静岡県社会人フットサルリーグは今季で第10回目のシーズンを迎えた。
これまで数々の強豪を輩出し、その多くは現在でも東海地域での戦いでしのぎを削っていることは皆さんご承知の通り。
一昨年、優勝したヒーロー(ゼブラと合併)、準優勝の大和撫子(東海リーグ昇格)が同時に県リーグの舞台から姿を消し、残されたチームで県リーグを盛り上げてきた。昨年は圧倒的な点取り屋の高柳英明を擁するスリークがその県リーグを巣立っていったわけだが、今季の県リーグには「これだ!」というスペシャルなチームや選手が不在の、まさに「本命なきの大混戦!」が予想されていた。
その県リーグも第3節を迎え、各チームとも序盤の戦いを終える事となる。
この日の結果、セレゾン浜松、ベン、オブラの3チームが3連勝で、混戦が予想されるシーズンを一歩リード。
残留・降格争いではこれまで県1部リーグでそれなりに実績を残してきたロコやドッポが未だ白星無しの厳しい状況に追い込まれた。
中盤から後半への折り返しとなる次節以降、全勝チーム同士の対戦も予定されており今季の覇権争いからは目が離せなくなる事は間違いない。
その前に、この日(8月27日開催)の県1部リーグの4試合を簡単にレポートしておきたい。
(※先日掲載させていただいた2部リーグ同様、わずかな写真とゲームの印象をお伝えするにとどまります。ご了承ください。)
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++//+++
▼IKAI FUTSAL 1 vs 5 BEN Yoshiwara
誰もが認める練習量で今季のいち押しにも上げられていたイカイ。
開幕戦でセレゾンに敗れたものの前節では昨年の準優勝ロコに快勝、連勝街道に乗りたいチームに若きFリーグ経験者、ハルキ リマ・カルロス キヨシが加わった。
対するベンはここまで2連勝と新規昇格チームでの争いではこの日対戦予定のイカイを一歩リードする。さらにこの日から頚椎の故障で長期離脱していた平林が復帰。竹原を中心に誰もが優れた得点感覚を持つチームだけに、参入初年度での上位争いも現実的だ。
同じ新規昇格チーム、さらには同じ東部支部所属チームとあって、熱い気持ちがぶつかり合う試合が予想された。
試合開始から相変わらずポゼッションの高いイカイがボールを廻すが、ベンも堅い守りで最後の一線には侵入を許さずインターセプトからのカウンターで対抗。
イカイは16分に柴田がゴールを奪いゲームの主導権を握ったかにみえた。
だが「同点での前半終了も想定していた」というイカイにとって、その想定が現実となる。
前半終了の数十秒前、ベンの竹原がハーフライン付近でボールをはたき、ピッチ中央をゴールへ向かって抜ける。この抜け方が巧かった。付いてくるディフェンスを一旦押し込み、自らは僅かにバックステップでボールを受けるフトコロを作った。
この細い空間に見事なパスが通ると、竹原はすでにゴレイロと一対一になる。落ち着いた足技でゴレイロをも抜き去り無人のゴールへボールを蹴りこんだ。
想定内だったとは言えやはり気落ちが感じられるイカイは、後半に入るとフィニッシュまでボールをつなげなくなる。守備の面でもベンが誇る点取り屋たちに4連続ゴールを決められ1-5と予想外のスコアで敗れた。
組織のイカイ、個のベンの戦いはベンの完勝に終わったが、ボールの有り無しに関わらずベンのひとり一人が見せたゲームへの対応は素晴らしかった。
これまで1部昇格初年度でタイトルを奪ったチームはない。「もしやベンが!?」とも思わせるゲームだった。
■得点経過(※公式記録による)
▼前半
16分→イカイ:柴田勉(14)
19分→ベン:竹原司(5)
▼後半
26分→ベン:國京伸一郎(20)
34分→ベン:平林智和(10)
34分→ベン:竹原司(5)
38分→ベン:田中孝義(18)
▼テレポケット/DOPPO 1 vs 7 MATO GROSSO FUJI
第1回の県リーグを制し最も早く東海へ飛び出していった歴史あるマト。そのマトが県リーグでのプレーとなったことに一抹の寂しさを感じはするが、今季へのインターバルの時期から新たなチーム作りに取り組む関係者の情熱を筆者も目の当たりにしているだけに、一試合でも早い新生マトの勝利を願っていた。
この日の対戦相手は、西部支部所属のドッポ。このドッポも今季のリーグでは苦しんでいる。ベンチ入りの数はいるのだが試合で発揮できるエネルギーは少なく、第1節、第2節と連続で7失点の大敗を喫してしまった。
どちらも勝利に飢えているチーム同士ではあったが、勝利への執念はマトが圧倒的に強く持っていたのだろう。
スコアどおり7-1でマトの完勝だった。敗れたドッポはこれで3戦連続の7失点、1部リーグに長く在籍しているチームだけに早く浮上のきっかけを見つけて欲しい。
今季初勝利のマト、若い選手も加入しているだけに勝利の喜びを次節へのパワーとして上昇気流に乗って欲しい。
■得点経過(※公式記録による)
▼前半
2分→マト:深谷亮平(10)
3分→マト:高島徹(8)
11分→マト:安田尚生(16)
16分→マト:深谷亮平(10)
▼後半
23分→ドッポ:大石晋也(10)
24分→マト:寺田祐(13)
34分→マト:深谷亮平(10)
39分→マト:安田尚生(16)
▼セレゾン浜松フットサルクラブ 6 vs 2 LOCO☆
今季の県1部リーグに参戦している8チームの中で、1部在籍年数が最も長いチームがロコだ。これまでも好・不調の波を乗り越え1部リーグにとどまり続けてきた。
昨季は優勝したスリークに次ぐ準優勝の成績を残しているが、今季はこれまで開幕2連敗と足踏み状態。
1部残留のためにも3連敗だけは避けたい想いでゲームに臨む。
対するセレゾン浜松も東海リーグへ昇格していた2シーズンを含めればロコ同様、県1部リーグ以上の戦いの場に身を置いてきた。そして今季のチームのテーマは「東海昇格!」。開幕節のイカイ戦、前節のFSC戦と強豪相手に接戦をものにしてきたが、目標達成のためには今節も実力あるチームにしっかりと勝ちを納めたいところだ。
試合は開始早々、セレゾンの点取り屋、大場がロングフィードへのワンタッチでいとも簡単に先取点を奪う。
対するロコも9分、素晴らしい速攻のパス交換から真田が決め追いつく。この攻めだけを見るならロコの強さを感じもするのだが、その後のロコは今季の連敗を象徴するかのような甘いディフェンスとあまりにも精度を欠くフィニッシュで自滅。結局2-6のスコアで3連敗を喫した。
セレゾンの攻守にわたる安定感はこの日も素晴らしかった。彼等の目標達成の可能性を口にするのはまだ早いが、チームとして着実に階段を登っていることだけは確かだ。
■得点経過(※公式記録による)
▼前半
3分→セレゾン:大場史人(7)
9分→ロコ:真田恭佑(8)
11分→セレゾン:藤崎智也(16)
16分→セレゾン:大場史人(7)
18分→セレゾン:藤崎智也(16)
▼後半
25分→セレゾン:岩田宏樹(21)
33分→セレゾン:河村拓朗(8)
35分→ロコ:真田恭佑(8)
▼Obra-Prima 4 vs 3 FSC/PROVA清水フットサルコート
第5回の県2部リーグを優勝し1部リーグに昇格したエフエスシーは、翌年から昨年までの3シーズン、いずれの年も県1部リーグ3位と安定した成績を残してきた。堅い守りと攻撃の核、チーム代表者でもある小林の得点力がチームを支えてきたが今季、その小林が引退し攻撃力の面での力不足を不安視する声があるのも事実。
それでも新キャプテンの白鳥の活躍などで初戦のロコとの中東部ダービーに競り勝ち、前節でも好調セレゾンに2-3と敗れはしたがほぼ互角の戦いを演じた。
この日の対戦は、ロコ戦に続く中東部ダービーとなるオブラが相手だ。
そのオブラは1部リーグ昇格初年度の昨季をギリギリ残留の成績で終えている。今季は調子が今ひとつのチームを相手に連勝スタートを切ってはいるが、後半戦へ向けてチーム力が試される戦いとも言えるだろう。
互いに手の内を良く知るチーム同士の戦いだけに一進一退の状況で時間が過ぎる。
試合が動いたのは前半終了間際。
オブラが西谷のゴールで先制すると、時間を空けずしてエフエスシーの白鳥が同点ゴール、さらに押し込むエフエスシーが相手のオウンゴールを誘い逆転して前半を終えた。
後半に入ると、ベンチ入り全体の戦力でやや分があるオブラが攻勢に出る。足の止まったエフエスシーは3連続で失点し逆転を許してしまう。終了間際に白鳥がこの日2ゴール目を奪い3-4と追いすがるが反撃もそこまで。
土曜開催に加え製造業での土日操業が各チームの戦いに多少なりとも影響を与えている今シーズンだが、この日のエフエスシーもかなり少ない戦力での戦いを余儀なくされた。
4-3で競り勝ったオブラは開幕3連勝で上位グループにとどまる事になったが、ここからが実力の試される戦いの始まりだろう。
中東部支部の他の2チームが元気のない今季、支部の代表としても県リーグ1部の舞台で良い結果を残して欲しいと思う。
■得点経過(※公式記録による)
▼前半
19分→オブラ:西谷太希(6)
19分→FSC:白鳥裕己(17)
20分→FSC:オウンゴール
▼後半
25分→オブラ:加藤達大(9)
28分→オブラ:佐藤雅一(18)
37分→オブラ:下田高裕(10)
39分→FSC:白鳥裕己(17)