9月18日、静岡県レディースフットサルリーグをお昼まで観戦した筆者、バーモントカップの会場となっているメインアリーナに少しだけ顔を出し挨拶を済ませると、一旦エコパを離れ磐田スポーツ交流の里「ゆめりあ」まで足を延ばす事にしました。
「ゆめりあ」と言えば、2002年サッカーワールドカップの際に日本代表チームのキャンプ地となったグラウンドで当時の選手・スタッフの足型などがモニュメントとして設置されています。
もちろん素晴らしく手入れがされた天然芝が敷き詰められているグラウンドです。(←あたりまえか?この日に限って言えば、前日、Jリーグが行なわれたエコパ・メインスタジアムの荒れたピッチよりはるかにコンディションは良かったですね!)
で、本日の目的はこれ!
そうです、女子サッカーの観戦です。(※取材目的ではありませんでしたのでカメラも持参せず、よって試合の写真は1枚もありませんのでご容赦を!)
「プレナス・チャレンジリーグ」は、いわゆる「なでしこリーグ」の下位リーグにあたり、東日本と西日本に分かれそれぞれ6チームずつで「なでしこリーグ」昇格を目指した戦いが行われています。(ちなみに「なでしこリーグ」の冠名にも「プレナス」が付きますが「Hotto Motto」などを展開する企業だと言う事をみなさんはご存知でしょうか?)
県内の女子サッカーチームで、現時点で最も上位リーグでプレーを行っているのが「静岡産業大学磐田ボニータ」。チャレンジリーグのウエスト(西日本)に所属しています。
そこで戦う彼女達、どんなスキルを持った選手たちがプレーしているのか、かねてより興味がありました。
これまでも何度か「タイミングが合えば」と考えてはいたのですが、フットサルの行事と重なりなかなか実現できませんでした。
しかし!本日はエコパからの距離、キックオフ時間など好条件が整いました。
この日の対戦相手は「スペランツァFC高槻」。来季のなでしこリーグ昇格を狙う(確定した!?)チームとの試合でした。
結果は0-2の敗戦でしたが、ゴール前でのチャンスも数多く作れていましたし無得点ではありましたが決して「完敗」ではなく「惜敗」の印象が強い試合でした。
以前にも女子サッカーは何度も観戦した事がありますが、特にフットサルの女子選抜に係わるようになってからは、その当時L2リーグに在籍していた清水第八プレアデスの練習にもお邪魔させていただいた事がありましたし、ボールも一緒に蹴らせていただきました。
今回観戦した「静岡産業大学磐田ボニータ」の選手たちに対しても同様ですが、フィジカルや技術の高さに感心する選手も数多くいましたし「フットサルやらせてみたいな!」と感じさせる動きの選手も何人かいました。
もちろん筆者の頭の中では「選抜との練習試合などお願いできれば」などと、フットサルとリンクした様々な希望・願望が渦巻くわけですが、今回はその部分には大きく触れずに話を進めます。
とにかく、そんな彼女達の多くが競技フットサルにも活動範囲を広げてくれるのであれば、静岡県の女子蹴球レベルの高さや裾野の広さを全国に発信できるはずです。
なによりも若い彼女達のこれからのサッカー人生の向上にも、必ずフットサルから得られるものが役に立つはずです。
そんな日が来る事を信じて、女子サッカーにも熱い視線を送る筆者なのです。
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++//+++
さてさて、話は大きく変わりますが、8月28日に東海女子リーグが行なわれた体育館に隣接する清水総合運動場も天然芝が敷き詰められたフィールドを持つ本格的な競技場です。
かつては全国の女子サッカーを牽引していた清水第八スポーツクラブ(全日本女子サッカー選手権7連覇、現・清水第八プレアデス)やLリーグの創生期に好成績を残している清水FCレディース(後の鈴与清水FCラブリーレディース)などが頻繁に試合を行っていました。
東海リーグを戦っている「女子フットサラー」の中にも、この競技場でのサッカー経験を持つ選手は数多くいるはずです。
そんな彼女達やLリーグ在籍経験を持つ選手を中心に、なでしこジャパンワールドカップ優勝をテーマにフットサルとの比較を含めいくつかの質問をぶつけてみました。
各年代によって興味深い経験やあるいは面白い回答もあり、女子特集を企画していた「フットサルマガジン ピヴォ!」にて東海地域の多くの選手を取り上げていただきました。
ただ、誌面スペースの都合で全てを掲載していただく事が出来ませんでしたので、あらためて当ブログにてご紹介したいと思います。
▼設問
①なでしこジャパンのワールドカップ優勝をどう感じたか?
②優れていると感じたプレーヤーは?
③なでしこジャパンの選手達との接点は?
④競技として取り組む気持ちを支えているものは?
⑤サッカーとフットサル、技術的戦術的な共通点、相違点は?
⑥フットサル日本代表への想いは?
■小山美佳選手:埼玉栄高サッカー部→OKI FC Winds→伊賀FCくノ一
①世界一は並な気持ち、技術ではできない事、偉業だと思いました。しかもこの時期に世界一になった事は凄い!
②みんな足技が巧いですね。テレビで良く取り上げられる澤、丸山、川澄各選手は自分の特徴を出せていると思いました。あまりテレビに出てこない選手も個が強く上手いです。
③サブのGKでベンチ入りしていた山郷選手とは高校からの付き合いですが、テレビでのコメントなどを聞いて「大人になっちゃたなぁ」と感じました。(笑)
④蹴る事が好きな事!仲間も含め「頭がおかしいんじゃないの?!」ってくらいボール蹴ることが好きなんです!
⑤止める蹴る、手を使わずにボールを運ぶ。ルールはほとんど同じだと思います。フットサルするにはサッカー経験あったほうが便利な事多いと思います。ただ戦い方はまったく違いますね。フットサルのほうが覚える事多いかな?
⑥現フットサル代表も、できることならもっともっと活動増やして結果を出して欲しいですね!
■森本ゆう子選手:島本高校(大阪)→プリマハムFCくノ一→伊賀FCくノ一
①素晴らしい!
②澤。攻撃力よりも守備が良かったと思う。危機管理能力は昔から高かったし精神的にも強い。
③チームを引っ張っていた澤、山郷は自分が若い頃共に戦っていた時代から能力が高かった。だからこそ現在でも世界と戦えるのだと思う。人間的に(サッカーを離れても)しっかりした選手(人)です。
④まずは楽しんでプレーする気持ち。あと個人としてもチームとしても伸びしろを感じるから。
⑤サッカーもフットサルも仕事をしながらの競技生活だが、選手・スタッフ・フロントの意識はフットサルよりサッカーのほうがレベルが高いと思う。単純に練習回数や時間、もちろん歴史も。これからは女子フットサルもより良い方向へ意識改革をしなければいけないと思う。
⑥サッカー同様に結果を出して欲しい。そして代表として戦う国際試合の経験を各チーム、女子フットサル界へ伝えていく事が大切だと思う。
■村上真理選手:啓明女学院→OKI FC Winds→伊賀FCくノ一
①アメリカに勝った事は凄いと思った。どの競技でも世界一にはなかなかなれない事なので本当に凄い!
②大野忍選手の個人技。
③GKの山郷選手とは同じチームでしたが、心の強い選手でハートの部分はずいぶん教わりました。
④一緒の気持ちで取り組む仲間がいる事。サッカー当時のサポーターが今でもフットサルの応援に来てくれることは本当にうれしいです。
⑤「戦う!」姿勢を前面に出したプレーこそが競技の魅力。サッカーとフットサル、共通していると思います。
⑥選手である以上、目指して行きたい。
■田中千代選手:OKI FC Winds→伊賀FCくノ一
①同じボールを蹴っている人間として素直にすごい思った。
②―
③山郷選手。彼女とは同期です。新人時代、彼女が試合に出れず悔しい思いをしていた時、一人でキックの練習をしている姿が印象に残っています。
④仲間。サッカー時代はサッカーに集中できる環境で、自分の練習のために使える時間がたくさんあった。今は指導者もいない状況で全てを自分達でやらなければいけない。しんどい部分もあるけれど、仲間とのその時間が一番楽しい。
⑤サッカーもフットサルも、たぶん一人では何も出来ない。みんなでいい部分、悪い部分を助け合って行く事が大切。一生現役!
⑥―。
■田中真由美選手:宝塚バニーズ
①素晴らしい結果だと思いました。嬉しい!日本中に女子サッカーをアピールできた。
②宮間選手。
③―
④向上心と勝負の世界で戦う気持ち。
⑤サッカーもフットサルも体の大きな選手、スピードのある選手と戦うためにパスワーク・連動が重要。仕事をしながら夜に練習する事も共通。でもフットサルは練習回数が少ないです。
⑥これからの代表には若く技術のある選手がどんどん選ばれて欲しい。
■志田千尋選手:田崎ペルーレFC→INAC神戸レオネッサ
①今の日本の技術が世界に通用する事を証明出来た大会だと思った。
②ブラジル代表のマルタ。
③大野、宮間、丸山、近賀、矢野各選手はU-19で一緒に世界大会を戦ったメンバーでもあり、なでしこリーグでも良く対戦していたので本当に良い刺激になった。
④楽しいし好きだと言う気持ち。チームメイトと一つになれる喜びも。
⑤連動して動くと言う事。サッカーよりフットサルのほうが細かい技術が必要ですが、止める蹴るは一緒。フットサルは始めてまだ1年、学ぶ事が多かった。環境面ではサッカー時代は女子サッカー界の中でも環境の良いチームでプレーできた。フットサルで戦う今とはまったくと言っていいほど違いますね。
⑥サッカー同様、世界には凄い選手がたくさんいるので自分の力を試すためにも代表入りし世界と戦いたい。
■川添沙緒莉選手:吉原高校→東京電力マリーゼ
①本当に凄いと思いましたし、感動しました。元気のない今の日本にたくさんの勇気や希望、感動を与えてくれましたし、今後の女子サッカー界の発展にも大きな影響を与えてくれたと思います。
②澤さん。
③マリーゼ時代は丸山選手、鮫島選手と一緒でした。かりなさん(丸山選手)とは同期の入団で同じFWとしてたくさんの刺激を受けました。練習を離れると、いろいろイタズラをする面白い選手です。サメ(鮫島選手)とは合宿など高校時代からの知り合いで、マリーゼで一緒になってからはさらに仲良くなりました。オフの時にはよく一緒にお風呂に行きました。かわいい顔のサメちゃんですが、身体は本当にスーパーマンみたいなんですよ!(笑)なので1対1のボールキープの練習では一番手強かったですね!
④私にとっては楽しさです。チーム全員が一つのことに同じ気持ちで取り組み達成した時の喜び、そのために自分自身とも戦う。本気度が増せば増すほど勝った時の達成感は大きいですね。その達成感が楽しさですし、楽しさを求めて本気になる自分がいる。遊び感覚や中途半端には出来ないですね。
⑤全員攻撃・全員守備でサッカーの初心に戻ったようなプレーが必要で共通する部分も多いとは思いますが、決してミニサッカーではなく初めてフットサルをプレーした時はその違いに驚きました。フットサルは一つ一つの判断の早さが必要ですし、常に全員のコンビネーションが合わないとゲームをうまく進めることが難しいです。
⑥―
■斎藤希選手:藤枝西高サッカー部→静岡産業大学サッカー部→富士見FCガイア
①偉業。決して奇跡だとは思わない。日本の女子サッカー界が積み重ねてきた集大成を大会を通して見せてもらった。アメリカ戦では身体能力を超えた何かをなでしこたちは見せてくれた。日本人の和を発揮したと思う。歴史を変える優勝だった。
②日本人なら宮間選手、外国チームならブラジルのマルタ選手。宮間選手はフリーキックが注目されがちだがドリブルもかなり巧い。両選手とも足元の技術、ボールの運び方、間合いが他の選手とは全然違う。特にマルタ選手はトップスピードでそのテクニックを発揮できる。
③高校時代に総体で2年連続で近賀選手、矢野選手のいた湘南学院と対戦。当時、近賀選手はバリバリの点取り屋フォワードだった。センターバックとして対戦した自分だったが、その速さ巧さに衝撃を受けた。矢野選手からの正確無比なパスと近賀選手の抜け出すタイミング、ボールの受け方は総体で対戦したチームの中では別格だった。負けたくなくてフットサル場に自主練習に行ったことがフットサルとの出会い。
④golrira shizuokaで日本一なる!
⑤オフザボールの動き。ボールが来る前にいかにフリーになるか、仲間のためのスペースを作り出せるか、周りを見れるか。フットサルのスモールエリアでそのプレーが出来れば、サッカーをプレーする際には大きな余裕が出て来る。当時は「フットサルはサッカーの延長」だったし、自分の発想も「サッカーが巧くなりたいから、フットサルで技術をつける。」だった。今は競技志向と言うこともあって、全くの別競技だと思っている。
⑥競技として取り組んでいる以上は一つの目標でなければいけないと思っている。
■青山実苗選手:麻機スポーツ少年団→清水第八→ASC→富士見FCガイア→橘高校サッカー部(U-15・U-18県選抜)
①自分も小2から高校までサッカーをやってきたので、今回の優勝で勇気とエネルギーをもらいました。一般の人たちが女子サッカーに注目し始めた事が嬉しいです。
②なでしこの中で好きな選手は宮間選手です。彼女の正確なパスとフリーキックが好きです。
③現在のなでしこジャパンのメンバーと直接の接点はありませんが、元なでしこの半田悦子さんには高校時代に指導して頂き、今でも時々部活の練習に参加したりお世話になっています。学生時代の仲間の中にU-18やU-20などで活躍している選手もいるので、彼女達から戦う姿勢などいい刺激をもらっているし、静岡出身のなでしことなれるよう代表入りして活躍して欲しい。
④自分が小学校、中学校時代にボールガールなどでなでしこリーグのお手伝いをしたときは関係者以外、観客がいないような状態でした。フットサルも今はまだ認知度が低いのでフットサルの面白さをみんなに知ってもらいたいと思います。
⑤なでしこジャパンがパスサッカーと言われるように、トラップやパスなど基本的なボールコントロールはサッカーでもフットサルでも共通して必要な技術だと思っています。
⑥自分もなでしこの選手のように世界に通用するフットサラーになりたいです。