ウイダーFリーグ第25節アグレミーナ浜松対府中アスレティックFCが12月8日に浜松アリーナで行われた。
アグレミーナ浜松は後期に入ってから6連敗、前期から数えると16連敗と苦しいシーズンを送っている。
しかし保田監督就任後は連敗が続く中でも勝利する可能性があったゲームが増えてきているのは明確だ。
不足しているのは「勝ち点3」と「ホーム初勝利」という事になるのだが、この日は松本、蓮池、中島(千)、内野を欠くメンバー構成で府中アスレティックFC戦を迎える事になった。
対する府中アスレティックFCは前期を3位とプレーオフ圏内の好順位で終え、後期に入ってからも初戦で名古屋オーシャンズを破るなど好調を維持し現在4位につけている。
しかし主将である宮田と山田ラファエル・ユウゴと三井が戦列を離れている状況。
前節ではホームゲームでペスカドーラ町田に敗戦。
プレーオフ進出を狙う府中アスレティックFCは連敗を避け、総力戦で勝ち点3を獲得するべく浜松アリーナに乗り込んだ。
浜松のスタメンは山本(GK)、向島、笠井、曽根田、三輪(C)。
府中のスタメンは田中(GK)、小檜山、田村、皆本、ダンタス。
開始早々からエンジン全開で浜松ゴールに迫る府中。
山本の好セーブ、笠井らの体を張ったシュートブロックで序盤での先制点を与えない。
浜松のセカンドセットは松浦、萩原、剣持、田中。
府中も次々に選手を入れ替えへ速い展開でシュートシーンを増やしていくがここまではなんとか浜松が耐えている印象。
ソロカーバのミドルシュート、江口のPIVO当てからのシュートも枠を外れるが府中ペースでゲームが進んでいく。
松浦、曽根田らのアタッカー陣も守備に労を費やす時間が続き、府中ゴールまで迫ることがなかなか出来ない。
結局このペースのまま前半のシュート数は府中26、浜松5と数字でも一方的な展開を表われていた。
ここ数試合浜松は前線からアグレッシブなプレスをかけていたがこの日はハーフで構えて府中の厚みのある攻撃を受けて立つ守備体制だった。
また5分には和久田がセカンドセットの萩原に変わってピッチインしリーグ戦初出場を果たす。
しかし苦しい戦況もあってかピッチインした数分は持ち味を出せずに交代することになった。
ここまで耐え凌いでいた浜松だったが9分府中の攻撃がついにゴールを破る。
江口がDFを振り切って中央から左サイドに鋭いドリブルを仕掛けファーサイドへ強いシュート性のパスを送る。
これが帰陣していた向島に当たりオウンゴールとなって府中が先制点を奪った。
厚みのある攻撃を繰り返してきた府中がようやくこじ開けたといった得点だった。
その後も府中はフィジカルの強い選手達がボール回しでも速い展開力を見せ、選手それぞれの特徴を生かしながら様々なバリエーションでシュートチャンスを作る。
Fリーグの屈指の強豪である事を前半の最初で浜松を含む会場の全ての人達に示していた。
ピッチインする全選手が攻撃でも守備でもアグレッシブさを緩ませずに早々の追加点を狙う姿勢を継続する。
府中は江口や小山が積極的に1対1を仕掛けてゴールを狙っていくが、早々の追加点を浜松は必死の守備で与えない。
ワイドにボールを動かす府中に対して時折パスカットからカウンターを仕掛ける浜松だが最後のところで自由にプレーさせてもらうことが前半はで出来なかった。
15分にはゴール近くでのFKのチャンスに府中は谷本監督がすかさずタイムアウトを取って作戦を確認するもこのFKは浜松がブロックする。
前半終盤には田中、松浦らが何度か府中の守備陣を突破し、シュートを放つも惜しくも枠を捉える事が出来ない。
府中も速いカウンターから田村が前半終了間際にサイド突破からシュート放つも枠を外れ、そのまま前半が終了。
0-1であるが浜松は防戦一方と認めざるを得ない前半となった。
後半、浜松は山本(GK)、向島、笠井、曽根田、三輪でスタートする。
立ち上がりの戦況も定まっていなかった21分に浜松は笠井の積極的な突破からCKを得る。
そのCKを向島が逆サイドの曽根田へ浮き玉のパスを通し、強烈なボレーシュートが府中ゴールへ向かう。
そのボールをゴール前の笠井が体に当て方向を変え、府中ゴールに流し込み早々の同点ゴールを奪う。
しかし同点弾から3分後の24分、府中がゴールを奪う。
剣持が空中戦で競り勝つもセカンドボールを府中に拾われ、最後はゴール前中央から江口にバーを叩きながらゴールインするボレーシュートを決められ2-1と府中が再びリードする。
剣持の空中戦の前にカウンターを仕掛けようとしたところを奪われてしまったのが痛かった失点だった。
ここから前半の防戦一方という展開とは大きく変わって一進一退の攻防が繰り広げられる。
府中はダンタスのFKがポストに直撃。
小檜山がループパスから抜け出しシュートを放つも枠を捉えきれない。
浜松は初出場の和久田が硬さも取れてきたのかチャンスを作る場面も見せた。
攻守共にパフォーマンスを上げていった浜松は硬直しかけたゲームを31分に動かす。
田中が左サイドをスピードに乗った突破で相手のカバーに入った選手を吊り出しファーサイドでフリーになった松浦にパス。
この位置まで良く走っていた松浦はこれをゴールに流し込み2戦連続の得点で2度目の同点弾を奪った。
しかし再び同点にされた府中から焦りは感じられず、むしろ更に攻守共にアグレッシブさを増していった。
逆転ムードの浜松に対して33分、府中は個の力で逆転弾を決める。
皆本がプレッシャーを受けながら中央から左サイドにドリブル。
勢いで体が流れながらも逆サイドネットに腰の入ったグラウンダーの強いシュートを叩き込み3-2。
2度も同点にされ、流れを持って行かれそうなところを個の力で吹き払った1発だった。
そしてその30秒後、浜松は自陣でボールを奪われ府中岡山にゴール中央からフリーで決められ早過ぎる追加点を与えてしまう。
これでスコアは4-2。
2-2だった時間が幻だったかのように浜松は2点のビハインドを食らってしまった。
保田監督はタイムアウトを取り曽根田をGKにしてパワープレーを開始する。
しかし狙いどころを探る前の段階で府中は速いプレッシャーを掛けて先手を取ってくる。
36分、田村が奪ったボールを無人のゴールへ流し込み5-2。
続く38分には小山粘り強い寄せでボールを奪い、自陣からのシュートで2点を奪い7-2と大差が開いてしまった。
7-2府中リードのまま試合終了。
5点の大差はついたが4-2の時点で勝負ありだったと思わざるを得ない試合展開だった。
この結果で府中は後期3位に浮上。
浜松は後期7連敗、そしてトータル17連敗とし今節もホーム初勝利を逃してしまった。
▼試合後の記者会見でのコメント
アグレミーナ浜松/保田監督
「結果的に大差がついてしまったが3点はパワープレー返しでした。パワープレーの完成度を考えたら決して状態は良くありませんでしたが2点差という事とホームゲームだったという事で選択しました。なので最後の3失点は仕方がない部分がありました。しかしその他の4失点の内2失点はミスによるものでした。今までもそうですがオフェンスもディフェンスも良くなってきていますが大事な場面での個人個人の対応のレベルアップを図っていかなければいけません。しかし全体的にはとしては良い方向にいっていると感じています。」
「今日のゲームのオフェンスに関しては前後半共にスタンスは変えていません。しかしディフェンスに関しては前半で苦しい場面が何度もあったので後半はやり方を変更しました。今後の改善策ですがまずはインプレー中の質を上げていく事とセットプレーを多く取り入れていきたいと思ってます。」
「AFCを見てもわかるように体格的な部分で相手チームより劣っていても動きの質でカバー出来ると考えています。」
「この7試合で収穫もあります。選手の意識も高まってきているので追いついて引き離されるところを我慢を持続を出来るかがポイントだと思ってます。今日はいつも前からアグレッシブにいっていたディフェンスを前節を終えた時点で負傷している選手が多い中、今節出場出来る選手の顔ぶれを見て判断しここ1週間で準備をしてきました。」
アグレミーナ浜松/三輪選手(C)
「前半はハーフでしっかり守備をしていくという中で修正する部分もありますが我慢してやれた部分もありました。後半は強くディフェンスをしてCKのチャンスまで持っていって得点が取れたのはよかったです。しかし前への意識が上がったところで失点をしてしまったので修正する部分を選手同士でしっかり共有していきたいと思います。」
惜しくも浜松はまたもや保田監督の初勝利&ホーム初勝利を逃してしまった。
しかし2度のビハインドを追いつくたチームの成長は確かなものだった。
負傷による主力選手の欠場が多かった事を考えると選ばれるべき12人が揃った時、その真価は問われることになるだろう。
その答えは未来のゲームだけが知っている。
だからこそ誰も予想出来ない未来に向かってチームやサポーター、関係者も目の前の課題に向き合っていくしか道はない。
2013年、残されたホームゲームは残り1試合だ。
●アグレミーナ浜松 2-7 府中アスレティックFC
9分 OG(府中) 0-1
21分 笠井(浜松) 1-1
24分 江口(府中) 1-2
31分 松浦(浜松) 2-2
34分 皆本(府中) 2-3
34分 岡山(府中) 2-4
36分 田村(府中) 2-5
38分 小山(府中) 2-6
38分 小山(府中) 2-7
写真・レポート:奥山泰博
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