JFAからの正式リリースがキャンプ前日の午後ということで、フットサルメディアのみなさんにとってはなかなか取材に出向くには厳しい条件だったのではないでしょうか?
しかし開催会場の山梨県北杜市、市立白州体育館は静岡からもそう遠い場所ではないですし(片道約100km)、日本のトップレベルのレディースプレーヤーが一堂に会する場面でもありますし、なにより静岡の宮本選手が招集されている事ですし・・・と無理やり理由付けをして出掛ける算段をしてみました。
まずはキャンプそのものが公開か非公開かを代表スタッフの方に確認していただき、とりあえず見学は可能との事で、初日限定ではありましたが出掛けることに。
事前に伺っていた午前の練習時間の約30分前に会場に到着すると、ちょうど小淵沢から移動の選手たちもバスで到着、さっそくロビーにて会場の管理の方へのごあいさつやスケジュールの確認、練習着分けと進みます。
この女子についてはスタッフの人数など本当にギリギリ(というか、前回2007年に編成された日本女子フットサル代表監督の中村恭平氏と石森由紀さんの2名のみ!)で行われる様子です。
※中村恭平氏については、このキャンプについてのJFAからの正式リリース上、【監督】とは表記されていませんでした。が、このレポート内では、あえて【中村監督】と表記させてください。
6月~7月にかけ、男子の代表キャンプも見る機会があったわけですが、そこではミゲル監督以下コーチ、トレーナー、その他のスタッフで7~8人は常に選手に帯同していましたから、同じ日本代表候補によるキャンプでも、おかれた状況はだいぶ違うものなのだなぁ、などと感じた次第です。
さっそく、中村監督と石森さんにごあいさつ。
中村監督には練習の合い間に少しだけですがお話を伺うことも出来ましたので後程ご紹介します。
JFAのエンブレム付きの練習着に着替え終えピッチに集合した選手たち、まずは円陣を作って全員が自己紹介を行いました。
ほとんどの選手は互いに面識があるようでしたが、中には初めてご対面という選手もいますので、名前を確認しあっていましたね。
時には笑いが沸き起こるなど、まずは和やかな雰囲気で練習インです。
最初のメニューも自己紹介の延長で、お互いの名前を呼び合いながらの軽いジョギングです。
つづけて4人組み、5人組などでパス交換を行い、6人組での4対2へ。
本日最初のボールタッチですが、さすがにどの選手も上手ですね!(当たり前か!?)
ところで、我等が宮本選手は?とピッチを見回すと・・・。
おっ、居ましたよ!4対2を行うメンバーは、FUNレディースの中島詩織選手、高橋唯選手、arco irisの井野美聡選手、江口なおみ選手、そしてもう一人は、なんと中村監督ではないですか?!
宮本選手、すごい組み合わせにもぐりこみましたねぇ~。
体幹を意識するストレッチやウォーキングをはさみ、ピッチ全体を使い全員を半分づつに分けたパスゲーム、ゴールの条件は「フィニッシュはヘディング」
どちらのチームもゴール前でのギリギリクリアーなど好プレーもあり無得点で終了。
縛りがヘディングとあって、参加選手中、もっとも小柄な宮本選手にとってはゴール前では見せ場なし。
ウォームアップメニューではありますが、ワンステップでのキック力、精度、あるいは狭い局面でのボールキープや味方のサポートへの意識などそれぞれの選手の持ち味が現われるものだな、と。
続けて、正方形のグリッドでのパス廻しと抜け。いわゆるフットサルチームの基本メニューとも言える練習ですが、中村監督がおっしゃっていた通り、午前に関しては基礎、基本を重視した内容です。
ただ、4箇所それぞれに入口、出口をマーカーを使いしっかり設定し、選手たちに精度を求めます。
その後、2人、3人でボールを動かし、パラからシュートへ、さらに4人が絡みクワトロを意識した組み立てや、ダイヤゴナル(対角への)への展開のバリエーション、シンプルなワンツー(ウノ、ドイスって言ったほうがいいんですかねぇ?)などなどでシュートまでのパターン練習を繰り返し、午前の練習は約2時間で終了。
午後の練習までのインターバルは約1時間30分。
ここでの驚きは、選手全員にお弁当が配られそれぞれがロビーなどで昼食です。
キャンプのスケジュールや時間的な事、会場の立地などを考慮すればやむを得ない事との判断だと思います。
さて、食事を終えた選手たちは練習開始まで、雑談、ゲーム、メール、ストレッチ、昼寝?など、それぞれのスタイルで過ごしていました。
午後3:00過ぎから午後の練習開始です。
午後の練習全体を通してのテーマはよりアグレッシブなプレスとの事。
軽く体を動かし始めるメニューから入り、コートの約半分を利用した3対3、そしてコートの広さを2/3まで広げ、ゴレイロ付での4対4でのミニゲーム形式の練習へと進みます。
ビブスで色分けされたそれぞれのセットが数分の短い時間で次々と交代しながらピッチに入りますが、アグレッシブなプレスのテーマどうり要求される運動量もかなりのもので、選手の息使いも少しづつ荒くなってきます。
ゴレイロへのシュート練習などを挟み、フルコートでの5対5へ。
ここでももちろんテーマは同じ。中村監督はしきりに2ラインでのディフェンスを意識する事を指示します。相手ボールになった瞬間に、まずはボールへ対応する1列目には高い位置からでも積極的なプレスを掛けさせ、裏をケアする2列目の形成を合理的に行うこと。誰が前、誰が後ろではなく、常に状況に応じて互いにポジションをずらし、2ラインでのディフェンスの形に素早く持ち込む事への思考回路を共有させる事に時間を費やしながら午後6:00過ぎにこの日の練習は終了です。
午後の練習全体を見て感じた事は、もちろん戦術としての意味合いを持った練習でもあったのでしょうが、中村監督の中では選手個々のフィジカルの確認が大きな要素だったように思います。
そのくらい選手は走らされていましたね。軽めの基礎練習とは言え、午前に2時間の練習に続けての午後の3時間ですから選手にとってきついのは当然でしょう。
疲れてきた中でのボールタッチの質こそが実戦で通用するかしないかの鍵になることは間違いないですし、特に短期間で編成を行わなければならないチームでは、なおさらでしょう。
さて、この日いち日の流れをざっと(といっても気が付けば長々書いていますが)レポートしてみました。
最後に、中村監督にうかがう事が出来た内容を少しだけ。
▼今回の代表候補の招集はやはりインドアゲームへのエントリーのため?
・・・そうですね、「第3回アジアインドアゲームス2009ハノイ」へ向けてという事です。
▼招集された選手の選考について聞かせてください。
・・・基本的には3月の高知でのトリムカップ、昨年11月の静岡での全日本女子フットサル選手権大会を視察した中での選考です。特に関東の選手はそれ以降もプレーを目にする機会も多くよく見えているので、必要と思える選手には招集をお願いしました。
トリムや全日本女子に出場できなかったチームや地域については、推薦などの可能性も含めて考えていましたが、実際にはありませんでした。
▼女子の代表の活動の場について
・・・2年前もそうですし今回もインドアゲームに向けての活動だけですが、たとえば9月の男子フットサル代表のイタリアとの国際試合の場などの機会に、前座的なゲームが出来たら良いのですが・・・。
女子については予算的なこともそうですが、お金だけではない部分での制約などもあってなかなか難しい状況です。平日を絡めたトレーニングや試合の日程も選手の仕事の都合などで事実上、全員が集まり実施する事は出来ないですね。
▼メンバー選考の今後の過程は
・・・9月半ばに茨城で次の合宿を予定しています。そこへは今回の招集メンバーから選考した14名程度に参加してもらうと思います。追加の招集も場合によってはあるかもしれません。最終的には14名で大会へ臨む予定です。
その14名で10月に最後の合宿を行って本大会へ、と考えています。まずはトレーニング優先に考えていますが壮行試合的なものが出来ればいいとも思っています。
▼インドアゲームスに参加する他の国の情報については?
・・・前回大会の際、準決勝で対戦したベトナムと決勝で対戦したタイは今大会に向け相当な準備をしているそうですし、前回のメンバーがそのまま残っていると聞いています。
2年前の大会で当時、高校生くらいだったメンバーなのでその成長はちょっと気になりますね。
▼ディフェンディングチャンピオンとして臨むわけですが?
・・・勿論、選手には期待しています。
前回同様、良い結果が残せれば良いのですが・・・頑張ります。
との事でした。
やはり、選手選考については気になるところですが、せめて招集枠をあと5名程度増やせないものかと・・・
静岡には勿論ですが、東海地域にはこの場に呼ばれても不思議でない選手が何名かいるでしょうし、他の地域にしても同じことが言えるのではないでしょうか?
たとえ最終メンバーには残れないとしても、これだけの選手たちと競い合って練習できる事は呼ばれた選手にとっても励みになるはずですし、県レベル、地域レベルの選手にとっても目標というか可能性というか、競技フットサルへのモチベーションが高まる要素と成り得るはずです。
そうは言っても、たとえどんな選抜チーム、代表チームでもその編成には少なからず頭を悩ますものですので、こと日本代表ともなれば中村監督のご苦労もなおさら大きなものかと推測できます。
外野があれこれでしゃばってもしょうがない事ではありますが、今後、女子日本代表の活動の機会が少しでも増えるようお願いしたいと思います。
(※JFAからの正式なリリースはまだありませんが、9月12日、13日が2回目のトレーニングキャンプの予定のようですね。今回招集されたメンバーには、2回目に向けての連絡が届いているとも聞きますが・・・。JFAのリリースを待ちたいと思います。)