いよいよ東海1位と関西1位のキックオフの時を迎えた。
定刻より約10分遅れて始まった試合は、キックオフ直後にジュビロが相手ディフェンスの連携ミスを見逃さず、ゴール正面でGKと1対1となるチャンスを得たが決めることができない。
そんな立ち上がりで始まった試合は、お互いが高い位置からプレスを掛け合う展開で進むこととなる。
ジュビロにとっては自分たちの得意なスタイルで試合に入れたと言えるかもしれない。
非常に質の高いシステマティックな攻撃を展開すると耳にしていたSWHだったが、この試合の立ち上がりを見る限りは戦術での攻撃と言うより、高い位置で奪ってよりシンプルに相手ゴールを目指す意識が強いと感じられた。
SWHが本来プランとしていたかどうかはわからないが、ジュビロの攻めに真っ向勝負を挑む心意気が感じられるものだった。
立ち上がりこそピンチを招いたSWHだったが、その後は集中力を回復しゲームを進めることとなる。
そしてSWHのファーストディフェンスあるいはカウンターが、わずかながらスピードや強さでジュビロのそれを上回り、一方のジュビロは相手攻撃へのアタックの一瞬の遅れがことごとくファールの笛に結びついてしまい、前半のほぼ半分が経過した時点でファールカウントが5を数えてしまう。
決してジュビロの動きが悪いわけではないが、やはり地元開催の初戦とあってSWHの集中力が一歩勝っていたのかもしれない。
結果的にジュビロが与えた2本の第2PKは、どちらも枠内に放たれることがなかったが、前半唯一のゴールはやはりSWHが奪った。
前半7分、ジュビロゴール正面やや右の位置でフリーキックを与えてしまう。
これに対応するためジュビロのゴレイロ皆川は、自らがディフェンスを動かし壁を作る。
再開の笛とともにSWHのフィールドプレーヤーが壁の前を左右に横切るフェイクの動きをすると、わずかに出来た壁の穴を狙い済まして直接決められあっけなく失点してしまった。
もっとも遠い撮影エリアから見ることとなったため、正確なボールの軌道は確認できなかったが、SWHキッカーの樋口がサイドキック気味にコースを狙いにいったシュートの様に見えた。
※SWHの先制点の場面、自分の位置からは最も遠くその状況がはっきりわかりませんでしたが、北本代表から頂いたDVDで確認しました。
フリーキックのポイントにSWH9番の稲田選手と10番の樋口選手が立ち、まず樋口選手が壁に向かって走り出すファーストアクション、壁の前でボールの方向を振り向き、その瞬間に稲田選手が樋口選手の足元に向けて低い弾道でシュート、これを樋口選手が軽く足に当てコースを変えてボールはゴールへ・・・という流れでした。
状況説明に不正確な部分があり、申し訳ありませんでした。
この失点と2本の第2PK以外は、ほぼ一進一退の展開でどちらも訪れたチャンスを決めきれずハーフタイムを迎える。
その前半を終え感じたことはディフェンス面では、SWHのプレスはその場面場面で仕掛ける高さのコントロールがされ、選手間での意思統一が出来上がっていた。
一方のジュビロはピッチを広く追いかけすぎ、出来た隙間をシンプルなワンツーでプレス回避され数的不利な速攻に持ち込まれていたように感じる。
攻めの部分では、どちらもマイボールを攻めきって作るチャンスよりは、当然だが、より高い位置で相手ボールを奪ったショートカウンターが数多く見られた。
また、ジュビロのフィニッシュの精度の低さもSWHのディフェンスを無失点で持ちこたえさせた原因とも言えるだろう。
後半、1点のアドバンテージを持つSWHに手堅く行きたいという意識が生まれたのか、動きのリズムが前半とは違いやや堅さがみられる入りとなった。
互いの距離が前半よりやや広め広めとなり、味方のサポートに攻めでも守りでも若干の遅れが出始める。
対するジュビロは前半の修正点をしっかりとハーフタイムに確認したと見え前半より質の高いプレスで相手ボールを奪う機会が増える。
そして後半が5分ほど過ぎたころ、ジュビロの赤堀が敵陣左サイドのコーナーアーク付近から彼独特の思い切りの良さを発揮した強烈なシュートをSWHゴール目がけて放つ。
ボール1個が通る隙間があるのか?!と思うほど角度のない位置からのシュートだったが、これが見事に決まりジュビロが同点に追いついた。
後半の入りから良い流れを引き寄せていたジュビロはこの同点ゴールでペースが掴めた!と感じたかもしれない。赤堀の同点ゴールを目の前数メートルの距離で見ていた筆者も正直そう感じた。が、そう間を空けることなくSWH稲田の強烈な一撃で再びリードを奪われた。赤堀のゴールも見事だったが、この稲田のシュートも素晴らしかった。
試合全体を通し、再三好セーブを見せていた皆川にとっても「やられた!」と感じたゴールだったのではないか。
その後の試合は前半を思わせる一進一退が続く。
ジュビロはショートカウンターから鈴木、門田、本田、山崎らが再三絶好のシュートチャンスを得るが決め切れない。
SWHも右サイドからの速攻から何度もジュビロゴール前を横切るフィードが繰り出され、あとワンタッチにベンチからもどよめきが起こる。
試合は結局このままのスコアで終了した。
試合を振り返ると、交替選手とのローテーションはジュビロのペースのほうがかなり短く、頻繁な交代を繰り返えしていた。
それだけ運動量をピッチに注ぐゲームだったが、プレーの精度、特にフィニッシュでの精度の低さがその運動量のアドバンテージを消してしまったゲームだったと言えるだろう。
先に行われた全日本選手権予選ラウンドで、Fリーグ勢を破った地域リーグでのトップレベルのチームに善戦はしたものの、ジュビロにとっては悔しい敗戦だった。
大会のその後は(先のレポートにも書いたが)ジュビロ磐田フットサルクラブは1勝も上げることなく、そのチーム名に終止符を打つことになってしまった。
しかし、チームが消滅するわけではない。
新たなチームで、今季やり残したことへ再挑戦して欲しい。