真新しい守山スポーツセンターでの開幕戦も残り1試合。実はこの試合、本日最も気になっていた対戦カードなのです。ピッチからの速報を行っている携帯のバッテリー、そしてカメラのバッテリーも少々心配ではありますが・・・。
最後まで見届けなくてはいけません!
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■NASPA四日市 4 vs 2 Praia Grande
昨季の東海2部で2位となり1部に昇格してきたNASPA四日市(以下、ナスパ)。昨シーズンは全日本選手権での全国大会出場も果たしておりチーム全体の勢いは高まるばかりだ。加えて全国行きを決めた三重県選抜にも選手、スタッフを送り込み、あらゆる経験を積み重ねてきた。
昨シーズンのPraia Grande(以下、プライア)は東海1部での4位の成績を含め、静岡県内でのタイトルにも無縁だった。東海リーグに昇格した最初の年(2005年)以降ではチームワーストの成績だったとも言える。今季は数名のメンバーの離脱でさらに苦しい戦力状況が予想されるが、まずは新規昇格チームとの初戦でしっかりと結果を出したい。
1部への昇格を決めてから今季へのインターバルで、これまでになくフィジカルを仕上げてきたナスパにとって、かつて前プレの代名詞とも例えられたプライアとの初戦は自分達の現在地を知るうえで格好の対戦相手だったといえるかもしれない。
もちろん対戦するのはあの時のプライアではないが、その知名度の大きさは彼等の意欲を燃え上がらせるに値した事は間違いないだろう。
キックオフはプライア。
チームの代表でもあり、今年もチームの牽引役を担うであろう渡邉純(9)はベンチスタート。ベテラン草場が中澤、野島、杉原と組んでピッチに立った。ゴレイロにはニ渡(フタワタリ)が12番のユニフォームで初めての東海リーグのピッチに立つ。
ナスパは森恵輔(1)をゴレイロに、まずは西口(3)、水谷(4)、石川(12)、森下(20)でスタート。石井佑一(30)、石井誠(25)、三上(9)、太田(10)、松山(18)らが時にはセットで、あるいは状況に応じて2枚ずつのローテーションを繰り返えしピッチ上の4人のエネルギーを維持する。
前半立ち上がりから、そのナスパの出足がやや優れ、攻守でプライアより一瞬先を行くプレーが出来ていた。
さらにスピードだけに偏らず、大型選手の松山のキープ力を生かすパターンも効果的だった。
プライアは新しい若い戦力、藤井なども積極的に起用、さらにスピードでは負けない中澤、栗原らが攻守に運動量を発揮、あるいは野島が対人の強さでナスパのセットに対抗する。
10分過ぎ、初めて試合が動く。
ナスパの勢いに押され気味だったプライアだが、強烈なシュートが武器の野島が彼の持ち味を発揮する。
やや右サイドの位置からピッチを斜めに横切りナスパゴールに向かった野島の強烈なミドルシュートが、ゴール前まで詰めていた大石に合わせた(当たった?)形でコースが変わりナスパゴールへ飛び込んだ。
公式記録上は大石の得点となったこのゴールでプライアが先制点を奪った。
リードを許したナスパだが、このゴールにあせることなく、ナスパ流で試合を継続。
そして誰もがハーフターンを意識し始めた頃、試合の流れは一気にナスパに向かう事になる。
プライア陣内、左サイドで得たコーナーキックからの流れで石井佑一(30)が同点ゴールを決めた。この時点で前半の残り時間はわずか1分。
リードして前半を終えたかったプライアは同点に追いつかれたばかりか、残り1分を示すタイマーが再び動き始めたのち、最悪の終わり方を強いられる事になる。
同点ゴールで勢いを増したナスパは気落ちするプライアに襲いかかり、残り数秒で西口(3)が逆転ゴールを奪ったのだ。
1-2と逆転されハーフタイムを迎えたプライア。当然、気持ちの切り替えを全員で話し合ったに違いない。
ところが、後半開始直後、致命的なゴールをナスパの森下に奪われることになる。
後半のタイマーが動き出してわずか数十秒、ハーフライン付近からドリブルで突き進む森下を誰も止められず、シュートレンジに入った森下はそのままフィニッシュ、これが決まってナスパのリードが2点に広がった。
ナスパはハーフタイムを挟んではいるものの、わずか2分足らずのプレー時間で3ゴールを奪ったわけだ。
対するプライアは、前半はどちらかと言えば引いた位置でのプレーが多く全体のバランスに気を使っていた渡邉純が本来の彼のプレースタイルを見せ始める。
ライン際での強引な突破とシュートを狙う渡邉にナスパは人手を掛けざるを得ない。その影響で自由度が増した中澤がドリブルで仕掛け、あるいは野島がこれまでより大きくなったナスパ陣形の隙間を狙いシュートを放つ。
プライアの反撃をゴレイロ森の好セーブで凌ぐとナスパに待望の追加点が生まれた。
前半から身長を生かしキープ力を見せていた松山がゴール正面から決め4-1。
プライアも、第2PKのポイント付近、やや左寄りからのフリーキックを渡邉が直接決めて1点を返す。さらに攻めるしかないプライアは引き続き、渡邉、野島のシュートと中澤の仕掛けに頼るがナスパの集中力は途切れない。
その後も攻め続けたプライアだったが結局、これ以上のゴールを奪うことは出来なかった。
4-2で試合終了。初めて東海1部を戦ったナスパがプライアを撃破した瞬間だった。
ナスパは身に付けてきたフィジカルを最後までピッチで出し続け、見事な逆転勝ちを収めた。
敗れたプライアだが、前半終了間際、石井佑一に奪われた同点ゴールはまだしも、続く2失点はプライアらしからぬものだった。
だからと言って、プライアは決して絶望的な試合をしたわけではない。
事実、先取点を奪い、あと1分を我慢できればシーズン最初のハーフタイムを1-0とリードして向かえることが出来たのだから。
中心選手としてどの試合にも出場していた五味や望月亮太、あるいはFリーグへ巣立っていった藤原のあとを受け継いできた守護神、赤窄などの戦力がチームを離れ、さらに最年長ながら圧倒的な存在の奥山もこの日は不在。
残された若い選手にも、また一つ年を重ねたベテラン勢にも、そして新たに加わった若い戦力にも、もし試合前から、あるいはこの敗戦で、「自分(達だけ)で大丈夫だろうか?」と言うような弱気な迷いがあるのだったら一刻も早い自信回復を願いたい。
対戦相手との個人レベルでの技術的な差はチーム戦術である程度補う事が出来るかもしれないが、どんな名監督でも個人の迷いを戦術で補う事は不可能だろう。
強かった頃のプライアはすべてにおいて洗練されていた。その歴史を持つチームのメンバーとして戦う事に大いに誇りは持ち続けて欲しいが、チーム体制が大きく変わりつつあるこの時期に攻守のスタイルが洗練されていなくても構わないではないか。まずはひとり一人が自信を持ったプレーを繰り返し、がむしゃらに足を動かす事が大切だと思う。
■得点経過(※公式記録による)
▼前半
10分→Praia Grande:大石英徳(18)
20分→NASPA四日市:石井佑一(30)
20分→NASPA四日市:西口敦志(3)
▼後半
21分→NASPA四日市:森下直紀(20)
25分→NASPA四日市:松山竜二(18)
28分→Praia Grande:渡邉純(9)
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