開催日:2021年10月30日(土)
会場:浜松アリーナ
TEXT & PHOTO :橋爪充
浜松市の浜松アリーナで行われたFリーグ2021/2022ディビジョン2第10節、アグレミーナ浜松対ポルセイド浜田は4対1で浜田が勝利した。浜田のリーグ戦勝利は2019年11月17日のヴィンセドール白山戦以来、約2年ぶり。7月に就任した北智之監督の初勝利となった。前節の広島戦を劇的勝利で飾った浜松だが、最下位の浜田に敗れ、勝ち点は11のまま。1試合少ない首位しながわとの勝ち点差は9に開いた。
浜松はゴレイロ三浦弘暉、生駒瑠唯、鷲北一輝、山桐正護、須藤慎一の布陣でスタート。序盤は左右ライン際の敵陣深くに起点を作るなどしてペースを握った。高橋優介監督は、生駒、山桐に加え、巽優太、川本樹弥、川辺寛悟ら20代前半の選手を積極起用。試合を優位に進めた。
だが、先制は浜田だった。9分、ピヴォの布田有祐が浜松陣内からドリブル開始。2人を引き付けて左の三浦祐人に渡す。三浦が左足のインサイドでコントロールショットを放ち、ゴールを射抜いた。
浜田は1分半後に追加点。浜松サテライト出身のオオヤ・モントロ・エンヒが、右サイドで対面の児玉風河の股を抜いて前進、中央で待ち構える布田がパスを受けてゴールネットを揺らした。
第1ピリオドは2対0浜田リード。浜松は浜田の2倍の18本のシュートを打つものの、ゴールには至らない。浜田の愚直なシュートブロックが印象的な20分間だった。
こうしたゲーム展開の場合、一般的には「3点目をどちらが取るか」が勝負の分かれ目になる。試合の主導権をぐっと手繰り寄せたのは、またも浜田だった。前がかりになる浜松の背後を突く形で、右サイドの松山尚輝に長いパスが入る。絵にかいたようなカウンター。スピードに乗った松山はワンタッチで左足を振りぬき、浜松GK三浦の指先をかすめてネットに突き刺した。
浜松は残り7分半から須藤をゴレイロに据えてパワープレー開始。ここまで書いて、気が付いたが、パワープレー開始のタイミングもその時のスコアも、7月のホーム広島戦とほぼ同じだ。そして、その後の展開も。まるでコピー&ペーストのような記述になるが、以下記す。
須藤が相手4枚の中に巧みに入り込んでチャンスを作り、左サイドから持ち込んだ巽らが何度となくシュートを放つが、浜田GK後藤駿介の必死のセーブなどがあり、1点を返すにとどまった。
浜田は2年ぶりの勝利。昨年はリーグ戦で1勝もできなかっただけに、喜びもひとしおだ。浜松が主導権を握る時間帯も、ディフェンスは崩れなかった。各個人がシュートコースに立つことが徹底されており、最後の局面で「やらせなかった」ことが勝因といえる。
浜松はことし最後のホームゲームで悔しい敗戦。先制点を取られると、流れを引き戻せないのは出場メンバーの若さゆえか。まずはゴール前でのもう一工夫を、個人戦術として磨く必要があるだろう。
▼アグレミーナ浜松 1-4 ポルセイド浜田
9分 三浦祐人(浜田)0-1
11分 布田有祐(浜田)0-2
22分 松山尚輝(浜田)0-3
38分 須藤慎一(浜松)1-3
39分 三浦祐人(浜松)1-4
▼アグレミーナ浜松・高橋優介監督コメント
-シュートは打ったが入らないゲームだった。
「セカンドとかエリア内に詰めているのも足りなかった。相手に対して、最後の一歩が足りていたのか。メンタル的に乗り切っていないゲームだった。最近はそういうゲームはなかったのだが。あんまり調子のいい選手がいなかった。難しかった」
-プランは。
「今の浜松はチャンスがあってもなかなか点が取れない。ロースコアは覚悟していた。0対1までは覚悟していた。ただ、0対2になってしまったのがポイントだったと思う。相手はピヴォあてを狙っていて、個ではがしてくることはわかっていたが、1点ビハインドになってボールを奪い返したいというところが先に出てしまった。無駄な一歩が多く見られた」
-2点目、3点目がそうだった。
「1点取られたところでタイムアウトをとろうか迷った。そこで取らなかったのが、このゲームの、僕のミスだ。チャンスがあるから大丈夫かと思っていたのがダメ。いまの浜松はそこで一度止めてあげないと。もう少しリスクマネジメントしてあげないと難しかった」
-いい面でいうと、20代前半の若い選手の出場時間が伸びている。彼らは責任を背負ってプレーしているようにも見えた。
「たまたま松本や田中がけがをしている。若い選手が練習試合でも出場機会をふやしている。しながわ戦でも、若い選手が出ていても得られるものは大きかった。広島戦も一緒。14人のベンチ入りが決まってしまっているのが逆に良くない。ハングリーさに欠けている気がする。物足りない。勝ちに飢えてほしい」
-この敗戦を次にどう生かすか。
「そうですね…。うまく若手ベテランがはまり始めているところはある。その中で、もう少し若手が主導権を取ってほしい。それがチームに勢いをもたらす」
▼ポルセイド浜田・北智之監督コメント
-2年ぶりの勝利。
「去年は勝ち点が取れなかった。クラブにとってうれしい勝利」
-このところ、惜しい試合が続いていた。
「今シーズンは、選手が県外に出られず、アウエーでは6、7人で戦わざるをえない時期もあった。困難な状況の中でも、しっかりプレーを続けたことが、今日の結果につながったと思う」
-シュートブロックが光った。コースにしっかり入るというチームとしての意識づけを感じた。
「今は守備の練習を中心にやっている。プレスをかける際に、相手陣だけでなく特に自陣で強めないとシュートが入ってしまう。これまではミドルレンジからの失点も多かった。引いた時こそプレスを強くし、スペースをうめることを徹底している。今日はそれができた」
-攻撃陣への評価は。布田選手のピヴォとしての活躍が目立った。
「シンプルに相手のゴールに向かっていくというコンセプトでやっている。ピヴォのいるセットでは、ダイレクトにゴールに向かう。ターゲットをうまく活用して手数をかけずに、でも雑にならずに攻撃できたのが今日の良かった点だ」
-6番高橋琉七選手、7番野本選手ら新戦力も機能していた。
「10月からの合流で、まだ完全にチームにフィットしているわけではない。ただ同じ多摩大の先輩もいるので、なじむのは早かった。4―0のシステムの中で彼らがボールを前に運んでくれるのは、非常にポジティブな要素だ」
-今後の戦いについて
「まだ1勝で順位も一番下。アウエーの会場で最後に拍手をいただけたのは、自分たちのアグレッシブなプレーがお客さんに伝わったからこそだ。結果も大事だが、そういうプレーを続けていくことが大切だと思う」