Fリーグ2012第8節、アグレミーナ浜松はバサジィ大分に0対3で敗れた。
この試合、密かに浜松初勝利の予感を抱いていた。理由は2つあった。大分が今季まだアウエーで勝利を挙げていないこと。そして6月23日に同じ浜松アリーナで行われた府中戦が、非常に希望の持てる内容だったことだ。
浜松のスターティング5は引き分けで勝ち点を得た町田戦と同じ顔触れだった。向島佑介、ニージャーリ、萩原洪拓、田中充彦。ゴレイロは山本浩正だ。
浜松の立ち上がりは良かった。ボール回しのテンポが今一つの大分のファーストセットを相手に、右サイドを深くえぐる場面が何度かあった。
最大のチャンスは4分。右サイド剣持貴充からタテに出たボールをニージャーリが右コーナー付近から折り返した。ゴレイロは動けない絶妙なコース。「誰か触れば」というパスだったが、詰めている選手がいなかった。
大分はセカンドセットでペースを握った。前線の中村友亮、蒲原旭がクロスするような動きでひっかきまわす。特に静岡学園出身の中村は「出身県に錦を飾る」気持ちを前面に押し出すように、積極的なドリブルを繰り返した。「大分の前節(町田戦)の試合DVDを見たが、真ん中に長いボールを入れてくる攻撃が多かった」(前田健一監督)。浜松にとって大分の攻撃イメージは、想定と多少異なっていたかもしれない。
押し込まれた浜松は13分に失点。右CKからハーフ手前のチーニョが強いシュートを放ち、浜松ゴレイロ山本のパンチングを中村が押し込んだ。
浜松は前半17分、第2PKのチャンスを得る。キッカーは蓮池紳吾。だが慎重に狙ったシュートは惜しくも左ポストをたたいた。1点ビハインドで前半折り返しとなった。
後半は大分の攻撃が活性化。「1タッチ2タッチのボール回しを意識させた」という館山マリオ監督の指示通り、前半は沈滞していたファーストセットがリズミカルにパスを回し始める。21分、左サイドを突破した久光邦明の折り返しを仁部屋和弘が中央で合わせ2点目。31分、左サイドからカットインした小曽戸允哉3点目。浜松は日本代表選手の連続ゴールで3点差をつけられてしまう。
浜松は残り7分半から剣持をゴレイロに据えてパワープレーを開始。「ゾーンディフェンスの練習の副産物」(前田監督)というパワープレーは、左ゴール前にニージャーリを置き、同サイドの剣持とのパス交換からシュートチャンスをうかがう意図に見えた。
大分も「4点目を取りに行く」(館山監督)という意志を込めて、仁部屋のパワープレー。お互いに目まぐるしくゴレイロが交替する展開だったが、結局このまま試合終了となった。
3対0大分勝利。浜松は連敗だ。8節を終えて1分け7敗でまだ「片目」があかない。試合後の前田監督は「次はすぐ上の順位の湘南戦。勝ち点で並びたい」と意欲をにじませた。