会場:愛知県・一宮市総合体育館
試合時間:前後半20分、ハーフタイム10分
写真・文/橋爪充
【後半残り2分の勝ち越しゴール。チームが一つになった(ファイル戦)】
FUTSAL地域チャンピオンズリーグ初出場の大和撫子/VIORA藤枝は、1次ラウンド2試合を終えて2敗。早くも翌日の準決勝進出の望みが絶たれていた。
ファイルフォックス府中はこの日の午前中の試合でヴォスクオーレ仙台サテライトに2対3で敗戦。ベスト4にコマを進めるためには、この試合で勝ち点3が必要条件だった。
先制はファイル。右キックインから佐藤雅啓が強烈なシュートを叩き込む。大和撫子はフィクソの望月崇之が、午前中のkagoshima FR戦で負傷。ファーストセットのフィクソを欠く苦しい布陣だったが、直後に追いつく。木下裕二郎がスピードを生かして左サイドライン際を突破。なめドリブルでゴレイロも外し、ゴールネットを揺らした。
ファイルは13分に勝ち越し。第2PK付近でパスを受けた徳嶽裕太が反転シュート。大和撫子はここまで、組織的なプレスがよく機能していたが、ここは徳嶽との距離を空けてしまっていた。前半は1対2のまま終了した。
同時キックオフの別ピッチでは、前半を終えてkagoshimaが仙台サテに2対0。このままのスコアで終われば準決勝進出が決まるファイルは後半、勝利を盤石なものとするべく、猛攻撃を仕掛ける。パス回しのスピードが上がり、再三チャンスを作り出す。7分には徳嶽のシュートがバーを直撃。瀬戸真司や佐藤雅啓も惜しいシュートを放つが、大和撫子ゴレイロ松浦孝太の好セーブもあり、追加点を挙げることができない。
30分、大和撫子は野木武臣が巧みなドリブルで中央突破し、右外を回りこんだ向島雅之へラストパス。これが相手DFに当たってゴレイロの逆を突き、ころころとゴールイン。大和撫子が同点に追いついた。
別ピッチでは34分に仙台サテが同点ゴール。どうしても勝ち点3がほしいファイルは残り3分半から吉成圭をゴレイロに据えてパワープレーを開始する。右後ろの吉成が変則的に動き回りシュートを放つが、大和撫子も落ち着いて対応する。残り2分、自陣ゴール右でボールを奪った向島がパワープレー返しのロングシュートを放つと、これがゴールイン。大和撫子が逆転した。
試合はこのまま終了。大和撫子は関東王者に土をつけ、初出場の地域CLに確かな爪跡を残した。
[試合結果]
大和撫子/VIORA藤枝 3-2 ファイルフォックス府中
[得点経過]
2分 0-1 佐藤雅啓(ファイル)
4分 1-1 木下裕二郎(大和撫子)
13分 1-2 徳嶽裕太(ファイル)
30分 2-2 オウンゴール(大和撫子)
38分 3-2 向島雅之(大和撫子)
大和撫子/VIORA藤枝キャプテン・吉井諒選手コメント
▼ファイルフォックス府中戦を振り返って
「2敗して気持ちが落ちていた。でも、このメンバーでできる最後の試合が関東1位のチームということで、タイトルは掛かっていないが勝って終わろうと。それだけを考えてピッチに入った。1、2戦は緊張があったが、3戦目は気持ちの部分がそれを上回ったと思う。ミスはあったが、気持ちで乗り越えられた」
▼午前中の試合に比べてコンディションは厳しいはずだが、立ち上がりは良かった
「どんどんアクションを起こして裏に抜けてというのが、(阿野光平)監督からの指示だった。攻められる時間の方が多いと思ったので、カウンターを狙う意図だった」
▼勝ち越しゴールまでよく粘ったという印象だ
「リーグ戦でもそうだったが、全員が集中しているときには点を取られる気がしない。ちょっとミスしても、自然にカバーが行けている状態だった。耐えて耐えての後のカウンターで1点取れたら乗れると思っていた」
▼ゴレイロを含め、ディフェンスでリズムを作れていた印象。パワープレーを選択させるところまで追い込んだ
「パワープレーの守備はもともと得意。やってもらって逆に助かった面がある」
▼ファイルというチームへの印象は
「関東リーグのほかのチームと試合をしたことはあるが、彼らも所属するリーグの王者ということで、『強い』という感覚しかなかった。大会前も、この試合が一番の山場になるし、ファイルに勝たないと、次には進めないと思っていた」
▼初の地域CL。3試合を振り返って
「1、2試合目ではぜんぜんらしさが出せなかった。『せっかくリーグ戦をいい形で戦ってきたのに』と、みんな悔しい思いを抱えていた。自分も良いプレーが出せず悔しくてたまらなかった。3試合目は、逆にチームとして『走る』ということしか考えていなかったことが好結果につながった。いまさらだが、それが3試合続けられれば良かった」
▼今シーズンを振り返って
「1年を通じて守備のトレーニングを、重点に置いてやってきた。リーグ戦ではその成果が出た。それでも、上手い選手の個の力にはやられてしまっていた。(来季は)そこをもっと詰めていきたい。東海リーグは同じスタイルばかりを貫いていても勝てない。来年はチャンピオンの座を射止めたい」
【カウンターからのシュートを放つ向島雅之(kagoshima戦)】
【ライン際を突破するシーンが目立った木下裕二郎(kagoshima戦)】
【全国の舞台で技術の高さを見せつけた野木武臣(ファイル戦)】
【体を張った守備と落ち着いたプレス回避で貢献した新間貴文(ファイル戦)】