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 Fリーグ第14節アグレミーナ浜松対デウソン神戸が9月21日、掛川市のさんりーな掛川で行われた。13節を終えて1分け12敗のアグレミーナだが、さんりーなは第5節町田戦で勝ち点1をもぎ取った「ゲンのいい」会場。オマー・ニージャーリも5試合ぶりにメンバーに名を連ねた。神戸は前節、試合終了間際にゴールを許してドロー。だが名古屋、大阪に続く3位という好位置につけている。

 

▲アグレミーナ浜松

▲デウソン神戸

 前回の対戦は7月22日の第5節。アグレミーナのマンマークがある程度の効力を発揮したものの、走力の差があらわになった一戦だった。スコアは1対4。退場者が出て数的不利になったのも痛かった。

 

 試合開始。お互いにトラップやパスのミスが多い。試合後の選手、監督のコメントによれば、アグレミーナは「前プレスで主導権を握る」という方針だったようだが、実効性には疑問が残る内容だった。

 

 デウソンには原田浩平という日本屈指のピヴォがいる。細かくフェイクを入れてDFから遠ざかり、ボールを受けるのが上手い。デウソンは原田やセカンドセットの岡崎チアゴを使い、アグレミーナの守備ラインを下げさせた。

 

 アグレミーナはいくつか可能性を感じる攻撃を見せた。パラレラで右サイド奥に進出しようとした場面が2回。相手につぶされたが、ここで折り返しを打てればチャンスが広がっただろう。9分にはハーフウエーライン付近でヒールパス2本をつなぎ、向島佑介が逆サイドの蓮池紳吾に絶妙の浮き玉パス。ダイレクトで放ったグラウンダーのシュートは惜しくもゴール左に外れた。

 

 14分、デウソンが先制。岡崎が放ったシュートのこぼれを、鈴村拓也が逃さずたたいた。百戦錬磨の元日本代表。勝負どころでのシュートの正確性を発揮した。

 

 18分、デウソンが追加点。左サイドでパスミスを拾った山元優典が中央に持ち込んでミドルシュートを放つ。ゴレイロ山本浩正は虚をつかれたかのように動けず、ボールはゴール左上に吸い込まれた。

 

 暗雲立ちこめる展開だったが、アグレミーナは勢いのある攻撃を続ける。19分、剣持貴充が強烈なロングシュート。ゴレイロのパンチングに中島涼太が猛然と突っ込んだ。

 

 前半残り40秒、右サイドでボールキープした石野潤が輝きを見せる。DF2人を切り返しとまた抜きで交わして前に出ると、正確なシュートでゴール左上隅を射抜く。1対2。アグレミーナはその後も左サイドのキックインから立て続けにシュートを放ち、良いイメージで前半を終える。

 

 後半も田中充彦、石野、蓮池、松本行令のセットで攻め立てるアグレミーナ。田中→石野でデウソンゴール左に進出、FKのチャンスも得る。

 

 だが好事魔多し。21分、デウソンはシュートキャッチしたゴレイロ冨金原徹が、切り替えの早さを発揮して浜松ゴールにダッシュした原田に絶妙のスロー。右に江藤正博が並走する「練習でいつもやっているパターン」(冨金原)だ。教科書通りのカウンターが発動され、あっという間に3点目を奪った。良い時間帯に得点できず、返り討ちに遭ったアグレミーナ。このゴールは痛かった。

 

 時間が進むにつれてパス回しが単調になるアグレミーナ。相手陣に攻め込みながら、内から外へ渡すパスがタッチを割るシーンも見られる。ここでミスしていては、ゴールはおぼつかない。

 

 デウソンはパス回しの精度が高まる。30分、右サイドから江藤が体を振って中央へ進出。細かいボールタッチでDFとゴレイロを翻弄し、左足でゴールに流し込んだ。

 32分には森洸が鈴村とのワンツーを決めて5点目。このあたりからアグレミーナは裏のスペースがぽっかり空くようになる。攻撃ではパス回しでミスが頻出し、個人の仕掛けに頼らざるをない。無理な突破が相手の守備網に引っかかり、一発で裏を取られる悪循環。デウソンはその後4点を重ねた。

 

 試合は9対1でデウソン勝利。アグレミーナはホーム最多失点を喫した。試合後の選手たちにサポーターから「気持ちを見せろ」の大コールが降り注いだ。なすすべもなく失点を重ねた後半は、ホーム戦としてはあまりにお粗末だった。悔しさのあまり涙にくれる選手もいた。

 

 これで14試合勝利なし。Fリーグの記録をひも解くと、2008年のステラミーゴいわて花巻は開幕から18試合未勝利だった。19節町田戦で挙げた初勝利が、このシーズン唯一の勝ち星だった。14節まで1分13敗。現在のアグレミーナとそっくりだ。そんなステラミーゴも14節終了時点での失点は71。アグレミーナの失点80は、それをはるかに超えている。

 

「守備の立て直しが急務」。言うは易し行うは難しだが、現在のアグレミーナの課題はここに尽きる。残り1分でFリーグ初出場を果たしたゴレイロ石原健太の鋭いまなざしとあふれる活力には、光明が見えた。

 

 アグレミーナ・前田健一監督のコメントによれば、「ブラジル人監督」との交渉は進んでおり、10月中の合流を目指しているとのこと。勝利に飢えた選手たちの気持ちがピッチ上で良い循環を生む。そんなゲームを期待したい。

 

●アグレミーナ浜松 1-9 デウソン神戸

14分 鈴村拓也(デウソン) 0-1
18分 山元優典(デウソン) 0-2
20分 石野潤(アグレミーナ) 1-2
21分 江藤正博(デウソン) 1-3
30分 江藤正博(デウソン) 1-4
32分 森洸(デウソン) 1-5
33分 鈴村拓也(デウソン) 1-6
34分 山蔦一弘(デウソン) 1-7
36分 稲田瑞穂(デウソン) 1-8
39分 瀬川昂暁(デウソン) 1-9

写真・レポート:橋爪充

 

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