昨年10月12日、清水総合運動場体育館にて行われた「PUMA CUP 2014 第19回全日本フットサル選手権 中部地域予選」の準々決勝第4試合にて、東海1部リーグ上位に食い込んでいたXEBRAを相手に、一歩たりとも臆することなく渡り合い、最終的に3-2での逆転勝利を掴み取ったFSC/PROVA清水フットサルコート。(以降、FSCと表記。)
当ブログでも「この日一番の番狂わせ」としてご紹介させていただいた。 http://www.fut-de-shizuoka.com/FS_WEBLOG/?p=21645
そのFSCが12月21~22日に行われた静岡県大会でも周囲を驚かせる結果を残し、見事、東海大会へと勝ち進むこととなった。
今季、県2部リーグに所属しシーズンを戦っているFSCとはどんなチームなのだろうか?
筆者のもっとも身近で活動しているチームの一つでもあり、彼らの「快挙」を機に広くこのチームをご紹介したく、チームの拠点となるフットサル施設PROVA清水フットサルコートへ出掛け、チームの中心選手としてプレーもする杉山貴丈監督に話を聞いた。
その前に静岡県サッカー協会の組織を簡単に説明しておきたい。
東西に距離のある静岡県はサッカー協会の組織運営上、東から「東部支部」「中東部支部」「中部支部」「中西部支部」そして「西部支部」の5支部に区域分けされている。
FSCが所属するのは「中東部支部」、現在の静岡市清水区だけで形成されている。筆者がフットサル委員長を務めさせていただいている支部でもある。
静岡県各市町の人口の分布からそれぞれの支部の規模をみると、東部支部(富士市、富士宮市以東)が約120万人、西部支部(菊川、掛川、御前崎以西)約140万人、中部(静岡市葵区と駿河区)が約47万人、中西部(藤枝市、焼津市、島田市など)が約42万人であるのに対し、中東部支部(=清水区)の人口はわずか24万人ほどだ。
それでも、過去には県内5支部の中で最も多い「5チーム」が県リーグへ参戦していた時期もあるほど、競技フットサルに意欲的に取り組むチームが多い支部でもある。
さて、FSCの紹介に話を戻すが、チームからのリリースによれば結成時期は2002年、そして県リーグが2部制になった2006年にはじめて県2部リーグのチームとしての歩みを始めることとなった。
翌2007年に2部リーグで優勝し1部昇格を果たす。この時期は先にご紹介した支部の活動が最も活発だった時期と重なる。支部内の競技志向のチーム同士でしのぎを削りあうことでチームが急成長して行ったとも言えるだろう。
その後、2008にPROVA清水フットサルコートのサポートを受けチーム名を現在の「FSC/PROVA清水フットサルコート」に変更すると、2010シーズンまで3季連続で1部リーグ3位の成績を残す。
しかしながら、年を重ねるごとに主軸となっていたメンバーの高齢化や引退などにより徐々に戦力低下、2011シーズンで1部リーグ6位に順位を下げると翌2012シーズン(昨季)にはチーム創設者であり中心選手でもあった小林杉信代表の引退から戦力低下にさらに拍車がかかり、加えて選手数の減少など選手層の薄さが露呈、ついに1部リーグ最下位に沈み今季を2部リーグで戦うこととなった。
そして今季の2部リーグ、シーズンを1節だけ残す現時点で暫定首位に立ち、すでに上位2チームに与えられる来季の1部昇格の権利を手にしている。
以下、杉山監督とのインタヴューで今季のFSCをご紹介させていただく。
なお、全日本県大会での写真を筆者は1枚もカメラに収めていないので使用した写真はすべて以前のリーグ戦などのものであることをお断りさせていただく。
▼まずは全日本選手権東海大会進出、おめでとうございます。静岡の代表決定となっての率直な感想は?
◇ありがとうございます。撫子戦が終わった瞬間には「やった!」と言うより「やっちゃったの~!?」みたいな感じでしたね。
▼ここまでやれると考えていなかった?
◇まず支部予選(中部地域予選)の時期では、「1部リーグ復帰!」が最大の目標でした。常に「リーグ戦をどう戦うか!?」を考えていたので、具体的に全日本についての目標とかはなかったですね。まぁ、1試合でも多く試合が出来れば!という程度だったです。
▼それでも支部予選の決勝トーナメント1回戦では東海1部のXEBRAを倒して県大会行きを決めた訳ですが?予選ラウンドから決勝トーナメントまでに十分なXEBRA対策が出来たと言うことでしょうか?
◇特にXEBRA対策と言うことではなく、自分たちのプレー、特にディフェンスでのプレッシングに甘さがあったので、そこを修正できるよう練習を繰り返していたんです。それと昨年までの悪いパターンだった失点で意気消沈してしまうメンタル面が少し強くなったこともXEBRAに逆転勝ちできた要因だと思います。
▼メンタル面で改善出来ている要因は?
◇きっかけの一つは、支部予選前のリーグ戦【第3節】で首位争いをしていたDefi/GreenFieldとの試合です。途中で2-4とビハインドになったのですが、試合終盤までに5-4と逆転出来ました。この試合は結局勝てなかったのですが、みんなが「リードされても俺たちはやれる!」みたいな気持になれました。(※この試合はブザービートでDefiが5-5に追いついて終了。)もうひとつはPUMA CUP支部予選2試合目のLadroa戦です。序盤に失点して終盤まで0-1で負けていたのですが、残り5分で1-1に追いついてさらに終了17秒前に逆転したんです。この試合も気持ちで負けなかったという意味では大きなきっかけだったと感じています。
ただ、この試合で(支部予選の決勝トーナメントへ)勝ち上がりは決まったんですが、次のObra-Prima戦では自分のミスから失点して悪い流れを作ってしまいました。反省の材料も残りましたね。
▼支部予選の決勝トーナメントでは3試合すべてが東海リーグ勢との対戦でしたが、特に3位決定戦では県大会の準決勝と同じ相手「大和撫子/VIORA藤枝」との対戦でしたね。
◇あの試合は、もちろん3試合目で疲れもあったのですが、プレスの寄せの強さや距離がまるで駄目でした。0-5ですからね。ただ格上のチームと対戦経験は、その後のリーグ戦でも行かされたと思います。3連勝で来季の1部昇格を確定させることが出来ましたから!
▼つまり今年最大の目標を達成したあとの全日本県大会だった訳ですね!
◇その勢いで初戦のNatureza Grande戦から勝つつもりで挑みました。終盤に失点して0-1になってしまったのですが残り1分で追いつけたのが大きかったですね。それと、グループ2試合目は自分たちがオフィシャルで対戦相手(AS mezcolanza、西部支部所属)を見ることが出来たのも良かったと思います。
▼その試合、Naturezaが8-0で勝利したゲームです。次に9点取らなければ勝ち上がることが出来ない状況となった訳ですが、それでも行ける気がした?!
◇正直、オフェンスの練習に時間をかけていなかったですし9点は楽な数字ではないですが、判りやすい目標でやるしかなかったですから。前半の4得点で行ける確信ありましたよ。(※その試合を9-0で制し、得失点差でグループ1位を決めた。)
▼そして迎えた準決勝ですが。
◇開始から5分間は何度も押し込まれて危なかったのですが、その時間帯を凌ぎ切れたことでリズムを取り戻せました。引いて守って守りきれる相手ではないので、とにかく走り勝つつもりで戦えたのが良かった。
▼王者DELIZIA磐田との決勝でも2-2に追いつく時間帯がありましたが?
◇ん~っ、その試合では何と言うか、やれると思った瞬間に、何だか違うモードで攻められて簡単に点を取られてしまうと言う感じで・・・。やっぱり強いですね。
▼とにかく県リーグ2部のチームとしては素晴らしい結果だと思いますが、戦力や戦術での昨年との違いをあげると?
◇戦力や戦術面と言うより、良い形で練習が出来ていることが一番の違いです。特にディフェンスでの役割が大きい峰人(高野峰人、背番号6)や政人(平井政人、背番号13)が常に練習に参加できていることがコンビネーションの面でも良い結果につながっていると思います。新戦力としては今季加入の星(星裕貴、背番号17)ですかね。得点力や1対1の強さ 、打開力は攻撃面での大きなプラスです。
▼ベテラン勢については?また、自身のプレースタイルについては?
◇比較的長くチームに居る自分や水野(水野翔、背番号11)、寺尾(寺尾靖也、背番号9)は安定感で貢献しなければいけない立場ですね。自分自身については、昨年から前でプレーする時間を長くしています。後ろを任せられる選手が育っていることもありますが、練習不足もありオフェンスが単調になりがちなチームなので、自分がピヴォで張ることで相手のディフェンスのやり方に変化を起こさせて攻めの糸口にしたいと考えています。
▼東海大会前(5日)に県内(浜松アリーナ)で東海リーグがありますが観戦には?
◇選手に話をしていることは、自分たちも5日に試合があるつもりで年末年始のコンディション調整をしよう、と言うことです。東海リーグ勢は5日に合わせて調整しているはずですし、コンディション作りではしばらく試合の無い僕たちよりは有利だと思います。ただ、5日は午前中がチーム練習でその後、浜松まで行くつもりだったのですが・・・。東海大会の初戦がロボガトだと思っていたのでデリッツィア対ロボガトの最終試合には間に合うだろう、と。相手はナスパですか?(と、スケジュールを確かめ)14:30からの撫子戦ですね。間に合うように出掛けたいと思います。
▼最後に・・・(東海大会でも)欲はかく?
◇もちろんです。ここまできたら「格下は負けて当たり前」ではなく勝つ試合をしたいと思っていますよ。 とにかく頑張ります!!
さて、冒頭部分でFSCが所属する中東部支部は「これまでも県リーグへの参加チーム数は多い支部」であることをお知らせしたが、リーグ戦、カップ戦を含め初めて県内の壁を乗り越え中東部支部から東海へチャレンジするチームとなったFSC。
年が明け、早くも1週間後にはPUMA CUP 2014東海大会がエコパ・サブアリーナを舞台に行われる。この際、一気に東海の壁も越えて欲しいと願う筆者である。
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