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男子の東海リーグ開幕から遅れること2週間、待ちに待った2012東海女子フットサルリーグが7月1日、鈴鹿スポーツガーデンで幕を開けた。

 

今季から10チームによるリーグ戦が行われることとなったが、静岡県からの参加はFrontier FC(以下、フロンティア)とgolrira shizuoka(以下、ゴリラ)の2チーム、この日の第1試合に静岡県勢の先陣を切り、まずはゴリラが登場した。

 

そのゴリラだが、開幕戦のわずか2週間前、予期せぬ事態に見舞われた。
今季、主戦力として期待されていた谷下友紀が練習中の怪我により長期戦線離脱を余儀なくされてしまったのだ。

 

昨年度の静岡県女子選抜にも名を連ねた谷下は、まだまだ荒削りではあるが、優れた身体能力、スピード、キック力を備えたレフティーだ。筆者としても、そののびしろに大きな期待を持っていた選手の一人だけに、その知らせを耳にしたときは非常に残念に思った。

 

今季のゴリラはチーム創設時から昨年まで主力として活躍していた稲葉恵子がフロンティアへの移籍でチームを離れた。それだけに開幕に照準を合わせたチーム練習でも、谷下は主力の一人としてこれまで以上の役割を果たすべくメニューをこなしてきたに違いない。

 

「ユキ(谷下)の戦線離脱は想定外だったが、チームとしてやるべきこと、目標を選手一人ひとりきちんと自覚していたので、ぶれることなく良い準備が出来た。」(齊藤希代表)とは言うものの、チームとして大きなプラン変更を余儀なくされた事は間違いないだろう。

 

そして迎えた開幕戦当日、いよいよ今季の東海女子、開幕カード「golrira shizuoka
vs 蹴球小娘/ONZE」がキックオフの時を迎えた。

▲golrira shizuoka・・・負傷した谷下(18)も会場への遠征に帯同、さらにプレーこそできないもののユニフォームに着替えベンチ入りメンバーとして選手登録もされた。

▲蹴球小娘/ONZE

▲ゴリラは横山翔子(13)、尾崎奈保(2)、松島千佳(3)、青山実苗(7)、齊藤希(10)の5人が先発としてピッチに立った。

 

 ほぼ定刻の10:01、蹴球小娘のキックオフで試合開始。そして今季の東海女子最初のゴールは、前半4分、昨年の日本代表にも招集されたゴリラの青山実苗の左足から生み出された。

 

蹴球小娘陣内中ほど、左サイドでのキックインをピッチ中央で受けた青山が、ミドルレンジから得意の左足を振り抜く。と、ボールは一直線に蹴球小娘のゴールに突き刺さった。
「青山=左足」の情報は持っていたはずの蹴球小娘だったが、やや距離の遠さもあり対応が甘かったのかもしれない。とは言え、「さすが!ちんたん!」と唸らせた青山の鮮やかなゴールだった。

▲先制ゴールを叩き出した青山実苗。昨年度の代表経験は自身のみならず、チームに持ち帰るものも大きかったはずだ。

 

さらに前半7分、ゴリラはまたしてもセットプレーから追加点を奪う。

 

状況は右サイドでのコーナーキック。キッカーは齊藤。齊藤はスペースに走りこんだ望月奈々にタイミングよく配球。
このボールを望月はゴールネット天井部分めがけて突き上げるシュートを放つ。
フットサルのお手本のような、さらには14歳の中学生が放ったとは思えない見事なシュートが決まり2-0とゴリラのリードが広がる。

▲望月を祝福する斉藤と松島。愛弟子の成長に笑顔が弾ける。

 

「いちばん警戒していた7番(青山)に立ち上がりに決められてしまい、気持ちが落ち着かないまま失点を重ねてしまった。」
試合後、蹴球小娘の攻撃の核、山本未来がこう話してくれたが、この日の蹴球小娘ベンチに山田一博監督の姿がなかったことも、選手の精神的な部分をコントロール出来なかった要因かも知れない。

 

一方のゴリラにとって、前半を半分戦った時点で2点のアドバンテージは申し分ないスタートだった。
「後は流れの中でどうゴールを積み上げるか。」ピッチサイドでメモを取る筆者の頭には、正直、そんな思いが生まれていた。

▲先発でピッチに立った尾崎はアグレッシブなプレーを見せていた。谷下の負傷、稲葉の移籍で今季はピッチに立つ時間が長くなるだろう。

 

しかしながらこの後、ゴリラは今季の新加入選手を次々とピッチに送り出した事もあってか、連携にややミスが生じ蹴球小娘の反撃を受ける場面も見られ、結局、前半は2-0のスコアのまま終了、後半へ折り返す事となる。

 

後半開始から、蹴球小娘は前線からのアグレッシブなディフェンスでゴリラ陣内に押し込む。
特に、前半にも増してゴールへの意欲を見せたのが山本だ。その山本はゴリラゴールに迫る競り合いの中で激しく転倒、頭をピッチに叩きつける場面もあり周囲をヒヤッとさせた。一旦はベンチに下がりアイシングなどの処置を受けたが、再びピッチに戻ると彼女本来の足を生かしたディフェンスからの速攻でゴールを奪った。

 

ハーフライン付近でのゴリラの横パスを狙い山本がインターセプト、そのままピッチ中央をドリブルで駆け上がりゴール正面から豪快に突き刺したのだ。

 

「攻撃はやりたいことの半分も出来ていなかったので課題の残る試合となった。」と齊藤が振り返るように、特に後半のゴリラの組み立ては、やや広めに距離をとる味方選手間にパスを通すために必要なパススピードもなく精度も低かった。さらに、人もボールも動きが少なく、守る側にとっては「取りどころ」を明確にイメージできていたはずだ。

 

試合後「あれが私のプレー。」と山本が振り返ったゴリラにとってのこの失点は、ある意味、必然だったと言えるだろう。

 

その後も、攻守にわたりリズムが変わらないゴリラに対し積極的なディフェンスからゴリラゴールを目指す蹴球小娘。

 

試合を見守る観客や他チームの選手たちにも「いつ同点ゴールが生まれるのか?」を思わせる時間帯が続く。

 

それでもゴリラは何とか凌ぎ切り、2-1の勝利を手にした。

▲要注意の山本へ体を寄せる齊藤。「個人的には、ミスもあったがチームに声を掛け続けること、身体をはること、走ること、頭をつかうこと、与えられた役割は果たせていたと思う。ただ、もっとシュートを打ちたかった。」と振り返った。

 

試合後、蹴球小娘の山本に頭の負傷について声を掛けると「大丈夫です。床に当たった瞬間はボーっとなっちゃたんですけど。」と笑顔で答えてくれた。
さらに試合終了までの残り2分間、ベンチに下がったままピッチに立たなかった事を問いかけると「今日の試合は、2人組みで時間を決めてローテーションしようと話していたんです。たまたま終了間際のタイミングで交代になったんですけど、もう1度ピッチに戻りたかった。でもタイミングがなくて。勝ちたかった。」と声を落とした。

▲蹴球小娘が誇る東海女子屈指のスピードスター、山本未来。まだ20歳と若い選手だ。

▲立ち上がりからファール覚悟の厳しいマークで青山に対応した蹴球小娘だったが・・・。

▲青山とマッチアップする蹴球小娘の伊藤沙世。彼女はまだ12歳の中学生。

 

ゴリラにとって最も警戒すべき山本不在の残り2分は、苦しさを増幅することなく試合を終えた救いの時間だったとも言えるだろう。

 

公式記録によれば、蹴球小娘は後半のタイムアウトを取っていない。試合終盤にも蹴球小娘にとっての「マイボール」での切れ目はあったはずだ。先にも記したが、監督不在のベンチワークが少なからず試合結果に影響したのではないだろうか。

 

ただ、この日の監督不在は蹴球小娘だけではない。ゴリラのベンチにも小池良平監督の姿がなかった。
後半、攻守ともに悪い流れが継続していた時間帯に小池監督がベンチ入りしていたらどんな指示を出していたのかはもちろんわからない。

 

「守備に関しては今の段階では合格点。崩されてシュートを打たれたものはなかった。」と齊藤は振り返るが、相手の組み立ての段階で、ディフェンスの大原則であるはずのボールへのプレッシャーが無く簡単に自陣にボールを持ち込まれるケースがたびたびあった。より上位のステージで強豪と対戦するためには、相手ボールへの厳しいプレスは必須である事は忘れてはならない。

 

それでも手にした勝点3、加えて今季の新戦力のうち、池田沙織里(4)、山岸香奈恵(5)、そしてLリーグを経験している鈴木舞子(14)の3人がピッチに立ち、フットサルの実戦を経験した事は大きな収穫だろう。

▲チーム代表として、そして選手としてチームを引っ張る齊藤は「泥臭く」や「死に物狂い」の言葉で仲間を鼓舞。ちなみに今季、キャプテンは青山が務める。

 

次戦、浜松アリーナ開催の【第2節】まで3週間のインターバルがある。対戦相手は今季注目の丸岡RUCKレディースだ。

 

全日本女子の県予選、そして東海リーグと立て続けの日程ではあるが、今季掲げる自分たちの目標達成のために良い準備を行い試合に臨んで欲しい。

 

※公式記録は以下のページよりご覧いただけます。
  ■2012東海女子 日程/結果

 

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