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先週末の土曜日、日曜日に刈谷市体育館を会場に行われた今季の「全日本フットサル選手権東海地域予選」いわゆるPUMAカップ2012の東海大会ですが、このブログをご覧になるほぼすべての方がすでにその結果をご存知だと思います。

大会2日目も速報をさせていただいたとおり、東海地域に与えられた全国大会への2枠を射止めたのは愛知県からの2チーム「ROBOGATO」と「名古屋オーシャンズサテライト」でした。

昨年、一昨年と全国枠を逃している静岡県勢、「今年こそ!」と多くの方が全国出場へ向け期待を大きく持っていた静岡県代表のデリッツィア磐田と大和撫子/VIORA藤枝は、残念ながら全国大会への切符となる決勝進出前の敗退となってしまいました。

筆者は大会初日となる土曜日だけ現地に足を運び、静岡県勢の戦いを観戦しています。

すべての結果が出揃ったこのタイミングにレポートの掲載作業を行なうことはなんとも複雑な心境ではありますが、その日現地に出掛けられなかったチーム関係者やサポーターの方々、そして全国のフットサルファンのみなさんのためにも両チームがどんな試合を行ったのかを短くですがお伝えいたします。

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会場となったのは刈谷市体育館。筆者にとっては初めて出掛ける体育館だった。

刈谷市中心市街地にほど近い刈谷市体育館は、若干ゴール後方のスペースが窮屈ではあるが40m X 20mのピッチがすっきり収まり、ベンチやオフィシャル席あるいは反対側のアップエリアの設営のための余白も充分な会場だった。
「古い体育館」と聞いてはいたが、試合を行うピッチと観客席については、それほど古さを感じさせる部分は無かったように思う。ただ、床に施された各種競技のためのラインマーキングがカラフルな事は、比較的古い体育館に多い傾向ではないだろうか。

ほぼ正方形にも近いアリーナ床面。タッチラインサイドからは観戦しやすいスタンドだったと思う。

 

▼DELIZIA磐田 5 vs 1 NASPA四日市

DELIZIA磐田

NASPA四日市

昨年はジュビロの名で、そして今年はデリッツィアとして、事実上2年連続で東海大会へ駒を進めた磐田、全国を逃した昨年の雪辱を果たすため強い思いで臨む今大会だ。

チームは2月末に鹿児島県で開催される地域チャンピオンズリーグへの出場を控えている事もあり、無駄な出費を控えるため前泊・中泊を避け全員が自宅から通いの2日間としたそうだ。

10:30。定刻通りに今季の東海大会の第1試合がキックオフされた。

試合開始からの数分間は「昨年経験した全国の舞台にもう一度立つんだ!」というナスパの勢いが「今年こそ!」のデリッツィアを上回り、再三好機を作り出す。

しかしながら、ナスパの立場でこの試合を後から振り返ると「あの時間帯に1点でも取れていたら・・・!?」と悔やむ立ち上がりとなった。

逆にデリッツィアにとっては苦しい立ち上がりを凌ぎ切った事で自分達に流れが訪れた。

まず先制ゴールは若きキャプテン本田拓磨(18)。ドリブルでの突破、そしてシュートまで一人で決め切った。

追加点は鈴木孝博(5)。ナスパゴール正面で得た間接フリーキックの場面で、インプレーになったボールを狙い済ましてゴール右上に突き刺した。

失点を重ねたナスパにもチャンスが訪れるが、デリッツィアのゴレイロ皆川広紀(1)が勇敢な対応とゴールポストをも味方につけた守りでゴールを許さなかった。

するとデリッツィアにさらに追加点が生まれる。

フィールド4人の底で守りの要としてナスパの攻撃の芽をつぶしていた横山正浩(12)の仕掛けが呼び込んだゴールだった。
横山は自陣で奪ったボールを自らがドリブルで縦に力強く運ぶ。そのまま放ったナスパベンチ前からのシュートはディフェンスにブロックされマイボールのキックインとしてプレーが途切れたかに見えたが、間髪入れずこのリプレーを左サイドから走りこんだ河合高宏(6)めがけシュート性のボールを蹴り込む。
河合はこのボールをゴール正面で胸にドンピシャと合わせゴールに押し込んだ。

横山は次の1点でもアシスト役となる。
ハーフライン付近でボールを裁く横山からゴール前に走り込む門田雄輔(10)へ狭い隙間を通す縦パスが出る。
門田は後方からのこのボールに彼らしい柔軟さを発揮しスライディングしながらのシュートに持ち込む。これがペナルティエリア先端まで飛び出して対応したナスパのゴレイロ森恵輔(2)の脇をすり抜けゴールへ。
ピッチに横たわりながらもボールの行くへを確認した門田はそのままガッツポーズで喜びを表した。

4-0。思わぬ大差で折り返した後半立ち上がりにも、デリッツィアは山崎淳史(7)や伊藤豊大(8)が決定機を迎えるが決められない。

一方、石川哲也(12)の鮮やかなループシュートで1点を返したナスパはその後も頑張りを見せるが、東海王者相手の4点のビハインドは覆しようがなかった。

結局、デリッツィアはその後、山崎が決め5-1で準決勝進出1番乗りを決めた。

この日のデリッツィアは、対戦相手のナスパに走り負けないよう、終始短いインターバルで交代を繰り返しピッチでのフィジカルを維持し続けた。
コンディション不良から数名がこの日の試合プランから外れる苦しい状況ではあったが、東海リーグではあまり出場の機会がなかった森山亮(4)も積極的に起用し、難しいと言われるトーナメント初戦を乗り切った。

試合を終えたデリッツィアの選手たちは明日の対戦相手が決まる第2試合を観戦、昨年敗れた名古屋オーシャンズサテライトが今年もまた準決勝の対戦相手となったことを見とどけて会場を後にした。

(※翌29日の試合、前半を2-0とリードして折り返したデリッツィアでしたが、試合終了の数十秒前に決勝ゴールを許し3-4の敗戦となってしまった事を付け加えさせて頂きます。)

立ち上がりの数分間は「いつナスパに先制ゴールが生まれるか?」が頭をよぎる時間帯だった。

先制ゴールの本田は一目散にベンチへ走りハイタッチ。

自慢のスピードでピッチを駆け回った森山。決定機も訪れたが決める事は出来なかった。

厳しいディフェンスでナスパ攻撃陣を自由にさせなかった横山。

体調不良の中、ユニフォームに着替え登録メンバー入りしていた千葉だったが、この試合の最後までベンチコートを脱ぐ事はなかった。

ドリブルでのアタックを見せる伊藤。試合後「自分から仕掛けすぎてしまったかもしれない。」と反省を口にしていた。得点こそ無かったものの前線で基点となる場面も多く作り出していた。充分にピヴォとしての役目を果たしていたと思う。

5-1の快勝にも「低い位置でのパスミス、連携ミスが多かった。」と反省も怠らなかった鈴木。

ゴールポストをも味方につけた堅い守りで勝利に貢献した皆川。

怪我からの回復が間に合わなかった森下はプラシャツに着替えベンチ入り。

ナスパ唯一のゴールを奪った石川。難しい体制からの見事なループシュートだった。

以前、全日本選手権への熱い気持ちを語ってくれた水谷。今年のチャレンジは東海大会初戦で終焉を迎えてしまった。

 

▼FALCO GIFU FS 4 vs 2 大和撫子/VIORA藤枝

FALCO GIFU FS

大和撫子/VIORA藤枝

撫子にとってはチームとして初めて臨む選手権での東海大会。対戦相手は先日の東海2部で悲願の1部昇格を決め勢いが増すファルコだ。

撫子のキックオフで始まったゲームは序盤からスコアが動く事となった。

前半3分過ぎ、撫子のミスパスからファルコは杉野一徳(20)がボールを運び、左サイドで連携した石神啓(14)と見事なコンビーネーションをみせる。
そして石神から折り返されたボールを杉野自身が左足で蹴りこみ先制ゴールを奪った。

さらに杉野は5分過ぎにも右サイド、撫子のベンチ前付近のキックインのセットプレーから鮮やかにシュートを決め連続ゴールを奪う。

続けざまの失点を喫した撫子だったが、次第に落ち着きと本来のパス廻しを取り戻す。

その後、再三にわたり決定機とも思える場面を作り出すが最後の詰めに気迫が及ばずゴールが奪えない。
いったい何本のシュートクロスがファルコゴール前を横切ったであろうか?そればかりかショートカウンターからのゴレイロとの1対1など、練習なら決めたであろう場面も何度か作り出すものの1点が遠かった。

立ち上がりの失点以降は機能していた撫子のディフェンスだったが、前半終了間際に痛恨の3失点目を喫することとなる。

だれもが前半終了を意識した終了20秒前、ファルコの田中秀和(4)が左サイドを強引にドリブルで進む。撫子は阿野光平(11)が対応するが、競り合いの中からトゥで蹴られたシュートが撫子ゴレイロの鈴木陽太(12)の足元を抜けボールはゴールへ転がり込んだ。この時タイマーは残り17秒を表示、まさに終了間際だった。

「0-3のビハインドでの折り返しは公式戦では経験がなかった。正直、あせりも感じていました。」と、キャプテンの野木武臣(4)は話してくれた。

それでも攻撃では後半5分に左サイド高い位置でのキックインを谷津護(13)が剣持貴充(10)のコンビネーションで決め1点を返し反撃開始を思わせた。

しかしながらその後、ファルコのフロレス・フーリオ(21)に左サイドで粘られ、こぼれたボールを最後はゴール正面から中島千博(7)に蹴り込まれ再び3点差となってしまった。

この場面を振り返り野木は「自分のミスでした。光平(阿野)と2人でプレスに行ったのにボールを奪いきれなかった。最後は自分が振り切られてゴール前にボールがこぼれてしまった。前半終了間際の失点もそうでしたが、この4失点目が大きかった。」と口にした。

撫子は後半14分、左サイドで剣持→阿野とつなぎシュートクロスがファルコゴールを横切るとこのボールに望月崇之(3)がしっかりファー詰めに入りゴールを奪った。

しかし試合はこのゴールを最後に得点は動かず4-2で終了。撫子にとっては相手をはるかに上回るシュートを放ちながらも初戦敗退となってしまった。

この日のファルコは状況に応じたディフェンスの上げ下げが見事だった。

撫子にリズムがある時間帯には無理なプレスを避けゴール前を堅く守り相手の侵入を許さなかった。
そして撫子の連携が悪くなったと見るや高い位置からのプレスでボールを奪いに出る。

主にそのコントロールを受け持っていたのが2ゴールを挙げた杉野だった。
フィクソの位置でバランスをとり、勘の良い読みでインターセプトを狙う、さらにスペースがあれば自分からも思い切りの良いドリブルで攻撃にも転じた。

さて、初の東海大会挑戦だった撫子だが、振り返れば普段なんでもなく出来ていたパス交換やトラップ、あるいはシュートにミスが連発した。

「力不足でした。期待に応えられずすみませんでした。ファルコの得点源、中島選手のカットインへの対応はみんなで話していたとおり出来ていたし、(2ゴールの)杉野選手からの配球についてはケアはしていたんですが・・・。本人にやられちゃいましたね。とにかく自分達のミスが多かった事は間違いなかったですね。」と野木は話す。

さらに「自分達は初めて経験する東海レベルでの一発勝負のトーナメント、集中力の差があったのかもしれない。」と続けた。

確かにミスが多かった撫子ではあったが、その状況を見極めて試合を進めたファルコのゲーム運びの上手さが際立ったゲームだったと言えるのかもしれない。

守備だけでなく鋭いドリブルで攻撃でも貢献した杉野。「ゴールはたまたまですよ。」と試合後には謙遜していたが、東海リーグ最終節での出場停止の鬱憤を晴らすかのような活躍だった。

何度となくペナルティエリアを飛び出しての対応でピンチを防いだナスパのゴレイロ亀山。彼もまたこの試合の勝利の立役者の一人だったと言えるだろう。

ドリブルで切り裂く彼らしいゴールではなかったがチームにとっては貴重な4点目を奪った中島(右)。

東海2部最終節でもそのパフォーマンスに目が行った石神。この日も杉野との絶妙のコンビネーションを見せた。実はこの石神、出身は岐阜県だが高校時代は静岡県内で過ごしている。磐田東に通いながらジュビロユースに在籍していた経歴を持つのだ。その静岡時代を「レベルの高い先輩達と共に過ごした貴重な時間だった。」と振り返る。サッカーでもハイレベルな場に身を置いていた石神だがフットサルでも経験値が高い。U-12バーモントカップでは全国大会出場、そしてU-15時代には全国制覇も経験しているそうだ。

今ひとつ冴えのなかった向島。彼らしくないミスも目立った。この日の撫子全員にいえるのかもしれないが、一つ一つのプレーに余裕がまったく見られなかった。初めて経験する東海大会、トーナメントでの硬さなのだろうか?

キャプテンの野木が試合後に悔しさを表した4失点目の直前のシーン。スライディングする野木の足先もわずかに及ばずフーリオからゴール正面の中島にボールが繋がってしまった。

シュートが枠を外れ悔しがる剣持。大砲の彼にもゴールが生まれなかった。

後半、教科書どおりのファー詰めでゴールを記録した望月。「前半にその形が出来ていれば。」と思わずにはいられないゴールだった。

試合後、大応援団に挨拶をするファルコのメンバー。地元、愛知勢をも上回る熱い応援だった。

 

全国大会の1次(予選)ラウンドは、エコパアリーナもその会場として開催されます。
静岡県勢の出場しない大会運営となりますが、気持ちを込めたおもてなしを行いたいと思います。

■PUMAカップ2012 第17回全日本フットサル選手権 今後のスケジュール

▼全国大会 1次(予選)ラウンド:エコパアリーナ/大阪市中央体育館
 平成24年3月9日(金曜日)・・・全国大会予選ラウンド 第1日目
 平成24年3月10日(土曜日)・・・全国大会予選ラウンド 第2日目
 平成24年3月11日(日曜日)・・・全国大会予選ラウンド 第3日目

▼全国大会 決勝トーナメント:代々木第1体育館/(東京都)
 平成24年3月16日(金曜日)・・・全国大会第1日目 準々決勝
 平成24年3月17日(土曜日)・・・全国大会第2日目 準決勝
 平成24年3月18日(日曜日)・・・全国大会第3日目 決勝

※以下、フォトギャラリーにて試合の様子をご覧ください。

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