開催日:2015年6月14日(日)
会場:静岡県・浜松アリーナ
試合時間:前後半20分、ハーフタイム10分
写真・文/橋爪充
前年度、ロボガトと最終節まで優勝を争い、地域チャンピオンズリーグにも出場した大和撫子/VIORA藤枝が、悲願の1部昇格を果たしたForce Futsal ISEに僅差の勝利を収めた。
巧みなパスワークに、向島雅之、木下裕二郎らのライン際の突破を交えて崩しにかかる大和撫子と、低く構えて中央を絞り、縦に速い攻撃を狙うフォース。お互い積極的にシュートを放つ展開で幕を開けた。
先制は大和撫子。15分、右サイドの野木武臣がファーポストに送り込んだシュートパスに小長井雄太が飛び込んだ。ボール回しで相手を自陣左サイドに寄せてフリーの選手を作る、FP4人全員の統一された意志がファインゴールをもたらした。
前半は1対0大和撫子リードで終了。フォースは16分に第2PKを得るが、今季加入の峯山宗丈が決められず。MOTGではいくつもの重要な場面で第2PKを沈めてきた峯山だが、ここは開幕戦の硬さが出たか。
大和撫子は直後に、木下が右足首をひねり、負傷退場。メンバーのやりくりに不安を残して前半を終えた。
後半はフォースが逆襲。22分、自陣の羽根輝明を起点に左サイドに出た里田裕介がつなぎ、池山隼也がフィニッシュ。カウンターがきれいに決まった。
27分には、ロングボールの競り合いから酒徳万真がうまくボールコントロールしてゴレイロをかわし、右サイドの角度のないところから勝ち越しゴールを挙げた。
だが、大和撫子は慌てない。30分、右CKから熊捕俊明の足裏を使ったバックパス。これを堀井邦明が決めて同点に追いつく。フォースの固い守備を崩せない大和撫子だが、サインプレーで局面を打開。チームとしての成熟度の高さを見せた。
優勝を狙うためには勝ち点3がほしい大和撫子。こう着するゲームにいら立ちが募る。
すると、フォースが先に動く。残り1分から、横内亮太をゴレイロに据えたパワープレーを開始する。非常に興味深い展開だ。
両チームの状況を考慮すると、ボールキープして勝ち点1を取るのがフォースの目的とも考えられる。疑心暗鬼の大和撫子は、パワープレーの守備要員として考えていたメンバーに交代できないまま、時間が過ぎていく。
試合後にフォースの中村開監督に話を聞くと、「勝ち点3しか狙っていなかった」という。つまり、勝利を目指すパワープレー。それがはっきりしたのは残り10秒のことだった。
左サイドから酒徳が強シュート。だがDFに当たったルーズボールは大和撫子野木の前に落ちる。ほぼ自陣ゴールライン上から相手ゴールを射抜く野木。7秒後、タイムアップの笛が鳴った。3対2大和撫子勝利。積極的にゲームを動かそうとしたフォースにとっては、皮肉な幕切れとなった。
健闘を見せたフォースに客席から大きな拍手が送られた。中村監督は最後の場面について「ビビらずに自信をもってやった結果。悔いはない」と胸を張った。チームの未来を見据えて、何としても残留を果たす決意という。
大和撫子は内容こそ今一つだったものの、優勝へ向けて勝ち点3を確実に得た。阿野光平コーチは「初戦の難しさ、緊張感があった。ミスも多かった」と反省しきりだった。
[試合結果]
大和撫子/VIORA藤枝 3-2 Force Futsal ISE
[得点経過]
15分 1-0 小長井雄太(大和撫子)
22分 1-1 池山隼也(フォース)
27分 2-1 酒徳万真(フォース)
30分 2-2 堀井邦明(大和撫子)
40分 3-2 野木武臣(大和撫子)