昨日の名古屋市、大洋薬品オーシャンアリーナ、今夜は大阪市中央体育館を会場に、日本代表vsイタリア代表の国際親善試合が行われたことはもうご存知の事と思います。
結果についても同様にご存知かとは思いますが、一応、ご紹介しておきます。
▼9月23日(水曜日)会場:名古屋市、大洋薬品オーシャンアリーナ
日本代表 0-0 イタリア代表
▼9月24日(木曜日)会場:大阪市中央体育館
日本代表 3-4 イタリア代表
さて、フットデ静岡では9月23日開催の第一戦につきまして、橋爪充氏によるレポートの掲載を予定しておりましたが、その原稿がこんなに早く!届きましたのでさっそくご紹介したいと思います。
国内の大手フットサルメディアでも、今回の国際親善試合についてはたくさんのマッチレポートや戦評が掲載されることと思いますが、今回、橋爪氏はこのフットデ静岡向けに、試合後の両監督の記者会見でのやり取りと、ゴレイロとしてイタリアを完封するという大仕事を成し遂げた静岡出身の川原永光選手のコメントをメインに寄稿してくださいました。
特に記者会見全文掲載というのは、ちょっとびっくりの橋爪企画ですねぇ~!。
(※橋爪さん、今回は本当にありがとうございました。)
それでは、以下にレポートを掲載させていただきますので、じっくりとお読みください。
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ミゲル・ロドリゴ監督率いる新生日本代表が、イタリア代表を迎えて国内初の国際親善マッチを行った。会場の大洋薬品オーシャンアリーナ(名古屋市)には2022人の観衆が集まった。
前半は、両チームとも前からプレッシャーを掛け、長短のパスでゴール前まで迫るお互いにチャンスの多い展開。日本は星翔太(浦安)、小曽戸允哉(大分)が惜しいシュートを放った。畠山ブルノタカシはファーストセットに入り、前線でのボールキープや、サイドでの突破など持ち味を発揮した。
後半は、コンディションの整わないイタリア、ほぼ8人でFPをまかなう日本、双方とも運動量が落ちる。特に後半5分はイタリアの迫力ある攻撃にさらされてしまう。しかし、ゴレイロ川原永光(名古屋)がディフェンスとの連携、持ち前の判断の良さでナイスセーブを連発。イタリアにゴールを明け渡さない。
結局スコアレスドローで試合終了。「ゴールがなくて申し訳ない」とコメントしたミゲル監督だったが、アグレッシブな試合内容に観客席からは大きな拍手が沸いた。
【日本代表メンバー】
1 川原永光
12 村山竜三
14 藤原潤
10 木暮賢一郎
8 上澤貴憲
4 小宮山友祐
5 村上哲哉
2 菅原和紀
7 松宮充義
3 北原亘
6 小曽戸允哉
13 畠山ブルノタカシ
9 星翔太
11 渡邉知晃
15 皆本晃
■日本代表ミゲル・ロドリゴ監督会見全文
まず最初に。試合の展開はスペクタクルでしたが、唯一ゴールが足りませんでした。お客さんに申し訳なかったと感じています。
前半はイタリアのような偉大なチームに対して互角に戦えた。両チームともゴールチャンスをつかんでいた。満足しています。後半はメンタル、フィジカルともレベルが落ちてしまった。それにともなってイタリアのゴールチャンスが増え、彼らの良いパフォーマンスが出たと思います。最後の6~7分は非常に苦しい時間帯だった。ただ選手たちは自己犠牲や助け合う精神だとか、そういった日本人全般に見える特徴をいい部分を出しながらイタリア代表相手にひとつになっていた。日本人としての特徴を捨てずに戦い続けてくれたことに満足を感じています。
日本代表はまだ戦術面のトレーニングを十分に積めていません。これまでやってきたことは敵陣でのプレッシングのディフェンス、自陣でのディフェンス、セットプレー。この3点のみトレーニングです。攻撃面、特にプレスを受けた時の回避は足りないところだと考えています。ただ、いままでやってきたことを基準に今日の試合を評価するなら、イタリア代表を0で抑えたことは満足できます。
不満な点は(これはトレーニングが足りないことが原因なのですが)最後のシーンでポゼッションを放棄する時間帯があったこと。プレス回避のトレーニングはまだ行っていないので、今後合宿を重ねてチームを完全な状態にもっていきたい。大阪、浦安、名古屋の3チームの選手に関しては、(チーム事情などで)これまでの合宿に参加できませんでした。彼らに関しては、まだまだ足りない部分はあったと思います。ただ、そこを考慮した上でも今回の試合の目的は十分達成できたと思います。
我々が作り上げている日本代表は、前回の代表のメンバーから4人ぐらいしか残っていません。合計17人の選手をひとつのグループとして築き上げている。まだ(初召集から)3カ月しかたっていない中でオランダ、イタリア、イラン相手に成果を上げている。地道な積み重ねが新しい日本代表を作り上げようとしています。魔法の言葉ですべてが変わってしまうことはありません。こうした地道な活動を続けていかなくてはいけないと思います。
(質疑応答)
▼前半の中盤から短時間で選手交代を行っていた理由は?
試合の最後の時間帯において苦しい時間をむかえることは想定していました。チーム内で重要な役割を担っている選手が、できるだけフレッシュな状態でその時間帯を迎えられるようにという意図でそうしたローテーションを行いました。できるだけ選手に疲労が積み重ならないないように、9人目の選手として皆本も使いました。
▼出場時間が長かった星翔太選手への評価は?
彼は将来日本代表を背負って立つだろう重要な選手だと思います。所属クラブ(浦安)の監督ともコミュニケーションを取りながら、お互いにそういう認識をもっています。今まではこうした役割は稲田(祐介=浦安)が担っていたのだと思いますが、彼をそうした(稲田のような)選手を育てるためには、イタリアのような強いチームと試合をする経験が重要だと思います。彼にタスクとして与えているのは、いかにピヴォでプレーするか、ということ。相手を背負ってどのようにプレーするか。そういう指導を代表とクラブ、両方で行っています。
▼前後半とも終了間際にタイムアウトをとったがその意図は?
前半は残り30秒のキックインでどう崩すか、どうシュートを狙うかを指示しました。もしあそこで1点取れれば、後半に向けていいモチベーションを得られたでしょう。後半は主導権を握られた時間帯でした。ですからまず、選手たちに活を入れました。それまでの37分間は非常によくプレーしていたのに、(この時間帯では)切り替えが遅くポゼッションを放棄していた。「どうしたんだ」と聞きました。選手たちは「疲れている」と答えました。そこで、走って解決するんではなく、頭を使ってゲームをコントロールすること、そのためには何が必要かを伝えました。一人の指導者として愛情をもって選手に接し、最後の時間帯に臨む彼らに励ましを与える。そういう意図でした。
▼前半は日本の右サイドから崩されるシーンが多く見られたが、ハーフタイムの修正指示などは?
イタリアはサイドをいかに攻略するか、という戦い方をしていた。ハーフタイムはそこにどう対処するかに焦点を当てて指示を出しました。具体的にはディフェンスライン1列目の選手が縦を切ることや、ボールサイド、特に縦のピヴォの選手にボールが入った時に激しく寄せようと。もし入ってしまったら、逆サイドのアラが絞ってサポートしてあげようと。状況への適応能力を選手に求めました。中国遠征では日本がほとんど(のゲームで)主導権を握っていたので、そういうことはなかった。しかしイタリアに対しては、彼らがやってくるいいプレーに対して選手たち自身が考えて対応しなくてはなりません。そこは上手く考えて対応してくれたと思います。
▼国内デビュー戦。選手たちにどういう声をかけたのか?
自信をもって試合に臨もう、と。私は日本を代表する選手たちを選びました。その部分は誇りと自信をもっていこう、と話しました。対戦相手にイタリアを選んだ理由についても話をしました。必ず勝てるような安全な相手を選ぶこともできましたが、この選手たちは難しい相手にも立ち向かっていける集団、という認識があった。だから世界の強豪であるイタリアを相手に選んだわけです。そういう相手でもこのチームはきちんと勝ちにいける。そういうことを試合前に伝えました。個人的にもある程度いい成果を残せるのではないかという予感がありました。やれることをすべてやろう、というのが試合前のミーティングの内容でした。
(ここで主催者側から会見終了のアナウンスがあるが、それを遮って)
一言だけ言わせてください。今回の試合は私の日本デビュー戦だったのですが、一生忘れることのできない嬉しい試合の一つとなりました。スペインとはまた違った雰囲気の中で試合ができた。この試合を迎えるまでに、合宿に足しげく通ってくださった方もいらっしゃった。日本協会も非常に重要なサポートをしてくれた。こういう挨拶をするとお別れのパーティーのように聞こえるかもしれませんが(笑)、今日は大きな区切りの日です。大きな仕事をこれからも自信をもって進めていく上で、さまざまな協力のもと素晴らしい親善試合が開催できたことを感謝しています。まだまだ未熟なチームですが、これからも努力していきます。温かく見守っていてください。明日は頑張って勝ちます。ありがとう。
■イタリア代表ロベルト・メニケリ監督会見全文
いい試合だったと思います。(我々は)コンディションが難しかった。時差ボケもあったし、日本に到着してからの時間も短かった。コンディションを作れなかったのが最後まで響きました。ただ、今日は両チームの選手にいい試合だったと言いたい。
イタリアはチャンスが3、4度あったのをしっかり決めなくてはいけなかった。バーに当たったシュートも、しっかり狙ってバーの下に入れなくてはいけない。日本はいいチームでした。戦術も良かった。明日は勝てるように頑張りたいです。
(質疑応答)
▼日本のどういうところが良かったか?」
ディフェンスに関して、スペースをつぶしていい出足だった。前半は最後まで自由を与えてもらえなかった。
▼ハーフタイムの指示は?
後半も特に作戦は変えていません。ただゴールが奪えませんでした。
▼今回のチームはどんなことを目的に結成されたか?
とにかく試合に勝つこと。それから若い選手を試すこと。特に86~87年生まれの選手ともともといた選手とのコンビネーションを見たかった。今日は代表では試したことのない選手が4人いた。彼らのプレーも見たかった。
▼14番の選手(ボンフィン)は後半まったく使われなかったが、それはなぜか?
やっぱり慣れていない選手だったので。周りの選手にもその点は言ってあったが、うまく対応ができなかった。
▼日本代表選手の中で目に付いた選手は?
畠山、木暮が目に付きました。とにかく日本は全体的にいいチームだったと思います。
▼今回の代表は元ブラジル人はどのぐらいの比率か?
40%がオリジナルのイタリア人でした。協会のほうからもそういうリクエストがありました。イタリア人を育てようと。若い選手も多く取り入れていきたいという意図がありました。
■川原永光選手コメント
いい準備ができて、楽しい試合ができたと思います。
(イタリア代表とは5年ぶり?)そうですね…。正直なところ、相手はあのときのほうが強かったかなと思います。でも誰が出てきてもイタリアの代表ですし。日本はそれに負けないように。
(試合の結果については?)今日はゼロに抑えたことが(リーグ戦も含めて)久しぶりだったので、その点が嬉しいですね。チーム(名古屋)ではまだ(ディフェンスが)機能していなくて、悩みながらやっている最中。今回も自分の中ではまだもやもやがありました。でも今日は浦安で一緒にやっていた小宮山、カミ(上澤)やテツ(村上)が体を張ってくれて助かりました。自分が「ここに打たれたらいやだな、と思うところに体を入れてくれた。
(チーム全体として後半はクオリティが下がったように見えたが?)自分のフィードの悪さも思いきり出てしまった。それがなければみんな疲れないで1試合こなせたと思います。今まで稲田君がいたのは大きかった。これから(星)翔太と改善できればと思います。彼は要求に応えるような動きをしてくれるので、こちらもいいボールを蹴りたい。
(ブルノが受け手になることも多かったが?)もともとチームでは前に行かない選手なんですよね。普段やっていない選手に出すのは難しいですね。今日はイタリアも前から寄せて来るんで、簡単に足元に蹴るとかっさらわれる。だから浮かせて蹴っていたんですが、そうするとなかなか処理が難しい。監督からも裏に蹴って、相手を走らせて疲れさせろという指示があったんですが…。続けてそれができるようになることが必要ですね。
(7番のピント・ジュニオールが何度もカットインしてシュートに持ち込んでいた)前半からそれがあったので、監督からもそこをケアしろいう指示がありました。今までの日本代表だと(ボールを持たれたときに)簡単に飛び込んで交わされて、ファーに出されて(決められる)ということが多かった。でも今は落ち着いて相手の出方を待って、というやり方。シュートは打たれたけれど、コースは見えていたし怖くはありませんでした。カミや村上、友祐、亘。ディフェンスの強さは信頼しているし。
(会場の雰囲気は?)鳥肌が立ちましたね。前半が始まる前、サポーターが浦安時代の応援歌を歌ってくれたんですよ。聞いていてしびれました。またここで代表の試合を見たい、そういう風に言ってもらえるように頑張ります。