入れ替えたファーストセットでも剣持を中心としたパスワークの中で曽根田がGKとの1対1の場面や笠井が積極的にシュートを放つなど惜しい場面が続く。
大阪はフィジカルの強さを生かした攻勢でリズムを掴んでいくがゴール前で得たFKがポストに当たるなどここまでの展開はツキは浜松にあった。
GKの宮竹は時折パワープレーに近い形で前線にポジションを上げ、リスクを冒して早々の同点弾を狙いにいく。
厚みのある攻撃を繰り返す大阪はゴール前の混戦から中央にいたヴィニシウスがゴール右に突き刺し同点とする。
ここから浜松にCKの回数が増えるが大阪の激しいシュートブロックに得点を奪うまでには至らない。
15分、大阪は右サイドから崩しにかかり小林が中央に送ったクロスパスが不運にも帰陣していた浜松田中に当たりオウンゴール。
大阪がアグレッシブな攻撃で浜松ゴールをこじ開けて逆転する。
ここで浜松保田監督はGKを赤窄から怪我から復帰し復調してきた山本にスイッチする。
試合後、浜松保田監督は「赤窄はミスを理由に下げたわけではないです。2失点してしまい少し平面的になっていたのとコーチングの問題でした。」とコメント。
ピッチインした山本は際どいコースのシュートにも俊敏に反応し何度かピンチを救った。
ここまま引き離されていく印象が強い浜松だったがその「変化」をここでも感じる事になる。
先制点を奪ったセカンドセット「田原FCセット」が再び輝きを見せる。
萩原が左サイドからのシュート性のパスがファーサイドに詰めていた蓮池に向かうが大阪の選手に触れて軌道が変わり、ゴール前に詰めていた向島がこのボールをダイレクトでゴールに押し込み同点。
前半で追いつくという部分は保田監督の細かい采配がもたらしたものと言えるだろう。
ファーストセットに戻ると曽根田を中心に大阪ゴールへ向かってアグレッシブな攻撃を見せる。
剣持は予測能力が高く絶妙なカバーリングで前半数多くのピンチを救った。
前半終了間際には大阪が高い位置でキックインを獲得。
すかさずドゥダ監督はタイムアウトを取ってセットプレーの指示をするが、この場面も浜松が守りきって前半を2-2で折り返す。
会場に駆けつけた浜松のサポーター、関係者が「勝利する予感」が予感で終わらないと思わせるには十分過ぎるほどの前半の試合内容だった。
後半、浜松はキックオフとGKのみ変わって山本(GK)、剣持、曽根田、中島(千)、田中でスタートする。
3分の大阪片山のシュートはポストをかすめ、その直後のヴィニシウスのシュートもギリギリで枠を外れるなど浜松のアグレッシブな守備がツキも引き寄せている印象がまだ続いていた。
再びセカンドセット「田原FCセット」になると松本、向島らが惜しいシュートを放ち、大阪の裏へのロングボールも山本が絶妙な飛び出しを見せ一進一退の攻防が続く。
浜松はファーストセットに笠井と内野を組み込み相手に的を絞らせない選手交代で勝ち越し点を狙いにいくが得点には至らない。
11分には浜松田中にイエローカード。
しかしこのファウルは数的不利になるピンチを救った勝ち気なプレーとも評価出来るプレーだった。
12分には浜松が5ファウル。
13分のセットプレーのチャンスでは保田監督が素早くタイムアウトを取って指示を出すが惜しくも得点にはならず。
大阪のCKのサインプレーからブラインドになった状態の低く速いシュートがゴールへ向かったが山本が左足の俊敏な反応でビックセーブを見せる。
しかし15分、バックパスからボールを受けた山本が右サイドに位置した蓮池にパスを出すが、少しコンビネーションが合わず大阪永井がその隙を見逃さずボールを奪取。
そのまま駆け上がった永井がゴール前に制度の高いパスを通し、ファーサイドのヴィニシウスが押し込み大阪が勝ち越し弾を決めて再び逆転。
粘り強い守備を見せていた浜松だったがほんの少しの連携のズレが招いた痛い失点となってしまった。
続く18分には大阪に第2PKを与えてしまうが山本のセーブで追加点は許さない。
残り時間が少なくなった状態でも浜松は勝ち点を奪うべく笠井、剣持、曽根田、田中のフィニッシャーを揃える布陣で最後まで気迫溢れるプレーで攻め続けたが無情にもタイムアップとなり大阪が3-2で後期初勝利を手にした。
▼試合後の記者会見でのコメント
アグレミーナ浜松/保田監督
「攻守共に完成度はまだまだですが良くなってきています。守備ではアプローチの仕方など成果もありました。しかし何より結果が大事なので、良い試合をしても自分達のミスでの失点は無くしてしっかり勝ちきりたいです。アグレミーナはホームでの勝利が1年半無かったので今日は勝ち星を取りたかったです。」
「攻撃ではもっと意図と勇気を持って相手の懐に入っていくようにしていきたいです。今後は真剣さの中にもテンションをもっと上げて盛り上げて、いい意味で余裕を持って戦っていきたいと思います。」
アグレミーナ浜松/曽根田選手(C)
「簡単なミスを無くせば勝てる試合も増えてくるはずなので練習でしっかり修正していきたいです。監督のフットサルを継続的に表現していけば結果はついてくると感じています。本当に勝ちたい試合だったので守備から激しくいけばチーム全体の集中力が高まると思い最初から守備の激しさは意識していました。攻撃でもチャンスは増えてきていますがゴールを決めないと駄目です。3-1などの場面もあって決めれなかったのでそこが勝負の分かれ目でした。今日の試合は主将としてチームの一体感を意識してやりました。三輪選手の欠場が大きかったのはありますが、ここからは一緒に助け合ってチーム一丸となるようにしていきたいです。」
シュライカー大阪/ドゥダ監督
「コンディションの問題がいろいろあって松宮も2ヶ月ぶりに復帰したばかりでした。村上や林の怪我もあり若い選手を使っていますが、今日の試合は今の段階でのベストが出せたと思います。先制点を奪われてプラン変更になりましたがこの勝利をきっかけにこれから良いフットサルが出来ると思います。」
「ヴィニシウスは特徴的な選手ではありますがこのチームはそれぞれの選手のスタイルを活かしてやっています。攻撃力がある選手でも守備も頑張るように求めています。」
シュライカー大阪/一木選手(C)
「どちらもとにかく勝利が欲しかった中でチーム全員で戦って勝利する事が出来ました。久しぶり勝利に嬉しさがあります。ここから新たなスタートとして次のセントラルの2試合が大事になってきますので気持ちを入れてしっかり戦いたいと思います。」
惜しくも浜松は保田監督の初勝利&ホーム初勝利を逃してしまったが良い試合をするだけではなく勝利を手にしたいという気迫は強く感じられる試合内容だった。
その勝利を手にするために保田監督がもたらす「変化」は着実にチーム内に浸透してきている事も実感出来た。
就任から間もない保田監督がこの3試合で見せた即効性のある戦術・戦略はその日がすぐそこに来ていると大きな期待を持たせてくれるものだった。
またそれを体現する選手達のパフォーマンスも向上しているのも好材料。
「変化」から「完成」へ。
「リーグ内上位進出」へ。
そう遠くは感じないその日を焦らず待ってもいいのではないだろうか。
●アグレミーナ浜松 2-3 シュライカー大阪
5分 蓮池(浜松) 1-0
9分 ヴィニシウス(大阪) 1-1
15分 OG(大阪) 1-2
19分 向島(浜松) 2-2
36分 ヴィニシウス(大阪) 2-3
写真・レポート:奥山泰博
Fリーグ第14節アグレミーナ浜松対デウソン神戸が9月21日、掛川市のさんりーな掛川で行われた。13節を終えて1分け12敗のアグレミーナだが、さんりーなは第5節町田戦で勝ち点1をもぎ取った「ゲンのいい」会場。オマー・ニージャーリも5試合ぶりにメンバーに名を連ねた。神戸は前節、試合終了間際にゴールを許してドロー。だが名古屋、大阪に続く3位という好位置につけている。
前回の対戦は7月22日の第5節。アグレミーナのマンマークがある程度の効力を発揮したものの、走力の差があらわになった一戦だった。スコアは1対4。退場者が出て数的不利になったのも痛かった。
試合開始。お互いにトラップやパスのミスが多い。試合後の選手、監督のコメントによれば、アグレミーナは「前プレスで主導権を握る」という方針だったようだが、実効性には疑問が残る内容だった。
デウソンには原田浩平という日本屈指のピヴォがいる。細かくフェイクを入れてDFから遠ざかり、ボールを受けるのが上手い。デウソンは原田やセカンドセットの岡崎チアゴを使い、アグレミーナの守備ラインを下げさせた。
アグレミーナはいくつか可能性を感じる攻撃を見せた。パラレラで右サイド奥に進出しようとした場面が2回。相手につぶされたが、ここで折り返しを打てればチャンスが広がっただろう。9分にはハーフウエーライン付近でヒールパス2本をつなぎ、向島佑介が逆サイドの蓮池紳吾に絶妙の浮き玉パス。ダイレクトで放ったグラウンダーのシュートは惜しくもゴール左に外れた。
14分、デウソンが先制。岡崎が放ったシュートのこぼれを、鈴村拓也が逃さずたたいた。百戦錬磨の元日本代表。勝負どころでのシュートの正確性を発揮した。
18分、デウソンが追加点。左サイドでパスミスを拾った山元優典が中央に持ち込んでミドルシュートを放つ。ゴレイロ山本浩正は虚をつかれたかのように動けず、ボールはゴール左上に吸い込まれた。
暗雲立ちこめる展開だったが、アグレミーナは勢いのある攻撃を続ける。19分、剣持貴充が強烈なロングシュート。ゴレイロのパンチングに中島涼太が猛然と突っ込んだ。
前半残り40秒、右サイドでボールキープした石野潤が輝きを見せる。DF2人を切り返しとまた抜きで交わして前に出ると、正確なシュートでゴール左上隅を射抜く。1対2。アグレミーナはその後も左サイドのキックインから立て続けにシュートを放ち、良いイメージで前半を終える。
後半も田中充彦、石野、蓮池、松本行令のセットで攻め立てるアグレミーナ。田中→石野でデウソンゴール左に進出、FKのチャンスも得る。
だが好事魔多し。21分、デウソンはシュートキャッチしたゴレイロ冨金原徹が、切り替えの早さを発揮して浜松ゴールにダッシュした原田に絶妙のスロー。右に江藤正博が並走する「練習でいつもやっているパターン」(冨金原)だ。教科書通りのカウンターが発動され、あっという間に3点目を奪った。良い時間帯に得点できず、返り討ちに遭ったアグレミーナ。このゴールは痛かった。
時間が進むにつれてパス回しが単調になるアグレミーナ。相手陣に攻め込みながら、内から外へ渡すパスがタッチを割るシーンも見られる。ここでミスしていては、ゴールはおぼつかない。
デウソンはパス回しの精度が高まる。30分、右サイドから江藤が体を振って中央へ進出。細かいボールタッチでDFとゴレイロを翻弄し、左足でゴールに流し込んだ。
32分には森洸が鈴村とのワンツーを決めて5点目。このあたりからアグレミーナは裏のスペースがぽっかり空くようになる。攻撃ではパス回しでミスが頻出し、個人の仕掛けに頼らざるをない。無理な突破が相手の守備網に引っかかり、一発で裏を取られる悪循環。デウソンはその後4点を重ねた。
試合は9対1でデウソン勝利。アグレミーナはホーム最多失点を喫した。試合後の選手たちにサポーターから「気持ちを見せろ」の大コールが降り注いだ。なすすべもなく失点を重ねた後半は、ホーム戦としてはあまりにお粗末だった。悔しさのあまり涙にくれる選手もいた。
これで14試合勝利なし。Fリーグの記録をひも解くと、2008年のステラミーゴいわて花巻は開幕から18試合未勝利だった。19節町田戦で挙げた初勝利が、このシーズン唯一の勝ち星だった。14節まで1分13敗。現在のアグレミーナとそっくりだ。そんなステラミーゴも14節終了時点での失点は71。アグレミーナの失点80は、それをはるかに超えている。
「守備の立て直しが急務」。言うは易し行うは難しだが、現在のアグレミーナの課題はここに尽きる。残り1分でFリーグ初出場を果たしたゴレイロ石原健太の鋭いまなざしとあふれる活力には、光明が見えた。
アグレミーナ・前田健一監督のコメントによれば、「ブラジル人監督」との交渉は進んでおり、10月中の合流を目指しているとのこと。勝利に飢えた選手たちの気持ちがピッチ上で良い循環を生む。そんなゲームを期待したい。
●アグレミーナ浜松 1-9 デウソン神戸
14分 鈴村拓也(デウソン) 0-1
18分 山元優典(デウソン) 0-2
20分 石野潤(アグレミーナ) 1-2
21分 江藤正博(デウソン) 1-3
30分 江藤正博(デウソン) 1-4
32分 森洸(デウソン) 1-5
33分 鈴村拓也(デウソン) 1-6
34分 山蔦一弘(デウソン) 1-7
36分 稲田瑞穂(デウソン) 1-8
39分 瀬川昂暁(デウソン) 1-9
写真・レポート:橋爪充
Fリーグ第13節アグレミーナ浜松対湘南ベルマーレが9月15日、浜松アリーナで行われた。12節を終えて勝ち点1のアグレミーナ、勝ち点7で3連敗中のベルマーレ。アグレミーナは順位が近いチームの対戦でFリーグ初勝利を目指したが、0対5で完敗を喫した。
11分、CKから小野大輔にミドルシュートを決められ、1分後には右サイドが決壊し久光重貴にゴールを割られた。前半終了間際には刈込真人、ボラに続けてゴールを献上。この時点でほぼ試合の趨勢が決まってしまった。
アグレミーナの攻撃の見せ場は少なかったと言わざるを得ない。前半は、3分の蓮池紳吾、田中充彦、中島涼太でワンタッチパスをつないで右サイド奥まで持ちこんだ場面、10分の石野潤がDF2人の間を突破して中央に切れ込んでシュートを放った場面など。後半は開始早々にカウンターから蓮池、中島、田中、松本行令が絡んで2度ゴレイロとの1対1の場面を作りだしたのが目につく程度だった。
松本、石野、蓮池らがライン沿いを縦突破しても、藤井健太らベルマーレのフィクソのカバー意識が高く、なかなかゴール前にボールが入らない。残り5分からは、山本浩正がハーフウエーラインを超えたエリアに進出し、パワープレーを試みたが、左からの中島のシュートは相手ゴレイロに止められた。
同じカードは8月19日、小田原で行われている。剣持、田中のゴールが決まって2対0で前半を折り返しており、3対4で敗れたとはいえかなり競った内容だった。それからわずか1カ月後の完敗。いったいチームに何が起こっているのか。
前田健一監督は「ベルマーレ戦に向けて練習した動きが全く見られなかった。自分勝手なプレーをする選手がいた」と話す。「Fリーグの舞台に立っていることだけで満足している」「お客さんにお金を払ってもらっているという自覚がない」「チーム(ゲーム)のマネジメント力が低い」。いらだちばかりが口を突く。
プレス控室で、オフィシャルのカメラマンたちと話をした。浜松のチーム状態が好ましくないことについて、率直な意見を聞かされた。正直、耳の痛い話ばかりだった。「アマチュアの選手やスタッフにどこまでを要求できるか、という問題」。そんな話をされた。
負け続けて雰囲気の良いチームなどあるわけがない。Fリーグ発足当時の回顧話になった。
思い出すのは初年度のシュライカー、2年目のベルマーレ。勝てない。首脳陣と選手の関係が悪い。サポーターからはブーイング。どうにもならない状況に見えた両チームだったが、その後一定の向上が見られた。ベルマーレは全日本選手権準優勝の経験があるし、シュライカーの現在の充実ぶりは周知の通りだ。
チーム状況を劇的に変える薬はない。できることと言えば「投げ出さないこと」しかない。我慢が要求されるが、結局のところそれに尽きるのではないだろうか。カメラマンたちも同意見だった。
●アグレミーナ浜松 0-5 湘南ベルマーレ
11分 小野大輔(ベルマーレ) 0-1
12分 久光重貴(ベルマーレ) 0-2
20分 刈込真人(ベルマーレ) 0-3
20分 ボラ(ベルマーレ) 0-4
29分 ボラ(ベルマーレ) 0-5
写真・レポート:橋爪充