第9回を数える「静岡県社会人フットサル選手権」が、先週末の26~27日に開催された。
「ジュビロ・カップ」の名称で県内に浸透しているこの大会は、シーズンを締めくくる県内最大規模のフットサル大会であることは間違いない。
その名の通りジュビロ磐田(ヤマハフットボールクラブ:J1)のご支援により開催を重ねてきた大会であり、県内のフットサル公式戦の大きなタイトルとして定着している。
同時に開催されるレディース大会、キッズ交流戦とあわせ静岡のフットサルの聖地、エコパアリーナがフットサル一色に染まる2日間だ。
特に社会人部門の36チームのエントリー枠には様々な参加資格が設けられ、普段から公式戦を戦う東海リーグ、県リーグ、支部リーグのチームがリーグの枠を越えて対戦するほか、民間施設でだけ活動しているチームにも門戸が開かれている大会でもある。
それだけに、カテゴリーを越えた興味津々の対戦カードも発生するのがこのジュビロカップの大きな魅力かもしれない。
さて、みなさんはそんな出場チームの中にジュビロの名が付く二つのチームが出場していることをご存知だろうか?
いやいや、他県の方にはひとつのチームは想像できても、もうひとつのジュビロは「?」という方が多いだろう。
この記事では、その二つのジュビロに触れてみたいと思う。
まず一つ目は・・・
今季の東海1部リーグを無敗のまま独走、2位以下を大きく引き離し優勝を掴み取った「ジュビロ磐田フットサルクラブ」だ。
この大会のホストチームとも呼べるだろう。
今週行われる全日本選手権への出場は東海予選で惜しくも敗退となり叶わなかったが、誰もが認める今季の「東海の王者」であることは間違いない。
それほど実力のあるチームではあるが、自らがホストチームであるこの大会ではこれまで優勝がない。
いや優勝どころか、決勝トーナメントへ進んだことすらないのだ。
しかし今季の彼等には、ジュビロ・カップのタイトルを奪う事にこれまでとは比較にならないほど大きな「欲」があったに違いない。
筆者がそう書く理由は非常にシンプルだ。
「大会の冠スポンサーの名が施されたユニフォームを着用して臨む最後の年だから。」
もちろん、この一行の掲載については、チーム代表者でもある北本氏に確認を取らせていただいた。
読者のみなさんの誤解を招かないためにも書き加えさせていただくが、決してチームが消滅してしまうと言うわけではない。
その経緯には、世界経済を含めた世の中の様々な状況変化の中、同チームを支援し続けてきたその母体であるヤマハフットボールクラブの苦渋の判断があるようだ。
「じゃぁ、ジュビロカップはどうなるの?」・・・ご心配なく! 静岡県フットサル連盟では、来年度以降も「ジュビロカップ」の開催を行うことでヤマハフットボールクラブとの合意が得られているそうだ。
もう一度書く。
決してチームがなくなってしまう訳ではない。
これ以上の詳細に関しては、今後のチームからの発表を待ちたいと思う。
ただ、彼等が果たした「ジュビロカップ初制覇!」は長年、自分達を支えてくれた「ヤマハフットボールクラブ」への最高の恩返しとなった事だろう。
いずれにしても、今月18日~20日に行われる地域チャンピオンズリーグが彼等にとって「その名」で出場する最後の公式戦となる。
さて、もうひとつジュビロは「ジュビロ磐田フットサルスクール」というチームだ。
上でご紹介したジュビロは「東海リーグ所属チーム枠」として出場しているが、こちらはスポンサーであるジュビロ推薦枠で出場、その名の通りジュビロ磐田が行っているフットサルスクールの生徒のみなさんにより編成されている。
クラブのJリーグ加盟とほぼ同時に立ち上げられたフットサルスクールは、Jリーグ百年構想のもと地域のスポーツ振興に大きな役割を果たしてきた。
多い時期には老若男女60人を越える会員が参加する活気あるスクール活動を行っていたと聞く。
その指導には、ジュビロ磐田フットサルクラブの選手も数多くスタッフとして参加してきたそうだ。
今年の大会にもスクールに参加する会員さんにより結成されたチームで参加、そしてスタッフとして指導に当たってきた東海リーガーが自分達の大切な試合の合い間にベンチ入りし試合に臨んでいた。
こちらの活動にも深く関わっている、ジュビロ磐田フットサルクラブの代表、北本氏にこのチームについてのコメントを頂く事ができたので是非ご紹介させて頂きたい。
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ジュビロ磐田フットサルスクールは13年前にサッカー及びフットサルの普及と、これを生涯スポーツとして楽しんでいただくことを目的にスタートしました。
現在は約20名での活動で「フットサルを楽しむ!」というコンセプトを常に忘れずに取り組んで参りました。
毎週水曜日夜間1回のスクールですが会員のみなさんが仕事を終えた後、スクールに来て生き生きと楽しんで下さる姿を見ることができ非常にやりがいを感じていました。
今回、諸々の事情から活動休止という事態になりましたが、今後も何らかの形でスクール会員のみなさんと関わっていければと考えています。
毎回、ジュビロ推薦枠で出場させていただいたジュビロ・カップですが、1点も挙げることはできませんでした。
それでも会員のみなさんの全力でのプレーに感動させられ、このスクールをやっていてよかったと思いました。
また指導者が所属するジュビロ磐田フットサルクラブが、このひとつの区切りとなる大会でスクール会員のみなさんの前で優勝という最高の結果をお見せすることが出来、そして一緒に歓喜することができたことは今回何よりの喜びです。
フットサルをプレーする楽しさ、観る楽しさを少しは伝えることができたのではないでしょうか。
ジュビロ磐田フットサルスクール 事務局 北本章
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この北本氏のコメントにもあるように、ジュビロ・スクールとしても今年のジュビロ・カップが最後の活動となるようだ。
今大会では、筆者も勝ち負けにこだわらず、ひたむきにボールを追い、相手選手に挑んでいくジュビロ・スクールが展開したゲームをじっくりの観戦させていただいた。
特に、大会フォーマット故に厳しい戦いとなった予選リーグ2試合目でのゴレイロの活躍は目に焼きついている。
後にコーチの一人から「60年代生まれが何人もプレーしていたんですよ。」と聞くが、勝ち負けをど返しし、しかも真剣に、それでいて楽しむ事が出来る、そんな彼等の活躍が、ジュビロ・スクールをこのブログでどうしても取り上げたく思わせたことは言うまでもない。
最後になりますが、実際に試合に出場していた選手の方からのコメントも手元に届いたのでご紹介を・・・。
++++++++++ No5 金野孝則 さん ++++++++++++++++++++++
ジュビロスクールのおかげで良い指導者、良い仲間に出会えて良かったです。
3月いっぱいでスクールは終了してしまいますが、この出会いを大切にしたいです。
そして、またフットサルスクールが復活してくれる事を望んでいます。
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++++++++++ No9 田中一光 さん ++++++++++++++++++++++
ジュビロフットサルスクールに入って丸13年が経ちますが、毎回楽しみでスクールのある水曜日には早く帰れるように、仕事も調整しているくらいです。(笑)
入った当初は1人も知り合いがいませんでしたが、みんなサッカー&ジュビロ好きなので、すぐに友人ができましたし、有志でチームも作りました。
コーチの方々は覚えの悪い私にも辛抱強く教えてくれて、歳は私よりも若いですが、本当に尊敬していますし、東海のトッププレーヤーと同じピッチでプレーしたことは私の自慢でもあります。
今回の活動終了は残念ですが、このような場を与えていただいたジュビロ磐田とコーチ、スタッフのみなさんに感謝申し上げるとともに、体が動く限り大好きなフットサルを続けて行きたいと思います。
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