Fリーグ2016/2017開幕戦は、新生名古屋オーシャンズが3対0で勝利し好スタートを切った。
橋本優也、安藤良平、関口優志、田村研人、セルジーニョというフレッシュなファーストセットを軸に攻め込む名古屋だが、北海道ゴレイロ鶴岡広之が好セーブを連発し、ゲームはこう着状態が続く。
スコアレスで前半が終わるかと思われた19分、名古屋はシンビーニャが個人技でDF2枚を引っぺがしてシュートを決める。名古屋は1対0リードで前半を終える。
後半開始直後、名古屋は右サイドキックインから橋本のヘディングシュートがオウンゴールを誘発。名古屋は以後の時間でさまざまなセットを試しつつ、ゲームをコントロールする。
北海道は残り2分を切ってからパワープレーを開始。だが名古屋はカウンターからシンビーニャ⇒安藤でダメ押し。新シーズン初戦を快勝で飾った。
▼北海道小野寺隆彦監督
「一発逆転で勝ちに行く気持ちで戦ったが、一つ一つのプレー精度が低かったりプレスが弱かったり、名古屋に一歩リードできる内容ではなかった。チームとして戦うことにはできていたが、頑張っただけではだめだと思う。得点を決め、失点を防ぐというところをやっていかないと成長につながらない。自分たちの力を信じてこれからもやっていきたい」
-ゴレイロ鶴岡選手のナイスセーブが続いた。コンスタントにこうしたプレーができる選手なのか?
「昨シーズンまでは交代ゾーンから出たことはほとんどなかった。関口の陰に隠れてはいたが、1年間で成長していた。ことしは関口がいなくなり自覚、責任が出てきた。三浦も含め、戦えるキーパーに育った」
-相手ゴレイロ関口への対策は?
「特に伝えなかった。ウイークポイントは長年見ているので分かるが、彼は彼で名古屋で成長しているだろうから。ミーティング前に迷ったが、触れなかった」
-名古屋の印象は
「終始ボールを回された。メンバーは変わったがパスの精度が高く、ロストが少ない。貫禄を感じた」
▼名古屋ペドロ・コスタ監督
「大きな一歩を踏み出した試合だった。北海道とお互いに当たり合い、興味深いゲームができた。選手にお礼をいいたい。いい競争がある中で、練習の成果を多く出すことができた。チームとしてわたしの監督1戦目を勝ちとれた」
-どういうところからチーム作りをしたのか?
「今年は大きく若返った。昨シーズンに良い結果を残していたベースの選手が残って、チームを引っ張ってくれる。まずはその選手たちと今シーズンを作り上げていこうと思った。テーマはチームワーク。一人一人の個性を生かせるようなチームを作る。みんなにチャンスを与え、個性を表現できる場を提供しなくてはならない」
-ファーストセットのメンバーは新加入が半分以上を占めた。新チームの意思表明のようにも感じられたが?
「わたし1人でなく、現場スタッフで話して決めた。ゴレイロの関口は、相手が(古巣の)北海道という特別なチームであることを考慮した。田村は昨シーズン、誰よりも頑張っていたが、なかなかチャンスがなかった。今シーズンはチャンスを与えたかった。安藤はオールラウンダーなプレーヤー。チームにパワーを与えてくれる。セルジーニョはブラジル代表という肩書があり、(橋本)優也はスピードがある。全員に期待して出場させた。これまで実績のある選手をセカンドで出すことで、相手の裏をかく意味もあった」
▼北海道本田拓磨選手コメント
「3対0という結果がぼくたちの現状。しっかり受け入れて、今日体験した質を下げずにやっていきたい」
-主力が欠ける序盤戦をどう戦うか?
「チームとして今シーズンは守備の意識を高くやっている。今いるメンバーを中心に前からアグレッシブにやってきた。今日は距離をうまく詰められずに、相手の前線にボールが収まってしまった。開幕戦ということで、勝ちに行っただけに正直悔しい部分がある。長いシーズン、1試合1試合、向上心を忘れずにやっていきたい」
▼名古屋星龍太選手コメント
「新しいチームになり、ゲームの立ち上がりは堅かった。ただ、今年のチームは若い選手が中心になってよく走り、よく声を出す。彼らがチームを引っ張ってくれたおかげで勝てた。これは今までにないオーシャンズのかたち。監督が新しく作り上げようとしている『チーム一丸』というコンセプトを体現できた」
▼名古屋橋本優也選手
「Fリーグのデビュー戦だったが、これまで何度もイメージしていたので緊張することはなかった。家族や友人がスタンドに来てくれていたので、その点だけが異なっていた」
-スターティング5に入ったが、監督からはどんな役割を期待されていたか?
「今シーズンの練習が始まった当初から、スタメンで使ってもらうことが多かった。自分の特徴はスピードなので、動き出しを多くすることを求められた。ドリブルからのシュートが持ち味なので、今後はもっとシュートのシーンを増やしたい。DFの1対1を改善できたらとも思う」
-地域リーグとのフィジカル面やスピードの違いでとまどう点はなかったか?
「昨季もトップチームの練習に参加させてもらっていたので、慣れていた部分はあった。オーシャンズの練習が一番厳しいはずなので」
-平田選手へのピヴォ当てが2回ほどあった。
「サテライトでずっと一緒にやってきた。お互いを見ているので、やりやすい。良い連携を取れたのではないかと思う」
-今季の名古屋はサテライトの卒業生が中核を占める。
「名古屋は育成環境が良いので選手として成長できる。自分もその中の一人でありたい」
▼平田ネト・アントニオ・マサノリ選手
「Fリーグのデビュー戦は最高だった。雰囲気が全然違って、めちゃくちゃ楽しかった。多くの人に見てもらえて本当にうれしかった。緊張は全くなかった。結果を残せたとは言えないが、Fリーグに出場するという夢をひとまず果たせた」
-地域リーグとの差は感じなかったか?
「練習でやっている(トップチームの)人たちがめちゃくちゃ強いので、違和感はなかった」
-体つきが変わったようにも見えるが?
「腰のあたりが絞れて、胸周りが大きくなった。フィジカルコーチに練習メニューを見てもらった成果だと思う。股関節もトレーナーに手伝ってもらって、徐々に良くなってきている」
-監督からはどんなことを要求されたか?
「ピヴォとして前で起点を作る仕事。しっかりキープして、いつもゴールを狙えと言われている。その意識を強く持っていた。前で収める仕事なので、もっと体を作って、ボールを簡単に失わないように。よくシンビーニャにはエゴイストになっていいと言われる。今日の試合でもそこは改善点だと思う」
-橋本選手も含め、サテライト出身の選手が多く出場していた。
「(橋本は)サテライトの時から良い連係で点を取れていた。今日もそれは使えたと思う。サテライト出身の選手とはお互いに競争しながらやっていきたい」
text & photo: Mitsuru Hashizume
2016/06/12写真追加